この記事は「グリーンニューディーラー、マーヴィン・ゲイと幻のアルバム『You're The Man』」シリーズのリンクまとめ記事となる。
【シリーズ】2020-12-12から (全6回)
私cargoは、マーヴィン・ゲイをグリーン・ニューディーラーと位置付けた。
「Mercy Mercy Me」などのエコソングでお馴染みのマーヴィン・ゲイだが、彼がアルバム「What's Goin On」で歌ったのは人々の暮らしや雇用、経済のことであった。
同じように、グリーン・ニューディールも、ただのエコ政策ではなく、雇用の創出と対になるものである。
そのマーヴィン・ゲイが71年の名アルバム「What's Goin On」に続くアルバムとして制作したのが、幻のアルバム「You're The Man」だった。
しかし、レーベルであるMOTOWNは「あまりにも政治的過ぎる」との理由でお蔵入りさせた。
この幻のアルバム「You're The Man」で、ゲイが何を主張したのか。その秘密を探る。
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2019年に、Marvin Gayeの幻のアルバム「You're The Man」が「新作」としてリリースされた。
このアルバムは1972年にリリースされるはずだったが、「政治的過ぎる」としてお蔵入りになっていたものを再マスタリングしてリリースした大変貴重で重要な作品であった。
1971年に「What's Going On」で復活を遂げたマービン・ゲイの、1973年の「Let's Get It On」以降の官能的でセクシュアルな方向に向かうキャリア最高の時代の作品だ。
1969年~1973年の黒人音楽における「政治の季節」も追いかけながら、このマービン・ゲイの傑作「You're The Man」について解説していく。
Marvin Gayeの60年代後半の楽曲とともに、The Temptations、Curtis Mayfield、Donny Hathawayの当時のポリティカルソングも振り返る。
この50年で「政治の季節」は三回起こっている。
1968年前後、1992年前後、そして今だ。
いずれの時期も大きな暴動が起こっている。
カルロス・カスタネダの影響と彼の精神的探求は「Mercy Mercy Me(The Ecology)」に行きついた。
ああ どうかお許しください
ああ 何もかも前とは変わり果ててしまった
油が大海を汚染してしまった
私たちの海も 魚たちは水銀まみれだ
インフレーション
チャンスはない
金の工面なんかできやしない
請求書は空高く積みあがり
若者は死地へと送られる
こんなの人生じゃない、こんな生活なんて
間違ってるよ、こんな人生なんか
このアルバムでもっとも多く扱われたイシューは、平和やエコロジーではなく、経済と貧困、人々の暮らしのことだった。
私はマーヴィン・ゲイを「グリーン・ニューディーラー」と定義した。
アルバム「You're The Man」の全17曲中15曲がなんと49年間も封印され続け、2019年に親策として発表された。
(数曲のバージョン違いは2001年の復刻2部作「What's Goin On」「Let's Get It On」のボーナストラックに封入されている)
タイトル曲「You're The Man」は、主に1972年の大統領選挙に基づいて作詞・作曲された。
「You」とは大統領のことだ。
また、このアルバムの構成楽曲についても解説した。
マーヴィン・ゲイの幻のアルバム「You're The Man」のタイトル曲「You're The Man」には、少なくとも5つのバージョンが存在する。
それぞれのバージョンが構成や歌メロ・歌詞がまったく異なる。その違いを解説した。
あなたがどういう妥協を計画したかについて
私達はもう嘘は聞きたくないんだ
私たちはドルの価値を上げて
雇用をもっと増加させてほしいんだ
この国の税制というものが
インフレーションを引き起こしている
ピースサインなんかしても意味ないよ
人々を背にして また金を巻き上げるんだろう
どうやって節約するかなんていう
嘘はもう聞きたくないんだ
私たちはドルの価値を上げて欲しい
雇用も増加させてほしい
この重税は私たち全員をこの恐ろしい状況に追い込んだんだ
もうピースサインなんていらないよ
そうやって背を向けて
人々の金を巻き上げるんだね
どうしてワシントンを行進する人々の
彼らの話を聞かないのだろう?
なぜなら会議の面々は
あなたに背を向けるかもしれないからだろう、ブラザー
投票日前後に設定する
政治、そして偽善が
私たちを狂人に変えてしまうんだ
私たちの息子から銃を引き取ることができるのか?
そうだ、この政権はすべて間違っているんだ
平和と自由が課題だよ
さあ、私にあなたの計画を聞かせてくださいミスター
幻のアルバム「You're The Man」に封入された名曲を紹介した。
この回で紹介したのは、リリースされていたら間違いなくビルボード1位になっていただろうラブソング「I'm Gonna Give You Respect」や、排外主義やフェミニズムを歌った「Woman Of The World」、犯罪や暴力の蔓延る世界を歌った「The World Is Rated X」となる。
犯罪はどうなってる? Xランクか?
どこにでもある殺し合いや争い、盗みはどうだ?
彼らは、破壊された人生を子供たちに見せるけど
子供にそれが仕組まれたものだってことは見せないんだ
いったい神の創造物はどうなったんだ?
この回でもアルバム「You're The Man」に封入された名曲を紹介した。
What's Going Onの続編のような楽曲「Where Are We Going?」がそれだ。
ああ、ああ
明けても暮れても
路上生活者が順繰りに現れ
毎日毎日、仕事は行われる
毎日毎日、次の戦争が起こる