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アジア冷戦史

中ソ対立の冷戦史。
貫かれているのは、ソ連は米国との対決を怖れていたこと。

1945年9月にスターリンが下さした結論は、朝鮮半島北部に「反日民主主
義勢力を基礎としたブルジョワ民主主義的権力」であった。朝鮮半島は
農業地帯であり、労働者・勤労者はわずかに3%でしかなかったため。
史料によってスターリンは北朝鮮は社会主義どころか、東欧型の人民民主
主義となる可能性すらはるか先と考えていたことが明かとなっている。

1949年、劉少奇がスターリンに台湾解放のために武器の供給をもとめる。
しかし、それによってアメリカとの戦争につながることを怖れたスターリンは
拒否。

なぜ、ソ連の東側では、千九百八十九年の東欧のような市民革命は起きな
かったのだろうか。市民社会の弱さといった社会構造の差異において、ソ連側の
動機づけ、また手段を考えると、ソ連は東方の社会主義国に対しては直接の影響
行使の手段に欠けていたことが挙げられる。ソ連からの直接の梃子がある東欧の
社会主義共同体諸国には、モスクワの変動、自由化は直ちに政治変動をもたらし
」(172)

【通勤用にGOOD】 2004年

下斗米 伸夫
アジア冷戦史

アメリカ保守革命

たいへんよい。フリードマン、ハイエク、ヘリテージ・ファンデーションから
ブキャナン、ギングリッチなどまで丁寧にフォローしてある。

共和党と言えどもリベラルだった(ニクソンが中国に接近したように)中で
ようやっと保守が政権を奪えたのがレーガン。その道程とその後。

面白いのがやはりネオコン。1930-40年代のトロツキスト運動の産物として
生まれその後、反共リベラルと変異し、最近は軍事的帝国主義にいたった。
アービング・クリストルとノーマン・ポドホリッツはじめ、ユダヤ人でありトロツ
キストが運動の中心であった。(クリストルはカトリックに改宗)
日本でも、共産党を転向後に天皇に帰依した田中清玄や佐野学という例が
あるが。

東海岸のインテリが前衛的にWASPの琴線に触れながら発展し、ブッシュに
辿り着いたのであろうか。

【書物としてGOOD】  中公ラクレ 2004年


中岡 望
アメリカ保守革命

経済学的思考のセンス

「これも経済学だ」と同様にインセンティブに注目した経済学読み物。
「これも経済学だ」と同様に「ヤバい経済学」に劣る。

【他によいものがある】 2005年
大竹 文雄
経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには

超入門 日本国債

なかなかよい。
財政のみならず、金融商品としての国債をわかり易く説明している。

【つまみ読みにGOOD】 2003年
千代田 圭之
超入門 日本国債

「勝者の裁き」に向き合って

冒頭、東京裁判のラジオ報道を聴いた当時中学一年生の西尾幹二が日記に
「侵略的方法は決してにほんだけであったらうか」「負ければ賊軍 勝てば官軍」と
書いたと紹介されている。

嘘くさい日記である。

歴とした歴史学者が、こんなものを取り上げるとは驚きである。

本編は重光葵について。

【つまみ読みにGOOD】 2004年
牛村 圭
「勝者の裁き」に向き合って

「みんな」のバカ

森喜朗を引き合いに「みんな」を説明する件は面白いが、
1冊のボリュームに耐えられる題材ではない。

【つまみ読みにGOOD】 2004年
仲正 昌樹
「みんな」のバカ! 無責任になる構造

憲法と平和を問いなおす

善き生をまっとうするための立憲主義の立場からの憲法論。
今となっては岩波の「憲法とは何か」(2005)で事足りよう。
それでもなお読む価値あり。

【通勤用にGOOD】 2004年
長谷部 恭男
憲法と平和を問いなおす

憲法とは何か

良書。岩波の憲法と言うことで左翼的と決めつけてはいけない。
立憲主義を全面に押し出した憲法論。

立憲主義より、9条(戦争の放棄と交戦権の否認)、21条(一切の表現の自由)は
「準則(rule)」でなく「原理(principle)」であると長谷部。憲法が準則のみで構成され
ていないことは、中学校の公民の教科書にすら載る朝日訴訟などから明かである。
読みやすく、理路整然としており、一気に読める。

面白いのが「内閣法制局という存在」(111)。最高裁の違憲判断が7件しかないのは、
内閣法制局の審査を受けた政府提出の法律が圧倒的に多いからと推測。実際に
法令違憲判決の多くは議員立法か旧憲法下で成立した法令であると。

【書物としてGOOD】 2006年
長谷部 恭男
憲法とは何か

憲法の常識 常識の憲法

お誂え向けの新書。
著者は憲法学者ながら、とてもジャーナリスティックでいやらしさを覚える。

「占領下に作られた日本国憲法」「女帝論への疑問」「憲法九条をめぐって」
「外国人の人権 特に参政権について」「首相の靖国神社参拝をめぐって」。

【愚】 2005年
百地 章
憲法の常識 常識の憲法

新書365冊

「諸君!」での2002年1月号から2006年3月号までの連載を整理したもの。
金融・マクロの新書が全くない。「第4章 経済と金融・会計」にも。

30冊ばかりピックアップ。今後読むこととする。

【ガイドブックとしてGOOD】 2006年
宮崎 哲弥
新書365冊