※画像はWhisk-e Ltd.から
 
 
KILCHOMAN
SANAIG
 
ISLAY SINGLE MALT
SCOTCH WHISKY
 
NON CHILL-FILTERED
NON COLOUR
 
産地:スコットランド アイラ島
原料:モルト
容量:100ml
アルコール:46%
樽構成:オロロソシェリー樽、バーボン樽
希望小売価格:700ml / 8000円
 
 
色:焦げ茶
トップノート:2
アタック:2
香り:ヨード、レザー、ビターチョコ
味わい:スモーク、タバコ、ハチミツ、オレンジ、アニス、米ぬか
アルコール感:3
ピート感:3
 
 
 
総評:3.9
 
 
 
■ キルホーマンについて
 
アイラ島の夏は水不足に陥りやすく生産を止める蒸溜所もある中、キルホーマン蒸留所では近くにダムを作って水の確保をしているのだとか。そのような風土なのでアイラではキルホーマン蒸留所が2005年に誕生するまで124年間も新規蒸留所が造られなかったみたいですね。
自社ファームにて大麦を作り、今では6蒸溜所しかしていないフロアモルティングを採用する拘りようなど、その職人気質にかなり高品質なウイスキーを提供している蒸留所でもあります。
 
 
 
 
■ テイスティングノート
 
香り立ちは弱めで、潮風のようなヨード香が漂い、生卵の蒸せるたんぱく質の香り。
レザーのようなドライ香にビターチョコのほろ苦い甘さ。
シェリーカスク特有の重めの芳香です。
熟成なのか芳香が弱いからなのかアタックはさほどありません。
 
味わいは口当たりピリッとスパイシーでオイリーな酒質。
スモーキーで口中燻製が香り、舌にざらつきを残します。
ハチミツの甘みにオレンジの酸味感。
アニスのスパイス。
スパイスで締め括るウイスキーではなく、余韻は全体をまとめる米ぬかのような甘みでフィニッシュ。
 
 
 
■ キルホーマンサナイグの考察
 
2015年に発売されたキルホーマンサナイグは、バーボン樽熟成のマキヤーベイをそのままオロロソシェリー樽に詰めたウイスキーみたいですね。
スモーキーさと程よい甘みとフルーティーな酸味の三拍子揃った仕上がりで、これがレギュラー品になる理由が分かります。
この味わいの比率を視覚的にも分かりやすくするために、パッケージには「カスク・インフルエンス」というバー・ゲージが示されるようになりました。
商品写真を見ればわかりますが、比率はバーボン3、シェリー7くらいでしょうかね?
濃厚なコクにシェリーの芳醇さ、スモーキーシェリーウイスキーの上位ともいえる出来栄えでした。
 
 
 
 
THE MATSUI
《松井》ピーテッド
 
SINGLE MALT
JAPANESE WHISKY
THE PEATED
 
産地:日本 鳥取県
原料:モルト
容量:200ml
アルコール:48%
樽構成:ミズナラカスク
希望小売価格:200ml / 1,360円  ;  700ml / 4,500円
 
 
色:ゴールド
トップノート:3
アタック:2.5
香り:ハチミツ、たばこの煙、お菓子屋、バニラ
味わい:ハチミツ、たばこの葉、焚き火、焼き藁、焼き大麦、ブラックコーヒー
アルコール感:3
ピート感:4
 
 
 
総評:1.2
 
 
 
■ 倉吉蒸留所について
 
倉吉蒸留所は東西に細長い鳥取県のちょうど真ん中にあり、日本100名山・大山(ダイセン・1709m)の麓にも位置する自然豊かなロケーションの蒸留所になります。
蒸留所設立は2015年で、実際にポットスチルを整えてスピリッツを蒸留したのが2019年になるようです。
なのでようやく5年物のシングルモルトが登場するのではないかなと思っています。
 
 
 
 
■  テイスティングノート
 
香り立ちはハチミツの香り。
駄菓子屋の甘いお菓子のよう。
たばこの残り香がふっと漂います。
奥の奥にバニラのような甘みがあるような気がします。アルコール48%のわりにはアタックはさほど感じません。
スコッチのバーボンカスクにあるような良い芳香がしますね。
 
味わいは滑らかなテクスチャでファーストタッチはタバコの葉っぱ。
ハチミツの甘み。
焼き藁や焚き火を潜ったようなケム感。
タバコの葉を噛み締めた苦味。
ブラックコーヒーの後味。
生焼けた麦の酸味。
それら甘みと苦味と酸味が複雑に絡み合いフィニッシュ。 
ハイボールにしても飲みにくさがありますのでこれはウイスキーなの?
 
 
■  松井ピーテッドの考察
 
スコッチがやらない味わいですね。
焼いた大麦麦芽をそのままウイスキーに漬けたような味わいで、樽出しするにはかなり若く、まだ無理をさせてはいけないウイスキーなのかなと思います。
兎に角、酸味のある後味が焦げ臭くて青々しい酒質は万人受けするのにはなかなか難しいかと思います。
年数表記の松井ピーテッドに期待ですね。
 
 
 
THE MATSUI
《松井》サクラ カスク
 
SINGLE MALT
JAPANESE WHISKY
SAKURA CASK
 
産地:日本 鳥取県
原料:モルト
容量:200ml
アルコール:43%
樽構成:サクラカスク
希望小売価格:200ml / 1,360円  ;  700ml / 4,500円
 
 
色:カツオ出汁色
トップノート:3
アタック:2.5
香り:針葉樹林、レザー、リコリス、バニラ
味わい:清酒、生麦、森林、アニス、ジュニパーベリー
アルコール感:3
ピート感:2
 
 
 
総評:3.4
 
 
 
■ 倉吉蒸溜所について
 
倉吉蒸留所は東西に細長い鳥取県のちょうど真ん中にあり、日本100名山・大山(ダイセン・1709m)の麓にも位置する自然豊かなロケーションの蒸留所になります。
蒸留所設立は2015年で、実際にポットスチルを整えてスピリッツを蒸留したのが2019年になるようです。
なのでようやく5年物のシングルモルトが登場するのではないかなと思っています。
 
 
■  テイスティングノート
 
香り立ちは針葉樹のような生木の香り。
蒸留過程のフェインツに現れるレザー感や書庫のようなドライ香。
ゴム感もあります。
奥の奥にバニラのような甘みがあるような気がします。
これら先にテイスティングした『ミズナラカスク』と同じ香りだちなんですよね。嗅いだ瞬間に同じだなと思いました。
しかしこちらはアルコール43%ですので味わいは変わるでしょうかね↓
 
味わいは滑らかなテクスチャでファーストタッチは清酒のような酒粕の甘み。
香りに出ている生木感が味わいにも出てきていて、鼻にも抜けていけば青々とした森林感が感じられます。
やはりスパイスはアニスやジュニパーベリーを思わすさっぱり感や酸味感が、これまた後味まで引きずります。
ミズナラカスクよりスパイシーで、甘さもさっぱりしています。
 
 
 
■  松井サクラカスクの考察
 
普通に美味しいシングルモルトです。
ミズナラカスクと比較すると酒質のベースが全く同じであろうことは想像に難くありません。
それが味わいにもはっきり出ているかなと思います。
「サクラカスク」この特徴は掴みにくいのが本音ですが、ミズナラよりスパイシー。
甘ったるい感じもなくさっぱり系でした。
まさかとは思いますが、ミズナラを加水しただけがサクラカスクではないですよね?
 
思うことは、「サントリー白州より、森林感が強い」ってことでしょうかね。
この生木の特徴は人を選ぶクセであり、未経験の新鮮さであります。ウリとしてパッケージやPRに森の中から生まれるウイスキーとしてイメージ付ければアイデンティティは確固たるものかなと思います。よくある新興ジャパニーズウイスキーブランドの浮世絵や和柄やアニメキャララベルに頼らない松井アイデンティティが重要だと思います。
 
あとはサントリーに似せたラベルは廃止して、シングルモルトウイスキーは蒸留所名を冠し、マツイウイスキーとメイドインジャパンをノンチル・ノーカラーに変えてみてはいかがでしょうかね。
 
 
 
 
THE MATSUI
《松井》ミズナラ カスク
 
SINGLE MALT
JAPANESE WHISKY
MIZUNARA CASK
 
産地:日本 鳥取県
原料:モルト
容量:200ml
アルコール:48%
樽構成:ミズナラカスク
希望小売価格:200ml / 1,360円  ;  700ml / 4,500円
 
 
色:昆布出汁色
トップノート:3
アタック:2.5
香り:針葉樹林、レザー、リコリス、バニラ
味わい:ハチミツ、生麦、森林、アニス、ジュニパーベリー
アルコール感:3
ピート感:2
 
 
 
総評:3.3
 
 
 
■ 倉吉蒸溜所について
 
倉吉蒸留所は東西に細長い鳥取県のちょうど真ん中にあり、日本100名山・大山(ダイセン・1709m)の麓にも位置する自然豊かなロケーションの蒸留所になります。
蒸留所設立は2015年で、実際にポットスチルを整えてスピリッツを蒸留したのが2019年になるようです。
なのでようやく5年物のシングルモルトが登場するのではないかなと思っています。
 
 
■  テイスティングノート
 
香り立ちは針葉樹のような松の葉の香り。
蒸留過程のフェインツに現れるレザー感や書庫のようなドライ香。
ゴム感もあります。
奥の奥にバニラのような甘みがあるような気がします。アルコール48%のわりにはアタックはさほど感じませんね。
正直、芳香で期待値の上がるウイスキーではありません。
 
味わいは滑らかなテクスチャでファーストタッチはハチミツの甘み。
生麦のような穀物の甘み。
香りに出ている生木感が味わいにも出てきていて、鼻にも抜けていけば青々とした森林感が感じられます。
スパイスはアニスやジュニパーベリーを思わすさっぱり感や酸味感が、これまた後味まで引きずります。
甘ったるい喉ごしもあり、飲みごたえの満足度は高めです。
 
 
 
■  シングルモルト松井の考察
 
松井ウイスキーの前評判は何も調べませんでしたが、それでもジャパニーズウイスキー問題に一石を投じた当事者であることは知っていました。
輸入バルクウイスキーをブレンドしても『ジャパニーズ』を名乗って良いのか問題ですよね。
しかし、日本の食品加工の法律では原料でなく加工品は原産国表記をせず加工国の表記が認められるものですから何ら問題はなかった結論でしたっけ?まあどっちでも良いんですけど。
あと諸々松井さんには何かあった気がしましたがいつの話しとんねんって突っ込まれそうなのでどうでも良いですよだれ
 
 
さて、この松井シングルモルトですが、テイスティングノートにも記した通りで、結構珍しい仕上げをしてるなと思いました。というより、熟成が全然足りてません!
それが生木の表現であり、昆布だし色の表現です。スパイスも刺々しさがあります。
 
しかしながら、味わってみると意外にこれはこれで「うまい」ではないか。熟成が未熟なだけでベースの酒質はかなり優秀だし、なんと言ってもブレンドの腕は良いと思います。
香りで期待値が上がらないと書き記してて、味わう前にエグミ炸裂してたら庭に捨てるしかないなと妄想し、いざ味わってみるとしっかりしたシングルモルトウイスキーだったのはいささかの感動をしました。
 
ところでこの《松井》シングルモルトのネーミングは完全に間違っちゃいましたよね無気力はてなマーク
シングルモルトは蒸溜所名を名付けるのが定石なので、ブレンデッドウイスキーに創業者の名前をつけるべきでした。とりあえず、『MATSUI WHISKY』『Made in JAPANE』の表記をノンチルとノーカラーに変えるべきですね。《松井》ウイスキーのアイデンティティはそこにこだわるべきではないと思います。
 
熟成すればさらに化けるウイスキーだと思いますので、10年か12年のシングルモルト《松井》の登場を待っています。
 
 
 
 
 
GLENGARIOCH
AGED 12 YEARS
 
HIGHLAND SINGLE MALT
SCOTCH WHISKY
 
産地:スコットランド ハイランド地区
原料:モルト
容量:30ml
アルコール:48%
樽構成:バーボン樽、シェリー樽
小売価格:700ml / 5800円
 
 
色:黄金色
トップノート:3
アタック:3
香り:ハチミツ、レザー、干し草、ゴム
味わい:ハチミツ、茄子漬け、オイリー、ショウガ、温かい
アルコール感:3.5
ピート感:0
 
 
 
総評:3.7
 
 
 
■ グレンギリー蒸留所について
 
1798年からウイスキーをつくっているところであり、それよりも古い、おそらくはスコットランドで最も古いとまで一部では信じられている蒸溜所。この場所は元革なめし工場で、後に醸造所になり、213年前にウイスキーづくりのために改造されたと言われている。 
ほとんどの古い蒸溜所と同様、ブレンデッドウイスキーの特にVat69のキーモルトとなった。
Vat69を創り出したウィリアム・サンダーソンは1886年にパートナーになり、1904年に単独のオーナーになった。
その後サンダーソンの会社はジンで有名なBooth’s社と組み、1943年にはディスティラーズ・カンパニー社(DCL)に吸収された。
グレンギリーはそれからも、ビーフィでスモーキーな原酒として多くのブレンドを支えてきたが、スモーキーウイスキーの生産増加を目指したDCLが、ブローラ蒸溜所と比較してグレンギリー蒸溜所には十分な水がないと見なしために1968年に閉鎖した。DCLの指示で再開したものの1995年にまた閉鎖され、2年後の1997年にまた再オープンをした。しかし今回はモルトハウスが完全な状態を維持しているにもかかわらず、フロアモルティングを行わないことになった。
再オープン以降はグレンギリーはアンピーテッドウイスキーメーカーとなっている。
 
 
 
 
■ テイスティングノート
 
香り立ち弱めで、ハチミツの甘み。
レザーやゴムのドライさ。
干し草の香り立ち。
バーボンカスクによるそれ。
香りの立ち消えも徐々にあり、熟成も相まってアタックも和らいでます。
 
味わいは口当たり滑らかにファーストタッチはハチミツの甘み。
茄子の柴漬けのような酸味感。
若干のオイリー質で味わいをバランス良くぼかしている。
ショウガのようなスパイスが中盤から押し寄せ余韻まで長く残ります。
 
 
 
■ グレンギリーの考察
 
 
大麦麦芽:シンプソンズ社製造
PPM数値:アンピーテッド
糖化:ロータータンでマッシュ4.5トン。8時間周期で濁り麦汁を生成。
発酵:22,000リットルのステンレス製ウォッシュバック8基。48時間発酵。
蒸溜:スティル3基だが、使用は2基のみ。ウォッシュスティルは20,000リットル入り。スピリットスティル:14,000リットル。
プレーンな形状で、ウォッシュスティルには非常に長いラインアームがある。
カット:アルコール度75%~69%。
現在の詰め:100カスク/週。
 
なかなか面白いウイスキーです。
酸味と甘みとオイリーとスパイシーの4拍子揃ったバランスが絶妙で、余韻は喉に残る濃厚な甘いコクが売りのウイスキーだと思います。
そして12年でこのような深い余韻の熟成度合いは珍しいように感じました。
新たに美味しいシングルモルトを開拓したいならこの一本を押したいと思います。