SL大樹の旅は続く。
30分弱の短い時間ながら、とてつもなく濃密に。
波瀾の波に乗れば、それもまた楽し
新高徳の手前で、鬼怒川を渡る。
普段は窓越しの風景も、展望スペースから空気に触れながら見ると、また違う趣がある。
走っている間、どこかしこで観光案内があり、おもてなしがあり。
SL大樹は、始終活気ある車内の風景が見られた。
朝の早い1号だったため満席とはならなかったものの、これがもう少し遅い列車になるともっと
活気溢れているのかな?と考えると、また乗りたくなってきてワクワクする。
ここ7年ほどで、すっかり通り慣れた路線の一つになった東武鬼怒川線。
しかし、乗る列車が変わればまた気持ちがリフレッシュし、新鮮な目線に変わってくる。
別に嫌いで避けていた訳ではなかったが、スケジュールの兼ね合いで長く乗ってこなかった。
ようやく乗ることができて、これで東武界隈で残すものはあと一つ…と安堵。
また、同じように長く乗っていないSL列車が実は関東にまだ1本ある。
かねてから計画こそ俎上に上がってきていたが、その踏破が今後の課題になる。
SL大樹号のホスピタリティを、心ゆくまで満喫し尽くし…
10:03。
下今市駅から、ちょうど30分。
東武ワールドスクウェア駅に到着した。
唯一の中間停車駅。
降りるばかりかと思ったら、意外にも一区間だけ試し乗り、なんていうのも居るらしい。
車掌室も、東武鉄道の無線が追設された以外はJR時代と変わっていないようだ。
カーブしたホームは安全確認に余念がない。
慎重に確認して、閉扉扱い。
機関士への無線連絡も、往時を彷彿とさせる“動態保存”ポイント。
引き出しショックも少なく、機関士の技量も見事であった。
多数の客が見送る中、最後の走りへ。
最後まで、そのおもてなしの心は続き…
10:09。
鬼怒川温泉駅到着。
東武線唯一のステップへの注意を促しつつ、利用客を見送る。
その姿勢にはただただ感嘆した、36分の旅となった。