一昨日ワクチン接種の2度目が終わる。昨日は接種痕痛と微熱等があったが、イイノホールで行われた『LA MUSIQUE DE PARIS 巴里の音楽 1930’~1970’』の夜の部に行ってきた。出演は池畑慎之介（ピーター）、岩崎宏美、渡辺真知子、島谷ひとみ、凰稀かなめほかの皆さん。休憩なしの1時間40分ほど、古き良き時代のパリの雰囲気を満喫した。お一人2〜3曲が多かったが、ピーターは別格扱いで6〜7曲歌い、さすがの貫禄、圧巻のステージだった。演奏は小泉たかしグループ。
われらが宏美さんは3曲。「残したい花について」「再会」は昨年末の『レジェンドたちのシャンソン』と同じ選曲。「再会」は小泉さんのピアノ一本で歌われた。締めは何と「思い出さないで」というサプライズ。アコーディオンの音が入るとどことなくパリの香りがして、この曲がシングルになる以前、ヨーロッパ音楽集『恋人たち』に収録されていたことを思い出した。
さて、今日は「ピンクと呪文」についてお話ししたい。この曲は、2011年の2〜3月にNHK『みんなのうた』で流れていたので、一般の方で記憶されている方も多かろう。『みんなのうた』のホームページに、この歌が世に出た経緯が書かれているので、引用したい。
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その歌唱力で日本を代表する歌手のひとり・岩崎宏美の夢が、みんなのうたで花開きました。「初めて出会った洋楽がジャクソン・ファイブの『ＡＢＣ』です」という、モータウンサウンド大好きな彼女。「女の子３人でシュープリームスやスリー・ディグリーズみたいな」という、まさにその願いどおりな歌の誕生です。歌詞は、少女が困ったときに、大好きなピンクのスプーンをかかげて（ママと少女だけの）秘密の呪文を唱えると・・・という内容です。そして、このソウルフルな歌を提供したのはバブルガムブラザーズのブラザーコーン。実力派歌手・３人が息の合ったノリノリの歌声を聞かせます。味わい深い玉村敬子の映像が、彩を添えます。
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『岩崎宏美 オフィシャル・サイト』の記載に従い、本稿ではこの曲を「岩崎宏美63枚目のシングル」として扱う。このシングルのカップリング曲は、すでにご紹介した「真夜中のドア」である。両曲とも、Sis.LALA(岩崎宏美)・Sis.JUJU(八神純子)・Sis.TITY(花田千草)というスーパー・ボーカリスト3人組（THE★THREE SOUL PIGREES）が、70年代前半に世界を席巻したフィリーソウル風のサウンド（DA BUBBLE GUM BROTHERS BAND）に乗せて快唱する。
「♪ バンチイセッツータイナーモノカラター」という、一見意味不明なママと娘だけの呪文が、前サビで歌い出される。この呪文とピンクのスプーンさえあれば、辛い事や哀しい事があっても、いやたとえ地球が滅んでも大丈夫、という娘を守る母親の最強の愛情ソングだ。
誰しも小さい頃、自分のお気に入りのアイテムの一つや二つあったろう。大人や他人からみたらガラクタでも、本人にとってはかけがえのない宝物。そんなピンクのスプーンを高く掲げて、舌足らずの呪文を唱える幼い少女が目に浮かぶ。今この曲をかけながら拙稿を書いていると、なぜだろう、涙が止まらない。
イントロのベースや間奏のギターなどのソロ、バックのホーンなどのファンキーなサウンドに対し、母と娘の微笑ましくも愛情深く、ノスタルジックな情景を描いた歌詞が、ミスマッチなようでいてしっくりくるこの曲の不思議な魅力。
3人のシスターが歌い上げるエネルギッシュなハーモニーも快感である。だが宏美ファンとしては、若干物足りないのが宏美さんの出番の少なさだ。宏美さんのソロは、「♪ 神様にいただいたこのお守りは」の部分のメロディーが出てくる3回だけ。あとはハーモニーとユニゾンなのだが、宏美さんのお声がハッキリ認識できる部分はそう多くない。😂
ギターソロが終わった後の「♪ だから辛い事や哀しい事があった時には」の部分は、ビートが止まってキメリズムがカッコいい。そして純子さんがベルベットボイスで「♪ あなたが大人になっても 守られる呪文なの〜」と歌われた後は、お約束だが転調して半音上のキーになり、テンション上げ上げになる。そしてラストのサビでは、呪文の意味「♪ いちばん、たいせつ〜な、たからもの〜」が明かされるのだ。
何のことはない、この呪文はアナグラムというまでいかない、倒語（逆さ読み）に過ぎない。私も子どもの頃「みきみき、ツンパ、かるていは？」などとさんざん遊んだ覚えがある。私はジャズバンドに入って30年以上になるが、この業界では本当に普通に倒語（ズージャ語）を使うので、はじめ驚いた。シーメ(飯)、ダータ(ただ、無料)、チータ(立ち、立奏)など、当初何のことか分からなかった。
倒語はもともと隠語の性格があるので、品のないものも多い。ゲーハー、ビーチク、ソークタイシなどもよく使う。😅💦失礼しました。🙏
（2011.2.16 シングル）