生産性とは、投入または投資した(inputo)でいかに大きい成果(output)を得られるかです。

 

生産性=output/inputo

 

output 1億

inputo 5人

このケースは1億/5人で一人当たり生産性は2000万となり、

同じ売上でも2人なら一人当たり生産性は5000万となります。

 

 

第一に考えるべきは、成果を大きくすること。次に投入を減らすことです。

 

1億円の売り上げを2億に上げるためにはどうするべきか。

2億に上がったら、人数や工数、コストをどのようにして減らすか。

 

成果を上げてから、コスト削減に移行したほうが、規模の経済が働きやすいため、この流れが一般的ではないでしょうか。

 

 

この母数であるinputo(コスト)は生産の4Mと表現されます。コストになる四要素と捉えるとわかりやすいですね。

 

【生産の4M】

・Material(原材料)

・Machine(設備)

・Man(ヒト)

・Method(ノウハウ、方法)

 

 

これらの合理化には3つの基本原則があります。

 

【3S】

・単純化 種類を減らして集中できるようにする。無駄を排除する。

・標準化 ルールや規格をそろえる。マニュアルを整備する。

・専門家 分業。優位性を担保する。

 

4M×3Sは、inputを減らし生産性を高められることがお分かりいただけると思います。

 

 

具体的には、

 

・Material(原材料)

原材料を少なくする、または同じパフォーマンスの出る安いものに変える。

規模の経済(大量購入、共同購入)による仕入れ値の圧縮が考えられます。

 

・Machine(設備)

新規設備投資による生産効率を向上させる。余剰設備を処分する。

未稼働設備を稼働させるによる待機による機会損失を無くすなどが考えられます。

 

・Man(ヒト)

作業を単純化し人手を減らす。教育育成によって人手を減らすなどが考えられます。

 

・Method(ノウハウ、方法)

システムを導入する。作業工程を見直すなどが考えられます。

 

 

ラーメン屋さんで例えて考えてみましょう。

そこそこ売り上げのあるラーメン屋さんです。問題は生産性です。

 

手を付けるところはたくさんあります。4Mに3Sを掛け合わせて考えてみます。

 

・Material(原材料) 

仕入れ業者を変えて安くできないか。豚肉ではない鶏肉でのチャーシューはできないか。2店舗目を出し、仕入れ量を増やして仕入れ値を安くできないか。

 

・Machine(設備) 

光熱費の削減はできないか。家賃交渉ができないか。

 

・Man(ヒト) 

シフトをうまく組んでアルバイトの数を減らせないか。スタッフを教育してできる種類の仕事を増やすことはできないか。

 

・Method(ノウハウ、方法) 

メニューを少なくして仕込み時間を短縮できないか。工程を少なくして提供時間を短縮できないか。

 

 

などなどが考えられます。

 

生産性を上げるというと成果に着目しがちですが、生産性指標の母数(input)に着目するのも大切です。

 

浅井隆志

 

 

仕事で重要なことは気合と根性です。

 

こんなことをいうと時代錯誤と言われるかもしれません。しかし成果を出すには弛まぬ努力に裏打ちされた試行錯誤が必要です。その成果に対する試行錯誤は何より気持ちがなければ実現できません。

人間は誰しも楽なほうに流されます。楽なほうに流されると、集中することがなくなります。集中することがなくなると意識が散漫になります。意識散漫で余計なことを考える余地が生じます。余計なことを考える時間が長くなると、生産性が悪くなります。生産性が悪くなると仕事がつまらなくなります。仕事がつまらなくなると目標がなくなります。目標がなければ計画もなく、実行力もなくなるので無気力になり、最低限の仕事しかしなくなってしまいます。

管理職は常に部下に対して闘魂を注入する必要があります。これを現代風に格好よく言えば、モチベーション管理、モチベーションマネージメントでしょうか。


インテルの元CEOアンドリュー・S・グローブはマネジメントの目的は、チームの成果を出すこと。そのために、メンバーの能力向上とモチベーションを与えることが上司の役割だと言っています。

前項でもお話してきたように、やる気にさせる手法はさまざまあります。僕がその中で最も効果的だと確信しているのが、憧れによるモチベーションUPです。言い換えれば関係性のマネージメントです。

僕には忘れられない上司が数人います。いつも気にかけて期待してくれた上司。いつも率先垂範でカッコイイ姿を見せてくれた上司など。


上司が頑張っているから、自分もその頑張りについていきたい。
上司がいつも期待をしてくれているから、その期待に応えたい。
なにかあったときに常に僕をフォローしてくれたからその恩を返したい。
そして、いつかあのようなデキル人になりたい。という憧れです。



憧れは仕事においてとても強いモチベーションです。上司が部下に教えようとしなくても、部下が上司に教えを積極的に乞うようになります。僕は仕事柄、教える仕事をしているせいか、どんな本を読んでいるのか教えて欲しい、目標設定の仕方を教えて欲しいと受講生から質問をされることがあります。こちら側から○○をやったほうがいいよと教えるより、当然自発的に質問してくるほうがモチベーションをもってその行動をとることができるでしょう。


ではどのようにしたら憧れの存在になれるのでしょうか。

憧れの存在になろうとしてなれるものではないのが難しいところです。しかし、とてもシンプルで簡単です。それはあなたが真剣に仕事をしているかいないかだけです。


少し余談になりますが、僕が営業研修でお伝えしている営業の本質をお話いたします。


営業は物を売ることでも、お金を回収することでもありません。利益を上げることすら仕事ではありません。それは作業の一環です。本来の仕事は“伝える”こと。何を伝えるのか。商品やサービスの良さを伝えるのではなく、自分の震えていることを伝える。
どんなに上手なプレゼンテーションをしても、自分の心が震えていない限り、人の心を震えさせることはできません。「そういえばこのあいだ食べたラーメンがめちゃめちゃうまくてさ!」って、これにはプレゼンスキル不要で、相手に伝わります。なぜかというと自分が感動しているからです。自分の心が震えていれば、相手の心も震えさせることができます。


あなたが真剣に仕事をしていれば、それは伝えようとしなくても部下に伝わります。その真剣さ、真摯さが憧れに繋がります。

WIN-WINという考え方が一般的です。社員は報酬をもらい、企業も利益を得る。上司もチーム成果を達成し、部下も自分の成果を達成し、それぞれが適切に評価をされる。たしかにWIN-WINでなければ組織やチームは存続できません。


しかしながら、僕は上司と部下の最高の関係性は真逆だと思っています。WIN-WINではなくLOSE-LOSEです。


部下「課長、僕なりに考えた新しい企画があります。もちろんさまざまなリサーチをしましたが、見込みは半々です。それでもこれで勝負したいんです!」
上司「そうか、そこまで言うならやってみよう。失敗したら俺が責任とるから」


お互いにリスクを引き受けあうLOSE-LOSEこそが、関係性によるモチベーションではないでしょうか。


何を言うかのその手前に、誰が言うかがもっとも重要だ。
 

浅井隆志

ほめて伸ばすという風潮がマネージメントでもまことしなやかに浸透しています。確かに褒められれば気分は良いですし、テンションも上がります。しかし一時的な効果しかみこめないケースが多いようです。一度褒められてことで、いったいそのモチベーションはどれだけ続くのでしょうか。せいぜい、1,2日ではないでしょうか。褒めて動機づけをするなら、ほぼ毎日褒め続けなければいけなくなります。ご機嫌取りのマネージメントはそのうち効果も薄れますし、すり寄る感じがなにより気持ち悪いです。


・褒めるより効果のある“認める”
 

十人十色。人生の価値観もさまざま、仕事で喜びを感じる価値観もさまざまです。しかし喜びの大小はあると思いますが、お金をたくさんもらえるのは誰しもが嬉しいはずです。


社員のモチベーションをあげようと、営業コンテストを開催して臨時賞与を出す。このような試みをされている営業会社さんもあります。お金はいわゆるアメとムチのアメでのマネージメント手法です。しかし、そうそう長続きしません。たしかに瞬間風速を最大にすることはできますが、継続力がありません。

例えば、あなたの月給が3万円あがったとします。「よっしゃ!がんばるぞ!!」さて、このモチベーションはどれくらい続くでしょうか。せいぜい1,2週間、もって一か月くらいではないでしょうか。
 

仕事への意欲を向上させる、モチベーションを高めるためには、褒めるでもなくお金でもなく“認める”が効果的です。長期的かつ持続可能なモチベーションマネージメントです。
 

褒めると認めるの違いは簡単です。認めるは、部下の取った行動を言語化するだけです。

例)資料作成
褒め「めっちゃきれいに作れるようになったねーすごいねー!」
認め「今日は見やすくするために表に色分けをしたんだね」


例)電話営業
褒め「テンション高くていいね!」
認め「テレアポのトーンを少し変えているようだね」
 

例)営業
「熱心に頑張っているねー食らいつくとこすごくいいよ」
「追客のタイミングを自分でルール決めしているんだね」

あなたの取っている行動はきちんと私が見守っていますよ、そしてその行動を評価していますよ、ということを暗に伝えられるのが“認め”です。


ハーズバーグの動機づけ衛生理論をご紹介します。二要因理論とも呼ばれています。


どのような理論かというと、仕事の満足と不満をどこで覚えるかをリサーチ、分析したものです。
仕事に前向きになれる状態、もしくは満足度の高い状態は何が起因しているのか。逆に仕事に後ろ向きな状態、もしくは満足度の低い状態は何が起因しているのか。これらを調査分析しました。
調査結果で面白いことがわかりました。満足の要因と、不満足の要因が別々だということです。一つの要因の大小で満足、不満足になるということではないということです。

不満足の要因は、給与や福利厚生、職場環境などです。これを衛生要因と言います。
満足の要因は、承認、必要とされる、認められるなどです。これを動機付け要因と言います。


衛星要因は、不満につながりやすい要素です。整備されても仕事を前向きにさせるものではありません。あくまでも不満がなくなるだけです。動機付け要因は促進要因とも呼ばれ、あればあるほど仕事を前向きにさせるものです。


僕は過去に勘違いをして失敗したことがあります。優秀な社員を抱えこむために、高水準の給与を払っておけば済むという勘違いをしていました。かなりの高額報酬を払っていた社員が、ある日突然辞めると言ってきました。理由を聞くと「私はこの会社に必要がないとおもいます」でした。良い給料、さらに良い待遇なのに辞めるなんてありえないと勘違いしていました。


思い返せば僕も仕事のモチベーションはお金だけではありませんでした。僕自身も高率歩合の会社でもらっていない歩合を捨てて、ヘッドハンティングを受け入れた経験があります。その時も「ぜひ、浅井君の力を貸してもらいたい」その言葉でもらっていない歩合を捨てて転職した経験を思い出しました。

お金は生きていくうえでとても大切です。守るべき生活、守るべき家族がいればなおさらです。お金も大事ですし、それと同等、もしくはそれ以上に認められる、必要とされるは人間としての喜びです。

人は取った行動を繰り返しまわりから肯定されると、脳内で喜びを感じ、またその行動をとろうとします。良い行動、成果につながる行動をとった時こそ、認める絶好のタイミングです。


認めるは最大の報酬である

 

浅井隆志