こんにちは子育て中の視覚障害者、きの子です。
視覚障碍者の料理シリーズ、今回の記事では、視覚障碍者がよくやる失敗とその対処法について書いて行こうと思います。
視覚障碍者が料理をすると、見えている人よりどうしても失敗が多くなります。
見えていればなんてことなくこなせることでつまずいたり、とんでもなく時間がかかったり、下手をするとケガまでしちゃったり…。
料理の失敗ってはたから見ると些細なことに思えるんですが、頑張って時間かけてやってる本人にとっては案外ダメージが大きいものです。材料を無駄にしてしまったっていう罪悪感も加わりますしね。
私も今でもでっかい失敗をしたときには本気でがっかりします。しばらく引きずります。
ただ、小さな失敗については繰り返し過ぎたせいで慣れっこになったのか、淡々と処理できるようになってきました。
初心者の頃はその都度落ち込んでたもんですが。
そういうあるあるな失敗をあらかじめ意識しておくというか、織り込み済みで料理することで、やってられるかー!と投げ出したくなる気持ちをぐっとこらえることができるんじゃないかと思うんですよね。
ということで、対処法といっても失敗をまるっとカバーできるようなもんではなくて、気休め程度です。あらかじめご了承ください(汗)。
①料理を器に移すときに大量にこぼす
ちょっと器からはみ出す、っていうようなレベルではなく、ひどい時は全部丸ごと調理台やテーブルにぶちまけてしまうことも…。
汁物ならなおのこと悲惨ですねー。
似た失敗で、間違った場所によそってしまうというのもあります。
すでに入っている器にもう一回よそったり、調理台に出しっぱなしにしていたボウルや何かに間違って料理を入れてしまったり。ほんと、がっかり。
対処法としては、
・こぼしたものをレスキューできるように調理台などをきれいにしておくこと。
・よそう直前に器の場所を確認し、できれば片手を器のふちに添えた状態でよそうこと。
・調理台に不要なものが出ていない状態でよそうこと(使い終わった調理器具や食器はすぐにシンクに移動させる)。
・一気に予想のではなく、無理せず少しずつよそうこと。
ぐらいかな。
見えてないんだからある程度こぼれるのは当たり前、こぼれなかったらラッキーぐらいの気持ちでいるのがいいかもです。
②火を通しすぎて硬くなる、または逆に生焼け
以前に「生焼け問題への対処法」の記事である程度詳しく書いています。↓
これはもうある程度あきらめるのが肝要かと。特に初心者のころや、新しいメニューに挑戦したときには、うまくいかなくて当たり前じゃないかと思います。
ただ、繰り返し一つの料理を作り、加熱時間と火加減を微調整していけば、必ず良くなっていくので、あきらめないでほしいです。
上野記事にも書きましたが、生焼けならレンジで追い加熱すればいいし、硬くなりにくい種類の肉を選ぶという手もあります。
分厚いステーキをうまく焼くとか、本当に難しいので。
無理せずぼちぼちやりましょう。
③調味料をこぼす
塩コショウや醤油を計量するとき、鍋に投入するとき、本当によくこぼします。
対処法としては、
・こぼれる前提でシンクなどの上で作業する。
・こぼれたものを無駄にしたくない場合は皿やボウルの上で作業する。
・粉末なら指でつまんで投入する。
・高い一から投入しない。
手間を惜しまず丁寧に作業すればある程度防げる失敗ではあります。
しかし日々料理しているとどうしても面倒くさいが勝ってしまって(汗)。
ある程度こぼすのを許容しつつ、適当にやるっていうのが嫌にならないコツかもしれませんね。
下の記事も参考にしてみてください。
④まな板に材料が残っているのに気付かない
見えていないと、食材を切っていくうちにいつの間にかまな板から色んなものがこぼれおちていくのです。
きゅうりなどの丸い食材だと気を付けていても転がり落ちちゃうし。
玉ねぎのみじん切りをすれば必ず細かな破片がまな板の周りに散らばるし。
対処法としては
・まな板上に食材があふれないように切りながらボウルなどに移す。
・切り終わったらまな板周辺を手で触って確認する
・大き目のまな板を使う。
・ふちの立ち上がったまな板を使う。
ふち付きまな板は日本点字図書館にも扱いがあります。
⑤・調理中にフライパンや鍋から材料がこぼれても気付かない
特に炒め料理でよくこぼれます。
こぼれたことに気付いたら、手で拾ってフライパンに戻すこともできますが。
熱々のフライパンがある状態、コンロも熱をもった状態、食材だって熱々、なので、手探りで確認するのはとっても危険なんです。
ある程度こぼすのは仕方がないとあきらめたうえで、そもそもこぼれにくいフライパンを使うというのが一番楽な対処法かなと思います。
食材に対して大き目のフライパン、ふちの高いフライパンがこぼれにくくていいですね。
下の記事も参考にしてみてください。
⑥フライパンや鍋に食材が残っているのに気付かない
お皿に料理を移し終わったと思っていたら、フライパンの中に食材がごっそり残っているのに痕から気づく、しかもシンクで水につけてから気付く…。視覚障碍者あるあるですねー。
少量残るぐらいはもはや気にしませんが、量が多いとさすがにがっかりします。
一番確実なのはある程度覚めてから手で触って確認すること。
熱すぎるときや手で触りたくない場合は、シリコンスプーンがおすすめです。
木べらやフライ返しに比べると、しっかりこそげとることができますよ。
⑦視覚障碍者が調理中によくするケガ
最期にケガの話です。
視覚障碍者が料理すると聞いて真っ先に思いつく危険といえば包丁で指を切ることかもしれません。
が、個人的な感覚でいうと、よくするケガはダントツ火傷ですね。
何でもかんでも手で触って確認しようとするので、触ったら思っていたより熱かったという、覚悟の火傷パターンもありますが。
揚げ物のときに飛んできた油はねをよけきれず、とか。
フライパンの近くにあるものを撮ろうとしてうっかり熱々のフチに腕が触れてしまう、とか。
鍋の湯に食材を入れる時、高い位置から落としてしまって熱湯が跳ね返ってあちち、とか。
見えていないゆえのうっかり火傷もよくあります。
火傷対策としては
・揚げ物をするときは長袖とハイネック、など肌の露出を少なくする。
・加納であれば熱湯に食材を投入するのを避けて、水から加熱する。
・そもそも火傷しなさそうな調理法を選ぶ(電子レンジや電気なべなど)。
包丁対策としては、指ガードなる商品があり100円ショップでも買えるそうです。
これを使っている視覚障碍者の方もいらっしゃるようでした。
私は使ったことがないのですが、ガードをつけることで安心して料理に挑戦できるならぜひとも使っていただきたいです。
私が包丁でケガしそうになるのは、使い終わった包丁を適当な場所に放置して刃の部分に触れてしまったり、調理台から落下させてしまったりが多いです。
包丁は手から離れた後の方が危険、と思ってます。
使い終わったらシンクか調理台の奥の方に定位置を決めて置くことをお勧めします。
包丁使いについては下の記事も参考にしてみてください↓
あれやこれやと書いてきた視覚障碍者の料理シリーズですが、これでいったん一区切りにしようと思います。
長々とお付き合いありがとうございました。
次回は視覚障碍者のお化粧について書いてみようかな。