北京五輪サッカー第3戦 <ホンジュラスVS韓国>
<2008年8月13日(水) 北京五輪サッカー第3戦「ホンジュラスVS韓国」>
「ビックリ仰天!『縁』がもたらした『奇跡』!」…の2日後。
ホンジュラスにとって北京五輪における「最後の試合」…「韓国戦」の日がやってきました。
すでにイタリア、カメルーンに連敗し、「決勝トーナメント進出」の可能性が絶たれてしまったホンジュラス…。開幕前、「最も望んでいなかった展開」に、残念ながらなってしまいました。本当に悔しい…。 しかし、気持ちを切り替え、日本と同じアジアの国、韓国を相手に、「ホンジュラスサッカーの素晴らしさ」を存分に発揮し、勝利してくれる事を願い…信じ…スタジアムに向かいました。
そして、ついに選手入場!!ホンジュラスにとってはすでに「消化試合」ですが、韓国は
カメルーンの結果次第では、まだ「決勝トーナメント進出」の可能性がほんの僅かながら残されており、死に物狂いで闘ってくるはず…。
そこら辺の「モチベーションの差」が少し心配でした。
しかもホンジュラスは、前回記事にも書きましたが、ここまでファインセーブ連発でチームを救ってきた正GKケビン・エルナンデスが、累積警告で出場停止…。北中米カリブ海地区の予選も含め、これまで全く出番の無かった「第2GK」が、果たしてこの「オリンピック」という大舞台で急に出番がやってきて、一体どれだけやれるのか…?
同じ「GK」として、そういう状況の難しさがよく分かるだけに、そこも不安要素の1つでした。
また、「オーバーエイジ」で今大会に出場したFWカルロス・パボンは、カメルーン戦で負傷し、この試合はベンチ外…。しかし、これまで「PK失敗」するなど絶不調のカルロス・パボンに代わりこの試合のスタメンFWに抜擢されたのは、前回記事でも紹介した、マラトン時代のアミーゴ…ルイス・ロペス! 今大会、初スタメン! カメルーン戦でも途中出場してパボンより良いプレーをしており、こちらは「不安要素」と言うより「期待感」の方が大きかったです。
※国歌斉唱!さあ、もうすぐキックオフです!
そして、ついにキックオフ!!
試合開始直後…。ペースを掴んだのは…。
ホンジュラス!!
「決勝トーナメント進出」のためには「勝利」以外、許されない韓国ですが、それが「プレッシャー」になったのか、動きが硬く、消極的…。
…対するホンジュラスは、これまでの2戦同様「パス回しと、ドリブル突破」でリズムを掴み、韓国GKと1対1のチャンスを作るなど、決定機を量産します。
「今日こそは勝てる!!!」
開始早々のプレーを見る限り、「モチベーションの低下」は感じられず、むしろ動きが硬い韓国に対し、ホンジュラスはのびのびプレーし、韓国ゴールに何度も迫りました。
しかし…。
いくらリズムを掴み、相手を翻弄し、決定機を量産しても、「得点できない」のが、今大会のホンジュラス…。
この、開始早々の「良いリズム」の時間帯に1点でも取れていれば、全く違う展開になったのでしょうが、ここで決定機を決められなかった事で、ホンジュラスの選手たちは「またか…」という心境になってしまったのか…。
試合開始から15分も過ぎると、ホンジュラスの「勢い」は完全に止まり、明らかに集中力を欠いたプレーやミスが続出し始めます。
これまで動きが硬かった韓国ですが、勝手にホンジュラスの方が自らリズムを崩してくれた事もあり、徐々に韓国らしい積極的なプレーが出始めました。
そしてここから、韓国「怒涛の猛攻」が始まり、ホンジュラスは防戦一方に…。
前半の内に「先制点」を韓国に奪われ、「0-1」で後半に突入…。
後半になっても全く流れは変らず、「決勝トーナメント進出」に僅かながらの可能性を残す韓国が、ホンジュラスを圧倒!! 逆にホンジュラスは完全に集中力が切れてしまったのか、ほとんど見せ場を作れず…。
ともすれば「大敗」もありえる散々な試合内容…。
それを救ったのが、「今大会初出場」となったホンジュラスの「第2GK」でした(名前を忘れてしまった…)。試合前は「不安要素」と思っていたのですが、神懸り的なファインセーブを連発し、オリンピックという大舞台でホンジュラスが国際的に「大恥」をかくのを、必死で食い止めました(このGKのファインセーブが無ければ、大変な事になっていた)。
しかし、彼の健闘も空しく、試合はそのまま「0-1」で終了…。
ホンジュラス、韓国にも敗れ、「3戦全敗」で北京五輪を終える…。
※「試合終了」のホイッスルと同時にピッチに倒れ込んだのは…何と「勝者」韓国。実は同時刻に行われた「イタリアVSカメルーン」が引き分けに終わったため、韓国の「決勝トーナメント進出」が消滅してしまったのです。それにしてもホンジュラス…。もっと悔しがってもエエんじゃないかい!?これも「国民性」なのか…。ホンジュラス人は良くも悪くも「切り替え」が早い。サバサバしています。この写真だけを見ると、一体どちらがこの試合の勝者なのか…分からないくらいですね。
※韓国人サポーターとお互いの健闘を称え合い、記念撮影。(赤い「つの」は韓国の物、白と青の「カツラ」はホンジュラスの物)
※試合後、エミル・マルティネスの奥さん&息子などと…。
これまで「イタリア戦」「カメルーン戦」に負けても、「内容は良かった」とホンジュラスの健闘を称えてきました。しかしこの「韓国戦」に関しては、「今大会最悪」とも言うべき試合内容…。
僕の「ホンジュラス」に対する熱き想いを知る親友の安英学も、韓国でTVを見ながら「ホンジュラスを応援してたよ」との事だったのですが…。安を始め、韓国やその他アジア諸国の人々に「ホンジュラスサッカーの魅力」をアピールできなかった事は(韓国戦に関しては)、本当、言葉では表現できないほど、悔しかったです!!
こうして、本当あっと言う間にホンジュラスの「北京オリンピック」が終了してしまいました。最後の最後まで、歯車が噛み合わなかったホンジュラス…。「3戦全敗」「無得点」という無念の結果だけが残りました。
今大会のホンジュラスを総括してみると…。やはり、何と言っても初戦「イタリア戦」の「3本のPK」が全てだったように思います。
理解し難い判定でイタリアに「2本のPK」を取られ、2失点した事…。
そして、せっかく掴んだPKのチャンスは、オーバーエイジで今大会に出場したカルロス・
パボンが、まさかまさかの失敗…。この「PK失敗」は、本当に痛かった…。ここで1点でも取れていれば、ホンジュラスの国民性からして全試合を通じて勢いに乗れたはず…。そんな大事な大事なPKを、「精神的主柱」であるパボンが失敗…。チームに与えた影響は計り知れませんでした。
しかし、それら全てをひっくるめて、これが現時点での「ホンジュラス五輪代表」の「実力」だったのでしょう…。悔しいですが、僕はそう解釈しています。
ホンジュラス五輪代表の「北京オリンピック」はこうして終了してしまいましたが、サッカーの世界においては、「オリンピック」より「W杯」の方が重要です。そう考えれば、オリンピックはあくまでも「通過点」であり、今回の五輪代表選手たちは、このオリンピックでの経験を生かし、フル代表に入って、ぜひ活躍して欲しい…。
そして、この「韓国戦」から僅か4日後(だったかな?)…。
ついに、
「南アフリカW杯 北中米カリブ海地区 3次予選(最終予選の1つ前)」
…が始まりました。
ホンジュラスの組み込まれたグループは、全ての国が「W杯出場経験がある」という、正に最強難易度の「死の組」…(とことん「クジ運が無い」のも、「ホンジュラスらしさ」の1つ)。
しかしそこから、「ホンジュラスサッカー界の快進撃」が始まりました…。
つづく