先日、日本製鉄がUSスチールとM&Aが成立したとの発表がありました。バイデン前政権もトランプ政権も買収を否定していたので、日本企業がアメリカ企業を買収するのは難しいと思っていましたが、最終的に日本製鉄の粘り勝ちだったのでしょうか、完全買収で合意に至ったとのことで驚きました。
そもそも日本製鉄のUSスチール買収のメリットは何だったのでしょう。世界市場でのプレゼンス拡大と競争力強化、米国市場という成長性のある需要地での生産・販売基盤の獲得、高度な技術の展開と製品ポートフォリオの拡充、規模の経済効果によるコスト競争力の向上などがあるとのことです。
一方でUSスチールにとってのメリットは何だったのか。日本製鉄からの巨額の設備投資と技術移転による競争力向上、安定的な経営基盤の確保、米国での雇用維持と創出などがあげられると思います。
しかし、この買収劇の裏には何かあるのではないかなと思い、少し調べてみると次の課題・懸念点が見えてきました。買収資金の負担、米国政府や労働組合との関係維持と国家安全保障協定(NSA)遵守、企業文化の違いによる統合の難しさ、“黄金株”による経営への介入の可能性です。
黄金株って初めて聞きました。この黄金株が今回の買収劇の大きな引き金になったとは間違いないようです。
黄金株は、会社が発行する株式の中でも、特定の株主(この場合は米国政府)に対して通常の株式よりもはるかに強力な拒否権や特定の承認権を与える特別な種類の株式です。通常、その保有数はわずか1株であることが多いため「黄金株」と呼ばれます。
この買収において、米国政府は国家安全保障上の懸念を表明していました。特に、USスチールが米国の重要産業である鉄鋼を供給していること、また防衛産業にも間接的に関わっていることから、外国企業による買収が米国の安全保障を脅かす可能性があると見ていたのです。
この懸念を解消し、買収を承認するために、日本製鉄とUSスチールは米国政府との間で国家安全保障協定(NSA)を締結しました。このNSAの中で、米国政府に「黄金株」が発行されることが合意されました。
これが日本製鉄のUSスチール買収における黄金株の役割だったのです。それじゃ結局USスチールを買収しても日本製鉄は首根っこを米国政府につかまれているのではないかと思ってしまいました。
それでもこの買収は、日本製鉄にとって「総合力世界No.1」を目指す上で不可欠な戦略的投資であり、同時に米国経済や雇用にも大きな影響を与えるものとして注目されています。これから日本企業が米国企業とどのように相乗効果を出して成長し、他国の鉄鋼メーカーと戦っていくのか注目したいところです。




