泥なめミツバチ | ぶなまつの新・昆虫的人生

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昆虫の「生活史」をメインに、裏山にて「ソロ虫活」を楽しんでいるシニアです。
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 ニコ 土の香り、おだやかな川の流れ、そして菜の花の鮮やかさと香りが心を癒やし春本番を感じる。

最高気温20℃前後、天気のよい祝日(昭和の日)。

昭和の香りがまだ残る実家方面に行く。

早くも田んぼに水が入り、カエルが嬉しそうに鳴き始めていた。

 

    

 

 

菜の花について簡単に調べて見た。

【昔は「菜の花=ナタネの花」、

現在は「菜の花=アブラナの黄色い花が咲く植物全般」のことを指す。

(息子が昔使っていた中学社会教科書にも、歴史の中の植物の一つとして)

 あぶらな➡ 種子(菜種)をしぼって、食用や明かり用のアカリ用の油が採ります。しぼりかすは、肥料として利用されました。

『新しい社会 歴史』 東京書籍

と記されていた。

食用にもなるが、江戸時代には農家の商品作物として大量に栽培し、

(菜種油として)輸出していたらしい。

現代のほとんどは観賞用に栽培されている菜の花。

「幼い頃(農作地も多かったからか)、春は菜の花が咲きみだれ、虫たちの出逢いのフィールドになっていた。

当時はそれが当たり前のように感じていたけど、

宅地化にともないどんどん少なくなってしまった。

さみしいなぁ。

場所によっては観賞用として見ることはできるけれど・・」

 

 

 

菜の花の周囲には、雑草であるカラスノエンドウの花も咲いていた。

秋に実るカラスノエンドウの種子は食用にもなることを知った。

10年ほど前に実際に煮て、食べてみたら「杏仁豆腐の味」がした。

実は、カラスノエンドウには、

「土地に窒素を供給する役割」「虫の生態系を豊かにする役割」「土を守る役割」があるらしい。

だからだろうか、

この草が茂っている箇所は土の香りもよく、虫たちも元気だ。

 

 

 ナナホシテントウをここでも発見。

「3頭もいる。

一回り大きいのが♀で小さいのが♂かもしれない」

大きめのナナホシテントウを隣にいる妻の手にそっと乗せ、

飛び立つ姿も一緒に観察した。

「秋田の聖母マリアの使いだよ」と自分が言うと、

妻は「テントウムシ、大好き音譜」と優しく答え微笑んだ。

誰もいない畑のあぜ道を二人だけでゆっくりと歩いた。

「この場所はそれほど広くなく、局所的だが春の虫観察にはいい場所だ。

菜の花にはクマバチなどいろいろな虫が花粉を求めて飛んできているよ。

周囲に小さな川や畑もあるし、田んぼもあるしね」

妻も気に入ったようで久しぶりに、穏やかな春の陽気を体感していた。

 

 

 

100mほど先でトラクターを使い、耕作している人たちを見ながら、

この場所の今年の稲作がスタートしたことを知る。

川からポンプで水を引いたばかりの田んぼ道に移動すると、

カエルが水田の中に次々と飛び込み、嬉しそうに鳴きだした。

 

 

片隅を見ると、塊の泥土にアブのような虫がたくさん集まっていた。

「アブ? それともハエ ?

肥料として家畜の糞でも置いていたのかな?」

よく見ると、

耕された水田の土の塊に群がっていたのはミツバチだった。

ミツバチの群れが泥土をなめていたのである。

「確かにミツバチだ。

土の中に巣を作る蜂はオオスズメバチやジガバチ類だが、

これはどう見てもミツバチだ。

ミツバチが好む餌に、

花粉・花の蜜・甘い糖類などがあるのは知っている。

でも、ミツバチって、田んぼの土も食べるのか(・・? 」

 

 

驚きながらその様子を眺めるが、

何度見てもやっぱりミツバチだった。

 

「群れがいるのは、片隅の泥土にだけのようだ。

もしかしたら耕された泥土の塊(有機肥料?)に、

巣の原料(ミツロウ)となる「何か」が元々含まれていて、

匂いで集まってきたのかもしれない。

 

 

 

菜の花やタンポポにもクマバチやミツバチが、

花粉を求めて飛んでいたが、

泥土の上にたくさん集まっておいしそうになめているとは・・。

活動が本格化する前に土から栄養をとっていたのだろうか?

 もしかしたら今朝、

耕作中の人が甘い飲み物をここに捨てたのかも(笑)・・。
でもこんな場面、初めて見たぞ。

 


虫の世界はまだまだ分からないことが多い。

奥が深いなぁ。

この場所なら、ここ数年見ていない「ケラ」もいるかもしれない。

アブラムシもいるし、

またここに来て、テントウムシの確認をしたいなぁ」

 

 

「ステイホーム」が呼び掛けられる中、マスクをしながら誰もいない平地での、3蜜なしの自然観察もいいものだなと改めて感じ、春の喜びを味わった。

 

          令和2年4月30日(木)記す ほっこり