元漫画少女の雑記帳 -72ページ目

君の瞳に三日月/桑田乃梨子

君の瞳に三日月


桑田さんの独特のスタイルは楽しいしへんてこだし飽きません。

この「君の瞳に三日月」はまたまた変身モノなんだけど

変身モノというとシリアスなのを想像してしまいません?

例えば狼とか豹、虎などの格好いい生き物に姿を変えてしまう

主人公の悲しい宿命・・・という感じで。

だけど桑田乃梨子が作り上げる変身モノはまったりとしていて

シリアスなのはその変身してしまう人だけで、残りの人たちは

それを単純に面白がってたり可愛がってしまったりしてる。

例えば「ひみつの犬神くん」。

これは狼に変身してしまう主人公の話なんだけど、狼も

ぬいぐるみタッチで描かれていて全然怖くない。

近所の犬という感じ。

そしてこの「君の瞳に三日月」はというと、何に変身するのかと

いうと・・・・・にゃんこ。

くろ ←こういうの。


それも呪われた血の宿命がどうとかではなく、

マッドサイエンティストというより只の変人科学教師が作った

変身薬を飲まされてそうなっちゃったと。

それで主人公の黒田少年は悩んで一学期を丸々休んで

しまってた。

彼が変身してしまうのは満月の夜などではなく、猫を見て

しまうだけでオッケー。なんてお手軽。

猫って犬以上に「そこらへん」にいる。

しかも彼の学校は校長(科学教師の親でもある)が猫好きで

校内に猫がうろちょろしているから益々大変。

それでも勇気を出して登校して早速教室に猫が来て、みんなの

前で猫に変身!ピーンチ!!と思いきやクラスのみんなから

可愛がられる始末・・と。

そこらへんのお気軽さが桑田作品の一番のウリかもしれない。

もう変身猫、普通の猫と猫がうろちょろ出てきて、しかもこれまた

ぬいぐるみやキャラクター風味で可愛く描かれているので

興味を持った方は是非読んでみておくんなまし。


君の瞳に三日月・文庫版 (コミックス版は白泉社より全2巻)


楽天ポイント騒動について

Z(ツェット)Ⅳ~Das Fraulein, das Z liebte

Z君と犬


個人的には「Z」の中で一番好きなエピソードだったりします。

これもZ君の恋愛も絡んでくるのですが、スパイの出会いって

こんなもんかと思うと悲しくなってしまいます。

その反面A君やB君などはちゃんと結婚してますが、彼らの

奥さんとの出会いって一体どんなんだったんだろうと気になる

次第です。まあ任務絡みではないのは確実そうではありますが。

今回の任務は突然事故死したノルウェイに潜伏中のNATOの

スパイの謎を追う仕事。本当に彼は死んだのか。

そして彼はこのスパイの残したかもしれない情報を探る為、

恋人であるアネリーゼに彼の弟として近付くというもの。

そこで敵に追われ苦難を共にした2人はお互い恋に落ちて

しまうんだけど、やっぱり任務が出会いだと上手くいかないのかも

しれませんね・・。個人的にはアネリーゼ好きなんだけど。
引き際も潔くてとても好感持ててしまった。けど引き離さなくても

いいのに~~~とちょっと泣けるお話でした。

そしてまたまた少佐もこんな体験が?と思わせられる
厳しいけど優しい励ましの言葉があります。

若き日の少佐も任務中に失恋して酒を飲んだのでしょうか?

全てが終わった後、心身ともに疲れたZ君を飲みに連れて行く

ところがやっぱり優しいなあ。

ちなみに雑誌掲載はLALAの1982年10月号。

本編だと丁度「9月の7日間」の合間でした。

アレです。少佐が航空機の中で暴れたり、伯爵とミーシャと3人で

劇団やったり、ジェイムズ君が軍事機密をコピーして暴利を

むさぼろうとしていたあの話です。



個人的に選んだ名セリフ

「おまえのおこげ(焼死体のこと・・)なんぞ引き取りに行くのは

ごめんだぞ!」(少佐)

「・・・ちょっと、寒くなったんだよ・・・」(Z君)

「おい解剖屋に電話しろ。解剖屋(検死局の事)だ!」(少佐)

「彼女ってこんなにきれいだったっけ・・」(Z君)

「あなたなぜ・・いつもつらそうに私を見るの?」(アネリーゼ)

「ぼくが「Z」でなかったら、きっと君を好きになっていたよ」(Z君)

「ぼくは本当に寒かったんです・・・やり切れないほど

寒かったんです・・・」(Z君)

「電話なんか鳴らなければいいのに・・」(アネリーゼ)

「さあ・・早く「さよなら」といって・・私があなたを

あきらめられるように・・・」(アネリーゼ)

「失恋した男は酒でもかっくらってみじめに泣いてりゃいいんだ。

それが別れた女へのエチケットというもんだぞ」(少佐)


Z (ツェット) 文庫版

エロイカ年表


がらかめ42を読む

きみは祝ってくれないのか・・チビちゃん 2004.12.25発行・・1年経ったか・・・。


なんとなくまた読んでしまいました。これ。

それでこれから思い切り気まぐれペースで42巻からまた

改めてなんか書いていこうかなあと思ったり・・。
普通なら1巻からでしょうが、まあ逆からでもいいではないか・・

おまえさま。

1巻まで更新する前に43巻が出て、今度はもう少し内容のある

SFじゃない話になってますようにという願いも込めて・・。

あと原作読んでて気づいて白目になっちまったのですが、以前

どこかで原作は「紫のばら」と書いてたと書きましたが「バラ」

でした。ベルサイユ・・あたりと混同してたのかもしれません。

はずかし・・・。


で、(恐怖の)42巻。

実はこのサイト の中にガラカメ年表 というものがありまして、41巻

の内容までだいたい昭和何年頃と区分けされているのですが

41巻の部分では昭和58年となっておるのです。

そして殆どの読者もだいたいそんな時代設定だろうと思っていたと

思うのです。
そしてこのサイトでは42巻の設定については年表に記載されて

おりません。サイト自体は割とマメに更新してあるようなので、

そうなるとやはりアレの出現にどう対処していいものか迷って

しまったのでしないでしょうか・・・。そうです。アレですよ。

 携帯男   au携帯電話 WIN W32SA 機種変更 25ヶ月以上

これが出てきてしまったために20年位タイムスリップしてしまった

事になります。SFですね。きっと帰りの新幹線のトンネル内で

異次元に迷い込んでしまったのかもしれません。おお。スペクタクル。
前巻の41巻から6年待ってコレかと白目になった読者も多いかも

しれません。少なくとも私は「なんだこりゃ」と思い封印してました。
だけどこの伝説の42巻を読んでしまったために躊躇なく愛のある

ツッコミも出来るようになったし、変な物探しの視点で見られるように

なりました。いいのか悪いのかは微妙ではありますが。


あらすぢ

真澄さんの婚約披露パーティ会場からスタート。

ショックのため「紅天女」の稽古もきちんとできず、桜小路優

(以下携帯男)と遊園地や携帯男の叔母の家で遊び回るマヤ。

唐突に出現したカメラ付携帯電話で盗撮!?までした携帯男と

仲良しの2人に嫉妬する婚約者付な真澄さん。

聖さんが盗み出した携帯男の携帯のデータの写真を見て

皿とカップを割り、外を見つめる真澄さんで終了。

特に話は進まなかった。百人一首が得意そうなオノデーラも見物。


キーワード

携帯電話、シアターX、いやああああああ、上から下までスケスケの

ハート型の恥ずかしい観覧車、ペアのイルカペンダント(泣)、

ABCという文字入りの恥ずかしいペアエプロン、トランポリン・・・
「関係者以外立ち入り禁止!!なんびとたりとも入るべからず

禁をおかした者は稽古場引き回しの上、逆さ吊りの刑に処す」


名&迷?セリフ

「いやああああああああああああ」(マヤ)

「そうそう、お菓子作りの腕上がった!」(舞)

「快晴!快晴!洗濯日和」(・・・携帯男)

「はい!ランチタイム!」(また携帯男。ホットドックとイモとたこやき付)

「ふたりともこっち向いて。ピザの上に乗ってるものは?」(葉子さん)

「チーズ!」(写真に写るマヤと携帯。現代にタイムスリップ??)

「出会ってしまったらぼくはもう半分のぼくを求めずにはいられない。

いいね?マヤちゃん」(携帯男・・・)

「マヤちゃん、ぼくたちもう一度あの頃に・・・あの頃に・・」(携帯男・・)



登場人物たちのふぁっしょん


「エコマーク」(携帯男のシャツの柄)
バルセロナ」(マヤの服)
「ABC」(葉子さんちにあったペアのエプロン。)


みどころ?

・百人一首が得意そうなオノデーラの早業。

 きっと鍛えたのだろう。
・41巻もだけどシオリさんの不思議な髪型
・意外とキュートな理事長の後姿
・トラック5台分にも渡る亜弓さんの引っ越し荷物

・携帯男の舞から貰ったマスコットと引きちぎり。

・お菓子の食べすぎでかなり太ってしまった舞。

・いつにも増して粘着なさくらこーぢゆー・・・。

・コロコロ・・と擬音付の聖さん。いやに軽い台車ですね。

 ガラガラとかゴロゴロなら分かるけどコロコロだもん。

・携帯男の電話にキッス

・最後の困ったような不思議な真澄さんの後ろ姿。  

・運河に落ちるマヤの不自然さ。足に絡まったロープに引かれた

 はずなのに頭から落ちたのはなぜ・・・?
・嫉妬にもだえる真澄さん 

          などなど。



アニメ版「ガラスの仮面」目次

コミックス「ガラスの仮面」の歴史



鬼来迎(きらいこう)

夜叉御前   子供か旦那か・・


これは怖かったです。その怖さというものが子供を産む前と

後ではまた怖さの質が変わりました。

ごく普通の主人公が住み込みの家政婦として行った家は

綺麗な未亡人と別の家政婦のいる大きな家。

雇い主である未亡人は優しそうで安心する主人公なんだけど

夜になると奇妙な叫び声が聞こえてくる。

そして先輩の家政婦さんは「気にするな」と笑顔で言う・・。

その叫び声の正体が分かったのは、彼女が寝ていると

いきなり部屋に侵入してきたから。

それは右の手首から先がないやせ細った少年だった。
彼は普通の状態ではなく狂乱していて「鬼が・・」とつぶやく。

その後この子供が未亡人の息子だと分かり、またショックを

うけてしまう。未亡人が言うにはこの子は七つで、生まれた時

からこういう状態だったのだと・・・。
それでもこの狂ってしまった少年を世話する主人公。

彼は震えて「怖いよう・・」「鬼が来る」と怯えている。


そして海辺の村のお祭の日、異常気象により浜に大量の魚が

打ち上げられる。喜ぶ人々。彼らはこの後何が起こるのか

何も考えず、打ち上げられた魚に喜んでいる。

そして少年が怯えていた「鬼」の正体がわかる・・・。


・・・とこういう話なのですが、何が怖いって少年ではない。

鬼の正体の意外性(昔)リアルさ(今)。

もうネタばらししてしまいますが(1981年の作品だからいいよね)

鬼の正体はなんと未亡人。

三年前に旦那さんが海で亡くなったのは、夜釣りに当時4歳だった

この子を連れて行っており、子供が海に落ちて助けようとして

亡くなったらしい。

これは昔はなんとも思わなかったんだけど・・・


ちょっと待て、旦那さん。たった4歳のチビを夜釣りに連れて行くって

無謀じゃないか?奥さんも一緒ならいいけど、自分だけで

海に行って釣りとなると目離してしまうじゃないか・・・・。

4歳位のチビは好奇心いっぱいで海・・しかも夜だと片時も目を

離せないじゃないか・・・。

という事で、その亡くなった旦那さんが悪いんだよね。。

だけどこんな事勿論誰も奥さんに言えなかったんだろう・・。

だけどだけど・・・。

結局未亡人は旦那が死んだのはこの子のせいだと、手首を

切り落とし、監禁し毎晩鬼の面をつけて虐待をしていた。

子供はガリガリに痩せ、ただ鬼が来る事に怯えている。

旦那さんを愛していたのでしょうが、その愛情が強すぎて

全てを子供のせいにしてしまったのが痛ましい。

こういうのって3パターンあると思うのです。

子供のせいにするか、旦那と子供だけで夜釣りに行かせて

しまった自分がいけないんだと自らを責めるか。

あとは「なんでちゃんと見なかったんだ」と旦那さんを責めるか。
この場合、旦那さんが死んでしまい、自分は悪いとは思わないから

となると当然子供に向かってしまったんでしょうね。リアルかも。

また大きく分けると子供か旦那かとなると思う。

私の場合は断然子供でした。なにせ生まれてから2,3時間

おきの乳やり(おいおい)、睡眠不足でよれよれ。

動き出したら早速色々(初代のノートパソコンにお茶ドバーとか)

しでかして目も離せずかなり疲れてた。(↑ノーパソ即死)

旦那との関係よりもとにかく子供になっちゃってたから

この未亡人と同調は出来ないものの、それでも現実的に

子供よりも旦那さんとか彼氏っていうお母さんも大勢いるみたいだし

そう考えるとかなりリアルだと思うのです。


そして最近読み返してみてゾクッときたのが先輩家政婦さん。

全てを知った上で保身の為か見て見ぬ振りをしている。

新人家政婦さんに叫び声の事を聞かれても、笑顔で「気にするな」

と言ってのけるのってとても恐ろしいことだと思ったのです。

そんなわけで私が一番恐怖を感じたのはこの家政婦さんでした。


(文庫版「夜叉御前 」、朝日ソノラマ「鬼来迎」に収録)


負の暗示

ワイドハイター

(コミックス版「パイド・パイパー 」文庫版「神かくし 」に収録)


これは「八つ墓村 」のモデルともなった有名な事件を元に

山岸凉子さんが漫画にしたものです。(「津山30人殺し事件」

詳しい内容のサイトを見てみると名前などは変えてありますが

かなり上手くまとめているし、狂気に満ちた春雄(実際は睦雄らしい)

の絵がとても怖いし印象的です。この事件に注目したというのも

山岸さんならなぜか納得。

山岸さんは心の闇の心理描写や少しづつ狂っていく人間の

描き方がとても上手いし深いから。

そして作者は決して主人公を優しく見ず、冷たく突き放すのも

山岸さんの一種のスタイル。

と、共に心理物に共通している考え方「現実から逃げるな」も

色濃く反映されているのです。


主人公は土井春雄(都井睦雄)。

彼の幼い頃から始まり、青年時代に大量殺戮をし

その後自殺するまでが描かれています。

これを読んでいて思ったのがまず親子の関係について。

春雄は両親を次々に病気で亡くしており、感染するからと

お乳を飲ませてもらったり親から抱いてもらったことがない。

それで姉と共に祖母に育てられるが、この祖母が甘甘で、彼が

小学生になっても雨天の日などは学校を休ませ、あなたは

他の子供たちよりずっと優秀で・・と言い続けてきたこと。
つまり祖母が春雄に現実を見ないように育ててきた事。
これはとても大きかったと思うのです。

結局成長した彼は現実というものから目をそらしていくようになる。

それはこんな生い立ちなら分かるような気もする。

自分があくまでナンバーワン。だけど現実は体力もない、

我慢も出来ない、家にお金がないから進学も出来ない。

だけどそういう現実を直視し乗り越えようとはせず、目をそらして

別の楽しみに逃避する。

その結果負のサイクルに囚われ抜け出せなくなってしまう・・。
彼に残された脱出方法は彼を笑いものにしたり、村八分にしたり

した村人たちとの無理心中しかなかった・・・。

(実際意地悪をしなかった家は助かっているらしい)

そしてこの本や事件についての詳細を調べたサイトなどを読むと

無論現実を無視続けた春雄が悪いんだけど、それまでの

祖母の子育ての仕方、性にだらしのない村の女性たち・・と

もう悪い環境が取り巻いてしまったんだと思いました。

(女性たちの描写が美女ばかりじゃないというのも生々しい)

もし祖母が甘やかさなかったら?

もし女性たちもイジメをしなかったら?だらしなくなかったら?

(当時、農村部では未だに夜這いの習慣があったそうです)

その「もし」が虚しく成るほどにどんどん悪い方向に向かうのが

気味が悪いと思ったし、現実的だと思った。

山岸さんの別作品「白眼子 」でこんな記述があった。

「人間は幸も不幸も同じ量」。

もし何かのきっかけで少しでもこの負のサイクルから

外れる事が出来ていたら、彼も生い立ちが不幸だった分

今度は幸せな事が起きてこんな凄惨な事件を起こし、

自らも命を絶つこともなかったのかもしれないと思うと

本当に恐ろしい。

そして最後にこう締めくくっている。

「先送りした逃避はいづれ目の前に戻ってくる。

さらに倍になって。

そのまま解決せずまた先送りすると

さらにさらに倍になって戻ってくる。

それが負のサイクルであり、春雄はそのサイクルに

囚われ、抜け出せなかったのだ。

はたしてこのサイクルに囚われるのは春雄だけで

あろうか。

そのひとつひとつが小さな逃避であろうとも

負は大きな口をあけていつでも我々を待っている。」

怖い・・・他人事と思うな・・という事ですよね。

確かに些細な事から大きな事まで誰にでも当てはまると

思うのです。

上にも書いたけど色々な作品で山岸さんは「現実逃避」を

痛烈に非難しています。だからこの事件の解釈や作者の

コメントもとても冷たく、そして恐ろしく感じてしまうのです。



・・関連作・・

八つ墓村 ◆20%OFF! 津山三十人殺し 犯罪地獄変