デジタルトランスフォーメーション。経営者として進めたいけれど、古参社員の抵抗感が強く、思うように進められない――。実は若手の2代目、3代目経営者からこのような相談をよく受けます。

熟練工は自分のスキルに自信を持つ一方で、作業を属人化しがちです。結果として技能が承継されず、企業全体の底上げが進まない。そこで必要なのが DX化による知識・技術の共有と仕組み化 です。

1.人が変化を嫌う心理を理解する

熟練工に限らず、若手であっても人は変化を嫌うものです。これは生物学的にも証明されていて、従来のやり方を続けるほうが安心できるからです。
なぜ社員が抵抗するのか」を頭ごなしに否定せず、まず心理として理解することが、DX推進の第一歩です。

2.段階的な導入とトライアルの工夫

例えば、アナログなノミからいきなり自動加工機に移行するのは大きなハードルです。
そこでまず電動ノミにトライアル的に移行し、効率性を実感してもらう。段階を踏むことで、次のDX導入への心理的な抵抗は大幅に下がります。
経営者には「熟練工の技術を守りつつ、仕組みに落とし込む」という覚悟が求められます。

DX推進で成功したチーム、喜びを分かち合う人々

3.成功事例の共有で不安を払拭する

小さなデジタル化の成功を社内で共有することは非常に有効です。
経営者が自ら試した体験や、社員が導入して成果を上げた実例を発信すれば、「自分にもできそうだ」という感覚が広がります。
人は前例があると心理的に安心でき、新しい取り組みを受け入れやすくなるのです。

まとめ

DX導入に抵抗はつきものです。しかし、

  • 心理を理解する

  • 段階的に導入する

  • 成功事例を共有する

この3つを意識すれば、社員の不安は和らぎ、徐々に前向きに変わっていきます。
DX化は単なるシステム導入ではなく、組織文化を変える経営課題です。経営者自身が強い決意を持ち、社員と歩調を合わせることが成功のカギとなります。

 

本日もありがとうございました。

最近「中間管理職が部下とのやり取りに困っている」というニュースをよく見かけます。
飲みに誘えない、残業を頼みにくい、会話が続かない、反抗的な態度を取られる――本当に悩みは尽きませんよね。

でも、冷静に考えてみると、これは 目の前の事象に振り回されすぎている 状態かもしれません。
「こう言えばうまくいく」というコミュニケーション術は本屋にたくさん並んでいますが、対人関係は相手によって全く違うもの。
結局「絶対的な正解」は存在しないと私は思います。

だからこそ、中間管理職に求められるのは「うまい会話術」ではなく、
部下が育つ環境を整え、仕組み化すること なんです。

これを実施することで権限移譲もできるようになる環境が整います。
今日はその中でも特に大事な“部下との関わり方”についてお話します。

女性が手を合わせて祈っている様子

部下に「指示」ではなく「お願い」をする

「これを○○までにやりなさい」――こんな言い方をしていませんか?
部下からすると「やらされ感」しかなく、モチベーションは下がる一方です。

一方で、
「この仕事なんだけど、あなたにぜひお願いしたい。○○までに仕上げてもらえるかな?」
と伝えると、受け止め方はまったく違います。

人は「頼られる」とやる気が出るもの。
最初はすぐに効果が出なくても、続けることで必ず味方になってくれる部下が増えていきます。

完了したら感謝を伝える

部下が仕上げた仕事を、無言で受け取って承認印を押し、次の部署へ――。
これ、実は部下のやる気を一気に削ぐ行為です。

「期日通りに終わらせてくれて助かったよ、ありがとう」
そう一言添えて、笑顔を見せてください。

その上で「ここは次回こうしてほしい」とフィードバックすれば、部下も前向きに改善できます。
感謝と改善、このセットを習慣にするだけで人間関係はガラッと変わります。

 

お願いの仕方と感謝の伝え方
このちょっとした習慣が、部下を育てるだけでなく、中間管理職自身の人間力を磨くことにもつながります。

ぜひ今日から意識してみてください。

 

本日もお読みいただきありがとうございました✨

今日は製造業に属する企業の「コスト削減による資金調達」についてお話しします。
製造業のコスト削減と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?

真っ先に取り組むべきは 業務プロセスの改善 です。これは単にコストを削減するだけでなく、余剰時間を生み出し、営業が取ってきた追加案件を効率的に処理できるようになります。その結果、売上の増加+コスト削減=利益の拡大 が実現できるのです。

特に効果的なのは、ボトルネック工程を見極め、多台持ち化を推進すること です。

ボトルネック工程の特定

製造の流れの中で、時間がかかる工程はありませんか?
その前後の工程で作業員が“手待ち状態”になっていたら、そこが改善のチャンスです。

ボトルネック工程とは、他の工程に比べて処理時間が長く、全体の流れを滞らせてしまう部分のことです。
ここを特定し、なぜ時間がかかるのか原因を探りましょう。

改善の具体例

例として「部品加工 → 組み立て → 塗装」という工程を考えてみます。

  • ボトルネック工程:組み立て(部品を一から組み立てるため時間がかかる)

  • 改善策

    • 前工程の部品加工の段階で「キット化」しておく

    • 作業員を教育し、どの工程でも作業できるようにする

    • 必要に応じて、前後工程の人員を組み立て工程に投入する

こうして多台持ちを導入することで、前後の余剰人員を有効活用でき、ボトルネックを解消できます。
結果として 生産効率の向上+コスト削減 が同時に実現するのです。

困った表情の男性、車のエンジンルームを覗き込む

まとめ

製造業におけるコスト削減の第一歩は、派手な設備投資ではなく 工程改善 から始まります。
まずは「専任の作業員を多台持ちにする」ことを検討してみてください。
それだけで、目に見える成果が出るはずです。

 

本日もありがとうございました。

原材料高騰、光熱費高騰、人件費高騰…。経営者を悩ませるコスト上昇が続く中、売価に反映できず赤字に陥っている企業は本当に多いです。
「売価を変えればいい」と助言しても、下請け気質がしみついていて調整できないケースが多いのも実情でしょう。ですが、経営は待ってくれません。

先日は身近な費用削減についてお話しましたが、今回はもっと大きな視点からの経費削減案をご紹介します。

電気代より「人件費効率」と「在庫管理改善」

電気代を気にしても節約効果はたかが知れています。
一方で、人件費と在庫はキャッシュフローに直結するため、赤字が続く企業ほど真っ先に取り組むべき課題です。

人件費効率の改善例

  • 熟練工の勤務をフルタイムから週3日勤務に見直す

  • それに応じて給与体系も変更する

在庫管理改善の例

  • 勘に頼らず「注文+安全在庫」で仕入れ量を決める

  • 実績データをもとに安全在庫を再設定し、適正在庫化を進める

これらによりキャッシュフローは短期的にも改善し、資金繰りの安心感が高まります。

倉庫で在庫管理をする人の写真

数値化して「納得感」を得る

施策を実行したら、削減効果を必ず数値化しましょう。
数字で成果を確認することで、経営者自身も納得感を得られ、次の改善アイデアも生まれやすくなります。

実際に事業再生で支援した企業では、68歳の熟練工を従来通りの給与で雇い続けた結果、原価割れの案件を取り続け、債務超過に転落していました。
勤務体系と給与を見直すよう助言したところ、社長は最初こそ渋りましたが、状況を理解して決断。結果、3カ月後には追加融資の効果もありキャッシュフロー黒字化の見込みとなりました。

経費削減の本丸はここだ

大きな効果を出すには、やはり 人件費効率」と「在庫管理改善 が鍵です。
人をリストラせずとも、人件費は改善できます。

経営者の覚悟をもって取り組んでみてください。

 

本日もありがとうございました。

DX(デジタルトランスフォーメーション)。
最初に聞いたとき「DXって何?」と戸惑った方も多いのではないでしょうか。私自身、商社時代は横文字を多用していて、独立後も「ドラフト」「ミニマイズ」などを外部の方に使ってしまい、先輩コンサルから「何を言ってるんだ」と突っ込まれた経験があります(笑)。

横文字はかっこよく聞こえる反面、内容が伝わらなければ意味がありません。DXも同じです難しい言葉に惑わされず、便利さという本質を見抜くことが大切です。

1.横文字に惑わされず実を取る

「デジタル化」と聞くと難しく感じる企業は少なくありません。ですが、要は 人手に頼っていた業務を機械に置き換え、便利にすること です。
メーカーが導入時にトレーニングを行う場合も多く、構える必要はありません。大事なのは「便利かどうか」という視点で判断することです。

2.日常業務の効率化がDXの出発点

日常業務の中には「なぜこんなに人手がかかるのか?」と思う作業がたくさんあります。例えば帳簿を手書きしているケース。修正のたびに二重線や書き直しが必要ですが、PCであれば削除や修正は一瞬です。
こうした小さな改善が積み重なると、生産性は飛躍的に向上します。DXの第一歩は、身近な業務の効率化にあります。

3.「便利=利益につながる」事例紹介

便利さは直接、利益にもつながります。
例えば工場でよくあるタイムカード打刻。紙に印字された情報を経理部が手入力する手間が発生します。これを社員証によるデジタル管理に切り替えた企業では、

  • 経理担当者の工数削減

  • 残業時間の可視化による無駄な残業の抑制
    が実現しました。導入コストは発生しますが減価償却が可能で、結果的にコスト削減=利益向上につながっのです。

まとめ

DXは難しい横文字でも、特別なシステムでもありません。
「便利かどうか」で判断し、便利さを利益に変えていくこと。
それが中小企業にとって本当に意味のあるDXの進め方なのです。

 

本日もありがとうございました。