字数制限で、正確なタイトルが表示されないので、まず改めて書いておこう。

「真夜中のドア〜Stay With Me〜」with 八神純子、花田千草(松千)and DA BUBBLE GUM BROTHERS BAND

 

 オリジナルは、44歳の若さで亡くなった松原みきさんのデビュー曲「真夜中のドア〜Stay With Me」。1979年にリリースされた、ソウルフルなナンバーである。作詞が三浦徳子さん、作曲が林哲司さんと、宏美さんにも楽曲を提供しているお馴染みの作家陣である。

 

 八神純子さんのベルベット・ボイスは説明無用だろう。私も、彼女の初期のアルバムはさんざん聴いたし、コンサートも何度か行ったことがある。いまだに衰えを知らないハイトーン、ロングトーンは圧巻である。

 

 花田千草さんというのは、恥ずかしながら私は知らなかった。松本健太さんと2人で【松千】という音楽ユニットを組んで活動しているとのこと。ハスキーボイスでなかなかに味のあるボーカリストである。

 

 そして、アレンジはBro.KONE(ブラザー・コーン)さん。DA BUBBLEGUM BROTHERS BAND を率いて、バックの演奏を務めている。ホーン・セクションもフィーチュアして、ファンキーなサウンドを聴かせてくれる。

 

 『Dear Friends Booklet』の宏美さんのロングインタビューから引用しよう。「八神純子ちゃんの来日を松千の(花田)千草ちゃんと待ちかまえて(笑)録音しました。高いキーの部分など迫力のある部分を、純子ちゃんのパートだと予め決めておいて」と言われている。その通り、かわるがわる3人がリードやソロを取るゴージャスなコラボレーションである。

 

 しかし、私はこの3人のパート配分には若干不満が残る。宏美さんの言葉にある「高いキーの部分など迫力のある部分」とは、終盤の「♪ あの季節が 今 目の前ぇ〜〜 ステイ ベイベェ」等のことだろう。それは納得である。だが、他の部分の振り分けに若干偏りがあり、宏美さんが歌われなかったパートが2箇所ほどあるのだ。

 

 具体的に話そう。説明を容易にするため、1コーラスを次のように、Refrain、Aパート、Bパート等に分ける。

 

Ref:stay with me…/真夜中のドアをたたき〜

A:私は私 貴方は貴方と/昨夜言ってたそんな気もするわ

B:グレイのジャケットに/見覚えがある コーヒーのしみ〜

Ref×2

C:To you…yes my love to you 〜

 

2コーラス目以降

A - B - Ref×2 - Guitar Solo - Ref×4 - Coda

 

 まず、一番美味しいサビ(Refrain)の歌い始め、「♪ stay with me…/真夜中のドアをたたき」の部分は、全曲通じて9回も繰り返されるのに、宏美さんの出番なし(♪ 帰らないでと泣いた、♪ あの季節が 今 目の前、は何度もあるのに😭)。音域的にもギリギリイケた(♪ あの季節が 今 目の前、と同じで最高音が上のC)はずなのに、なぜ?宏美さんの声でも聴いてみたかった。

 

 もう一つは、Bパートとした「♪ グレイのジャケットに/見覚えがある コーヒーのしみ」のメロディー。8小節ずつあるのに、1番は純子さん、2番は千草さんが全部歌ってしまう。ここは、音域的にも全く問題がない。4小節ずつ交代してでも、歌っていただきたかったものだ。

 

 

 さて、いつもの蛇足である。すっかりデカくなった息子が久々に一緒に車に乗っている時に、この「真夜中のドア」がかかった。すると、「あ!これ後半の歌詞、何て言ってるかわからないヤツだよね?」と言い出した。そう言えば、このアルバムが出たての頃、そんな話をしてたっけ。昔と違って、歌詞カードとにらめっこしながら聴いたり歌ったり、ということもなくなってしまい、その聴き取れない歌詞を判らないまま放置していたのだ。

 

 どの箇所かというと、2番のサビで「♪ stay with me…/淋しさまぎらわせて〜」の次の、千草さんの歌う部分の歌詞だ。妻も同乗していて、3人で何回もリピートして大音量で聴いたが判らない。そうこうするうち家に着いてしまい、息子がスマホで調べて「聞こえね〜!『置いたレコードの針』だってよ」と言う。部屋に戻り、そう思って改めてCDを聴き直すと、なるほどそう聞こえた。

 

 その日の夕食時、息子が「やっぱりあれは、あの人の“r”(アール)の発音が悪いんだよ。だから判りにくいんだ」と突然蒸し返し、家族中で大笑い。以来この曲を聴くたび、つい「♪ 置いたレコードの針」のところで笑ってしまう。

 

 最後にオリジナルの松原みきさんの動画を紹介しておこう。もう判っているせいか、それとも松原さんの発音が良いのか、ハッキリと「♪ 置いたレコードの針」と聞こえた。😊

 

 

(2010.10.20 アルバム『Dear Friends Ⅴ』収録)