THE BENRIACH
AGED 10 YEARS
DOUBLE CASK MATURED
TRIPLE DISTILLED
 
SINGLE MALT
SCOTCH WHISKY
 
NATURAL COLOUR
 
産地:スコットランド スペイサイド地区
原料:モルト
容量:50ml
アルコール:43%
樽構成:1st.fillBourbonballel、1st.fillPXCASK
小売価格:700ml / 4800円
 
 
色:ゴールド
トップノート:3
アタック:2
香り:クローブ、アニス、バニラ
味わい:オイリー、ハチミツ、クローブ、アニス、温かい
アルコール感:3
ピート感:0
 
 
 
総評:2.7
 
 
 
■ ベンリアックについて
 
スペイサイド地区の真ん中に位置するベンリアック蒸溜所は1898年に創業。
近くにはロングモーンやグレンエルギンの蒸留所があります。
当時からスコッチの蒸溜所にはめずらしく、ノンピートタイプとヘビーピートタイプの2つのタイプのシングルモルトウイスキーを製造してきたとして知られているみたいです。
また伝統的なフロアモルティングを行っていることや、熟成とフィニッシュには様々な樽を使用する革新的なウイスキーメーカーとして高い評価があるようです。 
 
 
ベンリアックは現在アメリカのブラウンフォーマン社が所有するブランドで、日本での販売は2012年にアサヒビールと販売契約をしています。
2012年はウイスキー需要の盛り返しの時期であり、日本全国での販売チャンネルを持つアサヒビールであれば浸透拡大が見込めるというポジティブ契約みたいですね。
それもそのはずでアサヒビールの2011年期は洋酒売上が前年比300億円超えの101%という急成長分野だからですね。
 
しかもブラウンフォーマン社の取り扱いブランドがまたすごい面面で、「ジャックダニエル」、リキュール「ジャックダニエル テネシーハニー」、バーボンウイスキー「ウッドフォードリザーブ」、スコッチウイスキー「ベンリアック」、「グレンドロナック」、「グレングラッサ」、テキーラ「エラドゥーラ」、「エル ヒマドール」、ウオッカ「フィンランディア」、リキュール「シャンボール」とこれらもアサヒビールが販売しています。
 
2023年6月、ブラウンフォーマンは2024年3月31日付でアサヒビールから自社販売に切り替える発表をしました。
2022年10月に資本金50万円の日本法人を立ち上げて日本での販売展開をするみたいです。
なのでジャックダニエル、ベンリアック、グレンドロナック等の正規販売シールはアサヒビールからブラウンフォーマン印になるってことですね。
 
 
 
■  テイスティングノート
 
香り立ちはクローブやアニスのようなスパイス香。複合的には薬草臭がします。
甘い香りは微かにバニラがするかしないか程度。意外にアタックはありません。
まあ薬草臭がする時点でヤバいなと感じます。
 
味わいは口当たり滑らかでオイリー。ファーストタッチは薄いハチミツの甘み。
香りで得たクローブやアニスが味わいにも出てきてますね。
口に含んだときには辛味などなく、オイリーな酒質がそのスパイシーさを覆い隠してる感じです。
切れは良く余韻に辛味と苦味が現れフィニッシュ。
 
 
 
■  考察
 
免税店向け商品ベンリアック10年のファーストフィルによるダブルカスクですが、カスクの内容で期待するような濃厚な甘みはありませんでした。
結局アベラワー10年と同じ薬草臭がした時点で万人向けのシングルモルトではないのですが、アベラワーと違って飲めないことはない薬草ぐあいだと思います。
トリプル蒸留によるオイリーな酒質もアイリッシュのように、オイリー過ぎてコクがボヤけるほどでもないなと感じました。
しかしまあ、薬草臭は樽由来の成分浸出によるエグミっちゃエグミなんでしょうね。
これはかなり玄人向けすぎますね。
 
 

 
 
 
KANOSUKE
SINGLE MALT
JAPANESE WHISKY
2022 LIMIED EDITION
 
CASK STRENGTH
NON CHILL-FILTERED
 
産地:日本 鹿児島県
原料:モルト(英国製造)
容量:100ml
アルコール:59%
樽構成:シェリー樽etc.
希望小売価格:700ml / 13,750円
 
 
色:コッパー
トップノート:3.5
アタック:5
香り:レザー、ドライプラム、バニラ
味わい:黒蜜、バタースコッチ、ホワイトペッパー
アルコール感:5
ピート感:0
 
 
 
総評:4
 
 
 
■ 嘉之助蒸溜所について
 
小正醸造が運営する嘉之助蒸溜所は2017年鹿児島県日置市に誕生しました。

小正醸造の創立は1883年。初代の小正市助が1905年に免許を取得し、短期間で鹿児島県屈指の焼酎メーカーに成長した。1953年からは2代目社長の小正嘉之助が舵を取り、日本全国に焼酎の魅力を広めるべく尽力を続けた。

小正嘉之助が家業を継ぐ2年前から、小正醸造はウイスキー用と同タイプのオーク樽で米焼酎を貯蔵し始めている。6年間の熟成を終えた「メローコヅル」が新発売されたのは1957年のこと。その後の成り行きは、鹿児島県民なら誰でも知っている。「メローコヅル」は多くの酒通たちに愛され、発売開始から60年以上経った現在でも小正醸造を象徴する人気銘柄である。

小正醸造の社内で、ウイスキー蒸溜所設立の計画が生まれたのは2015年のことだった。 焼酎づくりの歴史も130年を超え、働く人々は新しい挑戦を求めていた。蒸溜所建設を主導したのは、創業家4代目にあたる小正芳嗣専務。2003年に小正醸造に入社し、生産部門でさまざまな分野を担当してきた。海外の日本風居酒屋をはじめとする飲食店で焼酎の魅力をアピールし、国際的な日本関連コミュニティーで認知拡大に務めてきた実績もある。
 
 
 
 
 
■  テイスティングノート
 
香り立ちはフェインツ由来のレザー香。
ドライプラムの酸味と甘み。
バニラのような甘みでアメリカンオークの木材。
芳香もさほど強くなく、アタックがかなり強いので香りのかぎ分けが結構しんどいですね。
 
味わいは口当たり滑らかにファーストタッチは黒蜜の甘み。
バタースコッチのコク。
スパイスは粉末ホワイトペッパーの痺れ感。
未熟成ながらカスクストレングスとコク深い味わいのため余韻は長く残ります。
 
 
 
■ KANOSUKE 2022 LIMITED EDITION の考察
 
シェリーカスク熟成のカスクストレングスでこの味わいはかなり美味しい部類です。
ブレンドも秀逸でエグミもなく濃厚な甘みに、シェリー樽本来の「うまみ」だけを抽出したブレンディングだと思います。
ノンピート麦芽を仕込んだ蒸留過程作業全般のポテンシャルの高さが感じられました。
しかしカスクストレングス、高アルコールのため当然ストレートでは飲み難さもあり、一口一口を結構時間かけて味わわないと喉が死にます(笑)
ウイスキーはストレートの飲み物ですが、アルコールは55%以下が飲みやすい度数かなと思います。
 
 
 
 
TAMDHU
AGED 18 YEARS
 
SPEYSIDE SINGLE MALT
SCOTCH WHISKY
 
NATURAL COLOUR
 
産地:スコットランド スペイサイド地区
原料:モルト
容量:60ml
アルコール:46.8%
樽構成:シェリー樽
希望小売価格:700ml / 19,500円(税抜)
 
 
色:マホガニーブラウン
トップノート:4
アタック:3.5
香り:レーズン、アーモンド、クルミオイル、バニラ
味わい:オイリー、黒蜜、ミルクチョコ、ジンジャー、ナツメグ、からし菜
アルコール感:3
ピート感:0
 
 
 
総評:3.5
 
 
 
■ タムデュー蒸留所について
 
タムデュー蒸留所は1897年に設立されました。設立当初からスペインから高品質のシェリー樽を調達してシェリー樽100%熟成を行い、設備の近代化と生産能力の増強を図りながら、1970年代のウイスキーブームに乗じて生産量を増大させましたが、残念ながら2010年には蒸留所が閉鎖されてしまいました。
そして2012年に現オーナーであるイアンマクラウド社が買収し、タムデュー蒸留所の設立当初からのポリシーとレガシーをそのまま引き継ぎ、最高のウイスキーを造るべく生産を再開しました。もちろん高品質のシェリー樽100%熟成という伝統を守りながら、100年以上経った今も同じ製法で最高のスペイサイドモルトをリリースしています。
 
 
 
 
■ テイスティングノート
 
香り立つフルーティーさはレーズンのようなドライフルーツの甘み。
ナッティでアーモンドのような香ばしさ。
シェリーカスクの華やかで芳醇な芳香は立ち消えもなく長く嗜めます。
18年熟成ですがアタックは奥から差してきますね。
 
味わいは口当たり滑らかに微かにオイリー質。
ふくよかな黒蜜の甘みやミルクチョコのニュアンス。
ウッディ由来のスパイスはジンジャーの辛味とナツメグのエグミ。
からし菜の苦味が余韻まで長く残ります。
 
 
 
■ タムデュー18年の考察
 
タムデュー18年は蒸留所125周年を記念して2022年にリリースされたスモールバッチの限定品みたいですね。
シェリーカスクなので若干ナツメグのようなエグミが味わいに見てとれましたが、嫌みでは全くない感じです。
総合的にはシェリーカスクのそれ。
香りも味わいもこれといった特徴を汲み取ることはできず、18年の熟成ウイスキーを堪能するといったものでした。
さすがに18年ともなると樽の影響が7割ともいわれますので、酒質の特徴は消えかけてると思われました。
 
 
 
 
 
AULTMORE
AGED 18 YEARS
 
SPEYSIDE SINGLE MALT
SCOTCH WHISKY
 
NATURAL COLOUR
NON CHILL-FILTERING
 
BATCH No.481
 
産地:スコットランド スペイサイド地区
原料:モルト
容量:60ml
アルコール:46%
希望小売価格:700ml / 11000円
 
 
色:ゴールド
トップノート:2.5
アタック:2
香り:針葉樹、メース、バニラ、ソープ、柑橘
味わい:ハチミツ、オレンジ、フィンネル、メース
アルコール感:3
ピート感:0
 
 
 
総評:3.7
 
 
 
■ オルトモア蒸留所について
 
オルトモア蒸留所は1897年にアレクサンダー・エドワードにより建てられました。
エドワードは4つの蒸留所を建設し、6つの蒸留所を運営し、ホテルを造り、村をも造り、スコッチを観光資源化した先駆者でもあり、よってウイスキーの英雄とまで言われるやり手の起業家だったみたいですね。
その建設した4つの蒸留所とは、1890年クライゲラヒー蒸留所建設、1897年オルトモア蒸留所建設、1898年にベンロマック蒸留所、ダラスデュー蒸留所の設立を支援となります。
6つの蒸留所とは建設した蒸留所のほかに、父から譲り受けたベンリネス蒸留所や、一時的にオーバン蒸留所を共同経営していたみたいですね。
 
 
オルトモアは1923年にデュワーズ&サンズに売却され以降、現在もデュワーズのキーモルトになっています。
シングルモルトが通年販売されたのは2014年の近年の話で、それまで限定的な貴重なものだったみたいです。
現在のスタンダードラインナップは12年、18年、21年(免税店向け)があり、25年と30年も本国限定で販売されています。
 
 
 
■ テイスティングノート
 
香り立ちは弱めで、杉や松の針葉樹の葉の香り。フルーティーさは若干柑橘系の酸味。
バニラの甘み。
ソープのような清々しい洗剤香。
かなりドライな芳香で嗅ぎにいかないとニュアンスが嗅ぎとれません。
熟成なのか芳香が弱いからなのかアタックはあまりありません。
 
味わいは口当たり滑らかにファーストタッチはハチミツの甘み。
オレンジの酸味。
樽由来のエグミが現れますが、嫌みほどではありません。
フィンネルのスパイスが中盤から余韻まで長く残り唇をしびらせフィニッシュ。
 
 
 
■ オルトモア18年の考察
 
不思議な味わいです。
本当に柑橘系の味わいがあり余韻まで引きずります。今まで飲んだことのない味わいですね。
しかし、香りにほんの微かにメース(ナツメグ)様のエグミが嗅ぎとれましたので不安しかなかったのですが、案の定、味わいにもそのエグミは現れてました。
しかしながら、エグミは中盤まででそこから柑橘系の酸味が中和してくれる感じです。
微妙なブレンドですが、珍しい味わいも引き出してると思いました。
18年の芳醇さはスパイスの余韻の長さで感じられると思います。
買うかと問われればちょっと考えますが、しかしこの余韻がもたらす味わいはまた飲みたくなるクセになる一品かもしれません。
一度はご試飲してみてください。
 

 

 

 
THE GLENALLACHIE
AGED 8 YEARS
 
SPEYSIDE SINGLE MALT
SCOTCH WHISKY
 
NON CHILL-FILTERED
NO COLOUR ADDED
 
産地:スコットランド スペイサイド地区
原料:モルト
容量:100ml
アルコール:46%
樽構成:PXパンチョン樽、オロロソシェリーパンチョン樽、バージンオーク樽、赤ワイン樽
市場価格:700ml / 7000円
 
 
色:タンジェリン
トップノート:3.5
アタック:3.5
香り:バニラ、バタースコッチ、クルミオイル、ミルクチョコ、赤りんご
味わい:りんごのコンポート、オイリー、モルティ、スパイシー
アルコール感:3
ピート感:0
 
 
 
総評:3.8
 
 
 
■ グレンアラヒーについて
 
1967年創業という比較的新しいグレンアラヒー蒸留所は、2017年にシングルモルトプロデューサーのビリーウォーカー氏が買収するまでシングルモルトを販売していなかったみたいです。ということはブレンデッドウイスキーのキーモルトという立ち位置での操業をしてきたという解釈で良いんですかね。
そもそも2017年にグレンアラヒーを買収したのも、ビリー氏は2016年にベンリアック、グレングラッサ、グレンドロナックをブラウンフォーマン社に売りに出した直後であり、翌年にグレンアラヒーが売りに出されたという偶然が重なった経緯があります。
ビリー氏はディーンストン蒸留所を復活させた実績もあり、グレンアラヒーの改革に乗り出した時に原酒生産を4分の1に落とし、品質の見直しを図ったのが業界でも注目されたようです。
 
 
 
 
■ テイスティングノート
 
香り立ちはバニラの甘い香り、バタースコッチの香ばしい甘さ、ミルクチョコのコクなど複合的なシェリーカスクの良い甘みが漂います。
フルーティーさは熟した赤りんごのような甘み。
熟成は若いためアタックは強くないがあります。
 
味わいは口当たり滑らかでオイリー質。
りんごのコンポートの甘みと酸味。
奥にはモルティなコクもあります。
スパイシーさは弱めで酸味の余韻が熟成の若さを表します。
キレもよく、ピリ辛の余韻がバランスの良さを感じさせます。
 
 
 
■ グレンアラヒー8年の考察
 
香り良し、味わい良しのシングルモルトウイスキーですね。
若干、余韻のコクの薄さが物足りなさを感じましたが、エグミなく仕上がるブレンドは飲み手に満足を与えること間違いないと思います。このまま行けばアラヒー12年であり、アラヒー12年はこれが基なんだと思わせる仕上がりです。
 
この8年はグレンアラヒーのエントリー商品としてレギュラー化されたみたいですが、スコッチメーカーのエントリー商品としてはかなりレベルの高いものだと思いました。
それはグレンアラヒーの原酒やブレンドが間違いないわけであり、グレンアラヒーの入り口もアラヒーの顔であるという表れでしょう。
 
ビリーウォーカー主導になってから様々なカスクメイツに挑戦しているのも有名で、シェリー樽はスペイン産、フランス産、アメリカ産のオーク材を様々にトーストして試験し、ジャパニーズオークのミズナラと同種のアメリカ産チンカピンオークなどのウイスキーも販売しています。
ビリー氏はブレンデッドモルトの「マクネア」、ブレンデッドスコッチの「ホワイトヘザー」もプロデュースしていてスコッチの未来を築いている人物と言えます。