マーヴィン・ゲイの幻のアルバムからもう一曲翻訳したい曲がある。
この「Where Are We Going?」も本当に名曲だ。ポップチャートで上位を記録していただろう。
この名曲も三十年もリリースされていなかったのだから犯罪的であるとすら言えるだろう。
 

▼ Where Are We Going?
https://www.youtube.com/watch?v=2XqIwvorqK8

 

[Verse 1]
Oh, oh, oh
Day in, day out
Sidewalk sleepers turn about
Day by day, the work gets done
Day by day, another war goes on

ああ、ああ
明けても暮れても
路上生活者が順繰りに現れ
毎日毎日、仕事は行われる
毎日毎日、次の戦争が起こる

[Chorus]
Tell me, where are we going?
Oh oh, what's the future showin'?
Oh, where are we headed?
With all that's goin' on, where are we gettin'?

教えてくれよ、私達はどこに行こうとしてるんだ?
ああ、未来はいったい何を見せてくれるの?
ああ、どこに向かおうとしてるんだ?
私達はいったいどこに行こうとしてるんだよ?

[Verse 2]
Day in, day out
A little boy and girl are goin' out
Day by day, baby's babies are born
Day by day, people say, "Right on"

明けても暮れても
小さな男の子と女の子が出かける
毎日毎日、子供が生まれている
毎日、人々は「いいぞ!」と言うんだ


[Chorus]
Tell me, where are we going'?
Oh oh, what's the future showin'?
Oh, where are we headed?
With all that's goin' on where are we gettin'?

教えてくれよ、私達はどこに行こうとしてるんだ?
ああ、未来はいったい何を見せてくれるの?
ああ、どこに向かおうとしてるんだ?
私達はいったいどこに行こうとしてるんだよ?

[Bridge]
All we need
All we need
All we need
All we need
All we need, oh

必要なのは
必要なのは
私たちが必要なのは

[Verse 3]
Day in, day out
It gets better, the people shout
Day by day flames get higher
Lives and pains, yeah, they fuel the fire

明けても暮れても
「(世の中は)よくなってる」と人々は叫ぶ
日ごとに炎は大きくなって
生きていることと痛み、そう、彼らは火に燃料をくべる

[Chorus]
Oh, where are we going?
Oh oh, what's the future showin'?
Where are we headed?
With all that's goin' on, where are we gettin'?

教えてくれよ、私達はどこに行こうとしてるんだ?
ああ、未来はいったい何を見せてくれるの?
ああ、どこに向かおうとしてるんだ?
私達はいったいどこに行こうとしてるんだよ?

https://genius.com/Marvin-gaye-where-are-we-going-lyrics


この未発表曲「Where Are We Going?」は「What's Going On」の続編的な名曲だが、マーヴィン・ゲイ特有の恍惚とした哀愁感が素晴らしい。私はこの何か、達観した諦めの感覚が好きなのだ。

当時のゲイは本気で「世界を救う」ことを考えていたのかもしれない。
「You're The Man」の前年、71年にリリースされたジョン・レノンの名盤「Imagine」のように世界を変えられると考えていたのだろう。
カスタネダの影響を受けた他のニューエイジ系のアーティストたちのように、実務的論理構築を投げ出して精神の世界に逃げ込んでいただけかもしれない。
でも、本当は変えられるわけがないこともわかっていたのではないかと思う。

政府や金融権力は絶大なパワーを有し、彼らのプロパガンダ機関であるマスメディアにより人心も掌握、彼らが世界を破壊するための養分、そして尖兵としての小型のグローバリストやネオリベを育てている。
非金融部門間の信用創造を介さない取引では、富を奪い合うしかないが、他者から富を奪う能力に長けた者だけが勝つことのできる社会を作り上げている。

そういう気の狂った連中をメディアで讃えて、それがさも人々が目指すべき人物像であるかのように喧伝し、多くの人々はその大嘘が正しいものなのだと信じ込んでいる。
こんな何重にも入れ子のような構造になっている狂った世界を変えられると思うほうがどうかしている。

日本では安倍の次には菅という、安倍と同等の売国奴が平然と首長の座についている。
アメリカでは金融屋の協力者トランプに替わってバイデンという戦争屋の協力者が権力を手にした。

この地獄を変えることは不可能かもしれないが、それでも抗わないわけにはいかない。

マーヴィン・ゲイのアルバム「You're The Man」を聴きながら、そんなことを考えていた。


このシリーズはここで終了。

次回以降はまた90年代Hip Hopと銀行家とムスリムの関係を探るシリーズに戻ろうと思う。

長編にお付き合いいただきありがとうございました。

ではまた次回。

cargo