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小桜かこです
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私が物心ついたときには
母と私と妹の３人暮らしでした。
妹はひとつ年下で
重度の知的・心身障害児です。
中国地方で生まれ
もともとは父を含む
家族４人で生活していました。
障害児が生まれたことで
父は酒を飲んでは
母に暴力を振るうようになりました。
その暴力から逃げるため
母は、私と妹を置いて
ひとりで家をでていきました。
九州地方の実家に戻った母は
「子どもを置いてくるなんて！」
と親に叱られ
私と妹を連れにいったんは戻りましたが
そこから父との別居生活が始まりました。
父はひとり中国地方。
母、私、妹は九州地方。
そのころ私は４歳でした。
障害のある妹はひとりで
日常生活を送ることは
困難な状態でした。
そのため私は
家の中ではいつもひとり。
母に抱っこされたり
甘えたりした記憶は全然ありません。
そのような写真もなく
写真の中の私は
どれもひとりぼっちでした。
欲しいものがあっても
自分から言うことは
できませんでした。
母子家庭で貧しかったこと
障害のある妹がいたこと
そんな状況から
母にわがままを言ってはいけないと
幼くてもわかっていました。
母の機嫌が悪い時には
冬でも外に追い出されていました。
「出ていきなさい！」と言われ
腕を強くつかまれ
靴も履かせてもらえずに
玄関から引っ張り出されて
カギをかけられるのです。
母の機嫌が落ち着くまでは
家に入れてもらえませんでした。
別居していた父は
盆と正月には、私たちに
会いにきてくれていました。
父は一緒にいても、遊んでくれたり
一緒に出掛けたりすることは一度もなく
一日中家に居て、寝ているか
お酒を飲んでいました。
すごく嫌だったのは、母が
父が来る日にはビールや日本酒や
普段は買わないお刺身を
父のためだけに
用意していたことです。
どうしてそんなに
気を遣うのかわかりませんでした。
私には
「お父さんという名前のお客さん」
そんな感じでした。
そんな父でしたが
やはり帰ってしまう日はさみしくて
帰ってほしくなくて
父の靴を隠したり
父の姿が見えなくなるまで
泣きながら見送っていました。
一度も振り返ることのなかった
父の後ろ姿を、今でもはっきりと
覚えています。
小学校高学年ではいじめをうけ
楽しい思い出なんて
ひとつもありません。
お友だちと遊んでいるときに
誰かが転んでケガをすると
家の救急箱を持って行き
手当することが好きでした。
このころから
「大きくなったら看護婦さんになる」
そんなふうに思うようになりました。
私が中学生になる前に
父と一緒に暮らすことが決まり
家族３人で、父のいる
中国地方へ引っ越しました。
「お父さんと一緒に暮らすって
どんなんだろう？」
ちょっとワクワクする
気持ちがありました。
私の地獄のような日々が
始まるとも知らずに。
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