中央線で読む新書 -57ページ目

マネー敗戦

抜群に面白い。
レーガン政権下、アメリカはソ連を打ち負かすべく軍事費を
増大させ、財政赤字を拡大させた。その赤字を補ったのが
日本の米国国債購入である。

大蔵省指導のもとで日本の銀行が国債を買い、米国の財政を
支えたのである。

それが一転、プラザ合意によりドルが急落。これは同時に
日本が大量に買い込んだ米国国債の価値の低下を意味する。

ドルに振り回され続けた日本を時系列に添い解説していく。

【書物としてGOOD】 1998年

吉川 元忠
マネー敗戦

科挙

あんまりにも馬鹿馬鹿しくて一気に読める。
試験を受けさせるべく建設された二万人を収容する
貢院の全景は圧巻。

【通勤用にGOOD】 1963年

宮崎 市定
科挙―中国の試験地獄

経済論戦の読み方

経済論戦を読むための基礎的な経済学。

142ページの「『万年危機論者』たちの終わらない宴」が
面白い。

【通勤用にGOOD】 2004年

田中 秀臣
経済論戦の読み方

エコノミストは信用できるか

要所要所での各エコノミストの判断を検証。
悲観論者が得をしているような気もするが。

長谷川慶太郎に輝かしい過去(オイルショック時に
日本には石油が十分あると力説。)があったことを知る。

ドイツ証券の武者陵司さんがITバブル崩壊を
予見したとして高評価されている。
その武者さんは日本株はバブルと言い続けていたが
昨年末それを撤回。日本株は強いと言い出すや
ご覧の通りである。

「経済論戦」(岩波新書)よりは遙かに読み応えがある。

【通勤用にGOOD】

東谷 暁
エコノミストは信用できるか

現代アート入門の入門

日本の美術館は評価が定まらないと収拾しない。
その評価とは海外の評価である。
よって評価が定まった時にはそのアーティストの作品は
海外の美術館に収拾された後となり、日本の美術館は
収拾など出来ないのである。

別段、現代アートの入門書ではない。

【読むほどのものではない】 2002年

山口 裕美
現代アート入門の入門

勝負師の妻

藤沢秀行の妻による。
破天荒な旦那を持った妻の回想というと
色川武大の妻たか子による「宿六」という大傑作があるが
それには遠く及ばない。

【他によいものがある】 角川ONEテーマ21 2003年

藤沢 モト
勝負師の妻―囲碁棋士・藤沢秀行との五十年

発明立国ニッポンの肖像

「プロパテントウォーズ」の著者による。
裏表紙の写真がまるで違うのが面白い。

日本発の発明品・胃腸薬(漱石の「猫」に出てきたタカジヤスターゼ)
ビタミン(脚気を巡るおなじみのお話)、乾電池(松下幸之助のライバル・
屋井先蔵)、カルピス、ファクシミリ、YAGIアンテナ、電子レンジ、
国産ペニシリン、東京タワー、新幹線、電卓の誕生秘話。

面白いのが電子レンジ。戦前、マイクロ波を利用した殺人兵器を開発。
海軍技術研究所は「殺人光線兵器」を「Z兵器」と呼んだ。アルファベットの
最後の文字に「最終兵器」との思いを込められてある。
戦後米軍によってこの開発資料が接収され、1947年に米国で電子レンジ
誕生となる。

【話のネタ本にGOOD】 2004年

上山 明博
発明立国ニッポンの肖像

野垂れ死に

本職の囲碁を極め(本人は「碁のことを一生考え続け、
それでも何も分からなかった男」と謙遜)、飲む打つ買うをも
極めた藤沢秀行の聞き書き。

大きな声ではいえないが、私が賄う世帯は一軒だけではない。
大変なのだ。くたびれる

たまたま用事があって、わが家へ帰る必要ができた。私鉄の駅で
降りたものの、家までの道が分からず、電話で女房を呼んだ。
『オレの家がわからないんだ。一回行っただけだからな駅まで
迎えに来い』


葛西善蔵や嘉村磯多、川崎長太郎の系譜に属する私小説の傑作で
すらある。

【通勤用にGOOD】 2005年

藤沢 秀行
野垂れ死に

男の引き際

江夏豊・寺尾・本田総一郎と藤沢武雄・堀田力・鐘ヶ江管一・
池永正明・荒井注・小出義雄の引き際。

さっさとやめればそれでよいわけではないことを、著者は
最後にフォローしている。

城山三郎の「賢人たちの世」(自民党長老の前尾繁三郎・灘尾弘吉・
椎名悦三郎の輝かしい晩節)がいい例で、老齢政治家の扱いは難しい。

【わざわざ読むほどのものではない】 2004年

黒井 克行
男の引き際

プロパテント・ウォーズ

副題に「国際特許戦争の舞台裏」とあるが
半分以上が過去のお話で
まるでホットな話題を扱っている感じがしない。

南北戦争の際にリンカーンの元に一攫千金を狙う発明家が
新兵器のアイディアを持ち込み、それをリンカーン直々に
実践に使えそうなものをチョイス。
連発式ライフル銃、地雷、装甲車、潜水艦、軍事観測気球を
戦場に送り込む。
いっそのことこれだけで一冊にした方がまだ良いように思う。

【読むほどのものではない】 2000年

上山 明博
プロパテント・ウォーズ―国際特許戦争の舞台裏