我が心の故郷・ホンジュラス。「28年間」の想いを胸に…いざ出陣!! | 元U-20ホンジュラス代表GKコーチ・山野陽嗣の「世界一危険な国での挑戦」

我が心の故郷・ホンジュラス。「28年間」の想いを胸に…いざ出陣!!


 僕は「日本人」としての誇りを人一倍、もって生きている

 WBCなら日本代表フィギュアスケートなら浅田真央選手を始めとする日本選手団 。当然の如く、全身全霊を込めて「日本」を応援する。

 しかし…。

 これが、こと「サッカー」となると話が変わってくる。

 僕は1人の「人間」としては「日本人」だが、1人の「サッカー人」としては、「ホンジュラス人」なのだ 。もしW杯の舞台で日本とホンジュラスが対戦するのなら、僕は迷わずホンジュラスが「5-0」で日本に勝つ事を望むだろう…。

 ただ単に「ホンジュラスが好き」とか「ファンだから」とか、そういうレベルでもなければ次元でもない。僕の「ホンジュラス」に対する強烈な想いは、おそらく誰にも理解できないだろう。

 僕は2005年に初めてホンジュラスに上陸し、この国のサッカーに衝撃を受けた。驚異的な身体能力と個人技術を前面に押し出した、ダイナミックで破天荒なサッカー 。日本では、「サッカーは辛いものだ」としか思えなかった自分が、ホンジュラスに来て初めて「サッカーは楽しいものだ」と気付かされた。魅力溢れるホンジュラスサッカーが僕に「サッカーの楽しさ」を教えてくれた…。

 おそらく、世界で最も「劇的」に南アW杯出場を決めた国はホンジュラスだろう。勝っても、コスタリカが勝利すれば南米とのプレーオフに回らざるを得ない厳しい状況に置かれていた最終予選の最終戦。他力本願だった…。しかし後半残り15分まで「2-0」とリードしていたコスタリカが、ロスタイムに同点に追い付かれるという正に奇跡の展開で、28年ぶりのW杯出場を決めた 。歓喜に沸くホンジュラスは出場を決めた「10月15日」が国の祝日になる 。正に「歴史的瞬間」だった。日本のネットでこの最終戦のラジオ生放送を聴きながら応援していた僕は、感動のあまり涙が出そうになった。この日の事は、一生、忘れる事ができない。

 近年は、「あと一歩」というところで涙を呑んできた。2002年日韓W杯予選は「あと1勝」というところまで迫りながら、手が届かなかった 。ここ12年間、中心選手は変わっていない。だからこそ、主力は軒並み高齢化し、正直に言うと、選手個々の能力は前回のドイツW杯、前々回の日韓W杯の時よりもレベルダウンしている。かつてほどの爆発力は、今のチームには望めない…。

 それでもこのチームは、3年前から代表監督に就任したレイナルド・ルエダ によって生まれ変わる。南米では知らない者がいないほどの知将であるこのコロンビア人監督は、これまでのホンジュラスに最も欠けていた「規律」と「戦術」をチームにもたらす。そして、ホンジュラスサッカー本来の「おもしろさ」「ダイナミックさ」「破天荒さ」は残しつつも、しっかり「勝利」という結果を残せる堅実なチームを作り上げた。ホンジュラスを「28年ぶり」のW杯に導いた最大の功労者と言っても過言ではない。


※今年の<冬オフ >にホンジュラスに訪問した際、大統領ロベルト・ミチェレッティ だけではなく、代表監督レイナルド・ルエダとも対面。偉大な人物である。

「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→?」 -con Reinaldo Rueda en Morazan (2010.1.9)


※こちらはホンジュラス代表GKコーチのペドロ・サペ。

「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→?」 -con Pedro Zape en Morazan(2010.1.9)


※南アW杯メンバーに選ばれたアミーゴのマウリシオ・サビヨン(向かって右)。左のマリアノ・アセベドは惜しくも落選…。マリアノの分も活躍してくれ、サビヨン!!

「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→?」 -con Sabillon y Mariano en Morazan(2010.1.9)


 ホンジュラス代表監督レイナルド・ルエダとは親交が深まり、彼から「日本代表と親善試合がしたい」という要請が2度も僕の下に届いた。ホンジュラスサッカー協会からも正式文書が送られてくるほど向こうも本気だったが、「ホンジュラスのために力になりたい」という想いで日本サッカー協会と連絡を取るなど全身全霊を尽くすも、残念ながら彼の願いを実現させてあげる事はできなかった。そこが無念でならない…。

 今日のチリ戦に向け、実は不安要素は山積みだ。「ホンジュラスの英雄」である絶対エースのダビド・スアソ が、怪我でチリ戦に出場できないという…。さらに昨日、ダビド・スアソ以上にホンジュラス勝利の鍵を握る選手と僕が思っていたフリオ・セサル・デ・レオンが、怪我でW杯自体を棒に振る事になったらしい。イランのアジジの件があるので単なる「情報戦」だと信じたいが、これがもし本当だとホンジュラスは一気に窮地に追い詰められる…。大会直前には、予選で大活躍したFWカルロス・コストリーが怪我でW杯メンバーから落選するなど、攻撃陣の駒不足は深刻な状況にある。親善試合もここ4試合、勝ち無し…。

それでも僕は、「心の故郷」であるホンジュラスの事を、信じている。

 2009年に行われた親善試合では、ホンジュラスはチリを「2-0」で破っている 。恐れる必要は何も無い!!

 「28年間」の想いを胸に…。我らがホンジュラスが、ついに南アW杯のピッチに立つ…。


「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→?」 -Honduras国旗!


※「ホンジュラスVSチリ」は日本でもTBSで20時から生放送!共にホンジュラスを応援して下さい!!ヨロシクお願いします!!