ホンジュラス、南アフリカW杯出場!!!!! | 元U-20ホンジュラス代表GKコーチ・山野陽嗣の「世界一危険な国での挑戦」

ホンジュラス、南アフリカW杯出場!!!!!



 どんなに優秀な映画監督でも、こんなストーリーは描けません。

 誇張でも何でもない…。これは「奇跡」です。今日、「奇跡」が起きました!!


 
<最終予選、9試合を終えての順位表>

1位:アメリカ 「勝ち点19」(6勝2敗1分)<得失点差+6>※W杯出場決定クラッカー

2位:
メキシコ 「勝ち点18」(6勝3敗)<得失点差+6※W杯出場決定クラッカー

3位:
コスタリカ 「勝ち点15」(5勝4敗)<得失点差 0

4位:
ホンジュラス 「勝ち点13」(4勝4敗1分)<得失点差+5

5位:
エルサルバドル 「勝ち点」(2勝5敗2分)<得失点差-5>※予選敗退ドクロ

6位:トリニダード・トバゴ 「勝ち点」(1勝6敗2分)<得失点差-12>※予選敗退ドクロ



 上の順位表の通り、残り1試合の時点でコスタリカが「勝ち点2差」でホンジュラスをリード。南アW杯に自動的に出場できるのは「3位以内」。「4位」のままなら南米5位とのプレーオフに回らなければなりません。

 ホンジュラスが南アW杯に出場するには最終戦でエルサルバドルに勝って、それプラス、コスタリカがアメリカに負けか引き分けでないといけません。コスタリカが勝ってしまった時点で、いくらホンジュラスが勝っても南米5位とのプレーオフに回る事となってしまう…。

 つまりホンジュラスに、「自力」での予選突破の可能性は無かった。


 日本時間、午前9時。
 
 <エルサルバドルVSホンジュラス>

 <アメリカVSコスタリカ>

 運命の2試合が同時にキックオフ!!!!!

 僕は立正大学サッカー部のコーチ室のPCで<エルサルバドルVSホンジュラス>のネットラジオ放送を生で聞きながら応援しました。遠い異国の地で行われてる試合を生でラジオを聞きながら応援できるなんて…。非常に不思議な感じがしたし、ネットの凄さを改めて再認識しました。やらなくちゃいけない仕事もあったのですが、全く手につかず…(笑)。すみません監督!!今日ばかりは許して下さい!!


 先に試合が動いたのは…<アメリカVSコスタリカ>。

 何と前半の内にコスタリカが電光石火の2ゴールを挙げ、アメリカを「2-0」でリード…。

 対するホンジュラスはエルサルバドルを相手に得点できず「0-0」のスコアレスドロー…。

 この時点で、南アW杯への切符はコスタリカが握っていました。

 ホンジュラスにとっては悪夢のような展開…。大ピンチです!!



 試合はこのまま後半に突入。

 そして「64分」。ついに<エルサルバドルVSホンジュラス>にも動きが出ます。

 ゴールを決めたのは…???

 ホンジュラス!!!!!

 アメリカ戦でPKを外すなど戦犯となってしまった大ベテラン、カルロス・パボンの魂の弾丸ヘッドで先制!!「1-0」!!ホンジュラス、ついにリードを奪う!!
 
 しかし、いくらホンジュラスがリードを奪っても、コスタリカがアメリカに勝ってしまっては何の意味もありません。よってホンジュラスを応援すると同時にアメリカも応援しなくてはならない展開が続いていきます。「0-2」の状況からアメリカが同点に追い付いてくれる事を、もはや祈る事しかできません…。

 
 膠着状態のまま試合は進み、迎えた「71分」。

 ここにきて<アメリカVSコスタリカ>が再び動きを見せました。

 ゴールを決めたのは…。

 アメリカ!!よっしゃ、よっしゃ!!これで「1-2」!!1点差に詰め寄ります!!

 しかし、これでもまだホンジュラスはW杯に手が届かない…。

 アメリカがもう1点取ってコスタリカと「引き分け」なければ、ホンジュラスは南米5位の強豪ウルグアイとのプレーオフに回る事となってしまう…。


 ラジオで試合中継を聞きながら、ずっとずっと祈り続けていました。

 「アメリカ頼む!!もう1点取ってくれぇ!!」


 ところが現実とは残酷なもの…。

 僕の…そして全てのホンジュラスファンの祈りは届かず、依然としてコスタリカが「2-1」とアメリカをリードしたまま、試合はついに90分間を終了…。

 残るは「ロスタイム」のみとなってしまいました。

 ホンジュラスのラジオ局の実況も半ば諦めムードで、次のプレーオフ・ウルグアイ戦の話が出始めます…。

 もう駄目なのか…。もはやホンジュラスの希望は風前の灯…。

 終わった…。

 誰もがそう思った瞬間…。

 考えられないような奇跡が起こりました!!!!!

 ロスタイムも「4分30秒」を経過…。

 「もう、ほとんど時間は無い」というところで、アメリカがCKのチャンスを得ます。

 おそらく、このプレーの直後に試合終了の笛が鳴るでしょう。

 正にラストプレー…。

 コスタリカゴール前に蹴り込まれる、アメリカのCK…。

 ボールはドンピシャでアメリカ代表ボーステインの頭へ…。

 渾身の力で打ち込まれたヘディングシュートは、ホンジュラス国民の夢を乗せてコスタリカゴールに突き刺さる!!

 うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!

 大絶叫のホンジュラスラジオ局!!!狂喜乱舞です!!

 あまりの大騒ぎで僕は一瞬、何が起きたのか全く分かりませんでした。

 しかしその後、ホンジュラスラジオ局の実況が…

 「ホンジュラス、南アフリカW杯出場!!!!!」

 …と雄たけびを上げる声が聞こえてきて、事態がようやく把握できました!!

 ホンジュラス、南アフリカW杯出場!!!!!!!!!!

 奇跡としか言いようがない、あまりにも…あまりにも劇的な幕切れ…。

 ホンジュラスラジオ局の実況は、感極まって泣いていました。

 僕も思わず、涙が出そうになりました。

 ホンジュラスは僕に、プロとしてサッカーするチャンスを与えてくれた、最初で最後の国…。この国に対する熱き想いは、1億2000万人の日本国民の中でも自分が一番だと自負して止みません。

 そのホンジュラスが、ついにW杯出場を決めた…。感動して言葉が出ませんでした。

 28年ぶりにW杯の大舞台に戻ってきたホンジュラス…。

 世界を驚かせるのは、まだまだこれからです!!!!!

 本当におめでとう、ホンジュラス!!!!!

 どんな時でも、僕はホンジュラスを信じてきた…。

 そして、やっぱりホンジュラスは期待に応えてくれた…。

 ありがとう、ホンジュラス!!!!!君たちは最高だぁ!!!!!



<動画><南アW杯 北中米カリブ海地区 最終予選「アメリカVSコスタリカ」>

 (白が「アメリカ」、が「コスタリカ」)
 



 



<動画><南アW杯 北中米カリブ海地区 最終予選「エルサルバドルVSホンジュラス」>

 (が「エルサルバドル」、白が「ホンジュラス」)