ロンドン五輪・D組・初戦「ホンジュラスVSモロッコ」&「スペインVS日本」 | 元U-20ホンジュラス代表GKコーチ・山野陽嗣の「世界一危険な国での挑戦」

ロンドン五輪・D組・初戦「ホンジュラスVSモロッコ」&「スペインVS日本」


「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→日本…」 -ロンドン五輪VSモロッコ!2012年7月26日(木)①


 
 ついに…。ついに…。ついに…。


 「ロンドン五輪2012」が、始まりました!!!!!


 本番前の練習試合でガボンに「2-0」UAEに「2-1」エジプトに「1-0」 と3戦全勝で過去に例が無いほど最高の状態で五輪を迎えた、我らがホンジュラス代表。初戦の相手はメンバー18人中、実に15人がスペイン、フランス、イタリアなどヨーロッパのクラブでプレーする、難敵モロッコ。

 期待と不安が入り交じる中…。愛するホンジュラスを応援するために、早朝4時半に起床(キックオフ時間がホンジュラス時間で早朝5時だったため)。臨戦態勢は整いました!!



「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→日本…」 -ロンドン五輪VSモロッコ!2012年7月26日(木)②




 立ち上がり…。硬さの見えたホンジュラスですが、徐々にリズムを掴んでいきます。対するモロッコは、意外(?)にもキックオフからずっと引いて守る、守備的なサッカー…。お互いが「初戦」という事もあってか、動きが重い。ただ、モロッコは、カウンターに転じた時の前線の選手のスピート&技術などの個人能力が高く、ホンジュラスは一瞬のスキを突かれて先制点を許してしまいます…。

 結局、前半はこのまま「0-1」、1点ビハインドで終了…。

 ボールは保持するものの一向にスピードが上がらず、なかなか本来のサッカーができないホンジュラス。対するモロッコは人数をかけてガッチリ引いて守っており、正直、「この守備を崩すのは困難。1点ビハインド…。ヤバイぞ、これは」と、さすがに焦りましたよ。

 しかし、ここからのホンジュラスが素晴らしかった!!

 試合を通してほとんど消えていたオーバーエイジのFWベントソンが、前回のブログで紹介したDFマイノル・フィゲロア の左足シュートに合わせて同点ゴールを決めると、その後には、PKをド真ん中に決めて一気に逆転!!「2-1」!!

 世界大会の、しかも「初戦」では、「先制点」が非常に大きな意味を持ちます。仮にリードを許してしまうと、世界大会では同点、逆転するのは非常に困難…。あのスペインでさえ、日本に先制点を奪われると、結局、挽回する事はできませんでした。それほど重要な意味を持つ「先制点」を相手に奪われたにも関わらず、キレずに冷静に自分たちのサッカーを展開して「逆転」したホンジュラスは見事!!

 確かにその後にすぐ同点に追い付かれ、モロッコが退場者を出して数的有利になったにも関わらず勝ち切れなかったのは残念ですが、終わってしまった事を悔いても仕方ないので、今は「重要な初戦で勝ち点1を取れた」事を前向きに捉えています。

 爆発的な身体能力を生かしたダイナミックで破天荒なホンジュラスらしいサッカーではありませんでしたが(そもそも今回のチームにはダビド・スアソ のようなその手のタイプの選手がいない)、全員が粘り強く献身的にチームワークを大切にして動きながら、要所で個人技の高さを発揮し、ホンジュラスの実力の片鱗は披露できたのではないかと思っています。

 もちろん、厳しい意見もたくさん書こうと思えば書けるのですが、ここではあえて、努めて「ポジティブ」にいかせていただきます。

 日本の皆さんは「ホンジュラスVSモロッコ」の試合、どう見ましたか?何か感想があれば、ぜひ教えて下さい!!


 
 対する「敵国」…「スペインVS日本」の試合ですが、とにかく日本が素晴らしかったですね!世界王者のスペインに全くスペインらしいサッカーをさせず内容でも圧倒。決定機をしっかり決めていれば、「5-0」でもおかしくない試合でした。これだけ内容で上回った試合を「奇跡」と呼ぶのはおこがましい気がします。日本の勝利は決して「奇跡」ではない。戦略も含めた、「実力」の勝利です。ホンジュラスのTV実況、解説者も、日本を絶賛していました。

 ただ、僕の個人的な予想ですが、日本は次戦のモロッコ戦は、スペイン戦以上に苦戦するのではないかと思っています。モロッコは(ホンジュラス戦では)ガッチリ引いて守り、攻撃時には前線のスピードと技術、決定力を兼ね揃えた曲者が攻めてくる、「カウンターサッカー」。日本のスタイル的には、決して得意とするタイプの相手ではないはず。本番前の練習試合のニュージーランド戦でも、引いて守る相手に日本は勝ちきれませんでした。しかもモロッコの監督は元Jリーグ大宮の監督、ピム。日本の長所も短所も知り尽くしています。モロッコ戦、決して簡単にはいかないと思いますよ。

 それと日本なら大丈夫だと思いますが、「スペイン戦」に懸ける想いがあまりにも強すぎて、ここで「やりきった」感が出てしまうと怖い。過去、日本は96年アトランタ五輪でも、ブラジル相手に「1-0」で大金星を挙げながら、次のナイジェリア戦に負けて、結局グループリーグを突破する事はできませんでした(確かにこの時のナイジェリアは強かったですが)。また日本じゃないですが、2010年の南アW杯でも、初戦でスペイン相手に「1-0」で大金星を挙げたスイスが、次のチリ戦に負け、3戦目のホンジュラス戦にも引き分け 、結局こちらもグループリーグ敗退してしまった例があります。日本が次のモロッコ戦で一体どういう戦いを見せるか非常に興味深いです。
「パスを回して攻めてくる相手にプレスやカウンターでハメるサッカー」と「守備に人数かけて引いて守ってくる相手を崩すサッカー」は、全く異なる要素が求められますからね。

 それにしても、ホンジュラス、モロッコ、スペイン、日本…4ヶ国を見て思ったのが、日本のコンディションが他の3ヶ国に比べて抜群に良い事。現在ヨーロッパやホンジュラスのリーグはオフを挟んでプレシーズンが始まったところで、まだ開幕もしていませんが、日本はすでにJリーグも中盤…その影響もあるのでしょうか?あるいは、五輪に向けた調整が他国よりも素晴らしかったのか?いずれにしても、動きが重かったホンジュラス、モロッコ、スペインに比べて、日本のコンディションの良さは際立ってました。特に、日本の「スピード」…この点に関しては、後に戦うモロッコもホンジュラスも、大いに苦しまされる事でしょう。

 日本がスペインに勝った事はホンジュラス側からすると、これで負けられなくなったスペインが本気の本気モードで次戦のホンジュラス戦に臨んでくるので、状況をさらに難しくしました。ホンジュラス的にはスペインが独走して、2位の座を他の3ヶ国で争った方がむしろ可能性があったか…?ただ、ここまできたらもう、次戦のスペイン戦に勝ってスペインを敗退させ、ホンジュラスと日本がグループリーグ突破…という最高のシナリオになるよう、ホンジュラスを信じて応援するしかありません。

 実は「スペインが初戦に敗北して負けられない状態で次戦のホンジュラス戦に臨んでくる」という状況は、2年前の南アW杯の時と同じ です。当時スペインはスイスとの初戦を落として2戦目のホンジュラス戦に臨んできました。そしてホンジュラスはあえなくスペインに「0-2」で敗戦…。しかし、あの時と違うのは、今回のホンジュラスは初戦で「勝ち点」を獲得してる事。これにより、3戦目まではどちらにしても、この組はどこが突破するのか分からない…。「ホンジュラスVS日本」の3戦目が、ますます重要な意味を持つ試合となりました。

 「ホンジュラスVSスペイン」、「日本VSモロッコ」…2戦目の行方は…?皆さんの予想は?

 こうして元気に笑顔でブログ更新できるようになったのも、愛するホンジュラスのおかげ。「感謝」と「恩返し」の気持ちを込め、最後まで全力で応援したいと思います…。



「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→日本…」 -ロンドン五輪VSモロッコ!2012年7月26日(木)③


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