決算書が苦手な経営者が多いように、ITに対しても必要以上にアレルギーを強調する経営者は少なくありません。
しかし、ITが苦手なままでは、今後ますます加速する国のデジタル化政策についていけなくなります。補助金や助成金の申請も電子化が進んでおり、対応できない企業は成長のチャンスを逃してしまいます。

これは高齢の経営者だけではなく、若手経営者でも「ITが苦手だから助けてほしい」と言う方が意外に多いのです。ITは敵ではなく、生活やビジネスを便利にする有効なツール。だからこそ、まずは “自分にもできる”という実感 を持つことが大切です。

1.IT苦手意識が経営判断を遅らせるリスク

企業支援をしていると、いまだにオンライン会議システムを導入していない中堅企業を見かけます。特に地方の企業では、電話で操作を説明しながら、同時にオンラインで指導する…といった手間が発生し、ビジネススピードが著しく落ちます。
今や商談の多くはオンライン化している時代。ここに対応できなければ市場から取り残されるのは明らかです。「苦手だから」と避けること自体が、経営判断を遅らせ、競争力を失う原因になるのです。

2.小さなステップでITリテラシーを向上する

とはいえ、いきなり高度なシステムを使う必要はありません。

  • 勤怠管理をエクセルで入力してみる

  • 経費精算アプリを一度試す

  • 社内会議をオンラインでやってみる

といった小さな挑戦から始めるだけで十分です。
一度慣れてしまえば、他のアプリも基本的な操作は共通しているため、「思ったより難しくなかった」という感覚が得られます。この 小さな成功体験の積み重ね が、ITアレルギーを解消していくのです。

3.「自分にもできた」を広げる工夫

経営者自身が「意外と簡単だった」と実感することが、社内DXを推進する最大の原動力になります。
その体験をぜひ社員と共有してください。

  • 経営者が率先してアプリを使う姿を見せる

  • 小さな成果(入力が早くなった、残業が減った)を社内で発信する

  • 成功体験をチームで共有し、他部署にも広げる

こうした取り組みによって「自分にもできる」という空気が社内に広がり、自然とDXが浸透していきます。

まとめ

ITが苦手という意識は、放置すれば経営のスピードを鈍化させるリスク要因です。
しかし、小さな一歩から始めて成功体験を積み上げれば、その苦手意識は必ず克服できます。
経営者自身が「できた!」と感じ、それを社内に広げることこそが、中小企業におけるDX推進の本当の第一歩 なのです。

 

本日もありがとうございました。

皆さんの会社では、スケジュールをきちんと共有していますか?
OutlookやGoogleカレンダーなどのツールは多くの企業で導入されていますが、「導入しているだけ」で活用されていないケース が意外と多いのです。

例えば、上司が秘書だけに予定を伝えて現場と共有していなかったり、各部署ごとにバラバラの管理をしていたり。結局「システムはあるけど予定は紙や口頭」という状態に逆戻りしてしまうこともあります。これではせっかくのIT投資が無駄になり、生産性向上どころか混乱の原因になりかねません。

そこで今回は、スケジュール共有がなぜチーム力を高めるのか、そして「形骸化させないためのポイント」についてお話します。

1.ダブルブッキングや連絡漏れを防ぐ

スケジュール共有が徹底されていないと、上司と部下で予定が重なり、ダブルブッキングが発生することがあります。結果として担当者が関係先に頭を下げて調整する羽目に…。
こうした無駄な調整は、結局「スケジュール管理を怠った人のツケ」を現場が払うことになります。

しかし、全員の予定が一元化されていれば、ダブルブッキングや伝達漏れは大幅に減少します。強制的に入力・共有される仕組みを整えれば、「記録に残る」ことで責任の所在も明確になり、業務のスピード感が飛躍的に向上します。

 

 

2.仕事と家庭の両立を支援できる

スケジュール共有は、ワークライフバランスにも直結します。
「この日は有休を取る」「子どもの行事で早めに帰る」といった予定をチームで把握できるだけで、周囲が業務を前倒しで支援できます。

もちろんプライベートの詳細まで公開する必要はありませんが、最低限の予定を共有することで「気遣いの文化」が生まれます。逆に、それを無視して仕事を押し付ける上司がいれば、記録として残るため、人事的な判断材料にもなります。

3.形骸化を防ぐ「活用ルール」の重要性

大手・中堅企業でよくあるのが「導入したのに活用されない」という問題です。

  • 一部の人しか入力しない

  • 秘書や総務だけが知っていて現場に反映されない

  • 部署ごとにExcel・紙・アプリが混在してバラバラ

これでは本来の効果を発揮できません。
重要なのは 入力ルールを明確化し、守らせる仕組み です。
例えば、

  • 会議や外出は必ずカレンダーに入力

  • 休暇・早退は最低○日前に共有

  • 更新が漏れた場合の責任を明確にする

こうしたルールを設けることで、システムが単なる箱ではなく「動く仕組み」として機能します。

まとめ

スケジュール共有は単なる利便性の問題ではなく、チーム力を高め、組織全体の働き方を変える仕組みです。
ツールを導入して終わりにするのではなく、活用ルールを設けて習慣化すること。これが、ダブルブッキングを防ぎ、ワークライフバランスを支援し、組織全体の透明性を高めるカギになります。

節約については以前も記事にしましたが、実は節約は 未来とセットで社員に伝える ことが重要です。
それを怠ると、社員の士気が一気に下がってしまうリスクがあります。

なぜか?
「節約」という言葉自体にネガティブなイメージがあるからです。モチベーションが下がったまま「節約しているフリ」をして成果が出ない…。そんな企業は少なくありません。これは貴社だけの課題ではなく、多くの企業が抱えている現象なんですね。

節約で士気を下げないための施策

社員のやる気を維持するためには、 「削る所と投資する所のメリハリ」を見える化する ことが効果的です。

具体例を挙げます:

  • 経費削減で浮いた金額を社員に報告
    掲示板や社内報で毎月「今月の削減額」を公開する。数字で成果を実感できると社員の士気は自然と上がります。

 

  • 浮いたお金の使い道を明確化

    • 社員研修費:ただし「コンプライアンス研修」ではなく、財務や会計などスキルアップにつながる研修を。

    • 設備投資:労務を軽減し、時間を節約できる設備を導入。その効果も数字で共有すると納得感が生まれます。

    • 福利厚生費:設備よりも「外部研修費補助」など個人の成長に直結する施策がおすすめです。特に7割以上補助すると、やる気のある社員が積極的に手を挙げてきます。

節約の本質

コスト削減活動は「我慢の連続」というイメージを持たれがちです。
ですが、節約=未来への投資資金をつくる行為 とストーリーを描いて見せることで、社員の士気は確実に高まります。

節約を単なるコストカットで終わらせず、成長につなげる流れを示すことが経営者の役割ではないでしょうか。

 

本日もありがとうございました。

以前の記事で「小さな成功体験を積み重ねる大切さ」について書きました。
今回は視点を変えて、経営者や中間管理職の方に向けて「小さな決断を積み重ねる重要性」についてお話しします。

小さな決断が経営者を強くする

決断という行為は、人間にとってストレスと直結しています。
ただし、前向きな決断は過度なストレスではなく「適度な刺激」となり、人を成長させると言われています。

そして――
小さな決断を繰り返してきた人ほど、大きな決断を下すときにストレスを大幅に軽減できるのです。

小さな決断の具体例

「小さな決断って何?」と思われるかもしれません。
本当に小さなことで構いません。例えば――

1)今日は誰に会うかを決める
2)どの案件を優先するかを決める
3)何時に帰るかを決める

一見些細ですが、こうした積み重ねが「決断の筋力」を鍛え、やがて大きな決断の場面で力を発揮するのです。

 

決断はPDCAの中にもある

PDCAサイクルの “Check” も実は「小さな決断の連続」です。
計画(Plan)を実行(Do)し、成果を検証(Check)するときに「良かったのか、修正すべきか」を決める。
これも立派な決断です。

日常のPDCAに小さな決断を意識的に組み込んでみてください。

経営に効く“小さな決断”の例

  • 原価管理:小さな改善を積み重ねると、年間で大きな利益差につながる

  • 営業活動:アポイントを取る、条件交渉を始める、など行動を分解して決める

  • マーケティング:強みを話し合う、ブログを立ち上げる、といった一歩を決める

こうした小さな決断を積極的に繰り返すことが、経営者や管理職としての経験値を高めていきます。

まとめ

大きな決断に強い経営者になるには、日常の小さな決断を習慣化することです。
「決める」ことを先送りせず、小さな一歩を積み重ねていきましょう。

 

本日もありがとうございました。

皆さんの会社では、情報共有は徹底されていますか?
経営陣だけが情報を抱え込み、一部で噂のように流れてしまう――そんな経験はありませんか?
私が以前勤めていた企業でも、情報が正しく伝わらず、現場が混乱することが何度もありました。その結果、判断を誤り、組織が弱体化していったのです。

では「情報は共有すべきではないのか?」というと、そうではありません。
むしろ ルールを定めて正しく共有すること が、組織の効率性と信頼性を高めます。

1.情報共有でスピードが向上する

担当者や中間管理職が持っている情報は、チーム全体で即時に共有できる仕組みを整えるべきです。
例えば、取引先の部長が急に異動し、関係性が大きく変わることがあります。これを「口頭で伝える」だけに頼っていると、伝え漏れが発生し、現場は突然の対応に混乱してしまいます。
クラウド上で共有すれば、全員が最新の状況を把握でき、スピード感のある対応が可能になります。

2.データを最新化してトラブルを防ぐ

情報共有は「数値データ」でも効果を発揮します。
私が経験したケースでは、海外発注の数量変更を担当者がメールだけでやり取りしたため、納品時に発注数と納品数が異なるトラブルが発生しました。
もし「数量変更は必ず共有ファイルに反映する」というルールが徹底されていれば、防げたはずです。
こうしたルール化によって、ヒューマンエラーによるトラブルは大幅に減らせます。

まとめ

情報共有は「透明性」と「スピード」を組織にもたらします。
属人的なやり取りに頼るのではなく、クラウドや共有ファイルを活用し、明確なルールのもとで共有を進めることが、トラブルのない健全な経営につながります。

 

本日もありがとうございました。