先日、出身大学の学園祭に家族を連れて行って来ました。コロナの前に行って以来の母校への里帰りで、子どもたちも普段行くことのない広大な大学のキャンパスと学生の熱気に大興奮でした。
例年、この学園祭の時期に出身学科の4年生の卒業論文中間報告会と同窓会の総会があります。今年もその両方に参加して来ました。今でも現役の学生と触れ合えるのは楽しいですし、これからの若い子達の将来が楽しみです。
一方で学科および同窓会ですが大きな動きがあり、総会ではその議論で持ち切りでした。実は、自分の出身学科が学科再編のため無くなってしまうのです。全体的な学生減少も一因ですが、さらに材料科学(以前は金属材料工学)と言う学問を専攻する学生が年々少なくなってきているのです。
私の出身大学は、創立者が当時日本の電話通信分野で優れたケーブルを開発し、その報奨金で始めたのが建学のいきさつだそうです。そして、その開発の背景には金属材料の知識が大切だとのことで、金属材料工学科を設置したと聞いています。そして次期の大学総長(創立者の息子さんに当たります)は金属材料工学を専攻し専門家になりました。
そんな歴史のある学科でしたが、押し寄せる時代の波にはかないませんでした。材料科学科の先生方は、機械学科や応用化学科などに研究室を吸収され、来年の3月に最後の卒業生を送り出した後はバラバラになってしまうのです。
同窓会はどうするのか。機械学科や応用化学科と合流する案も出ましたが、やはり長い歴史で別々の活動をしていた同窓会が一緒になるのは簡単ではありません。結局のところ、新しい卒業生が入ってくることはありませんが、これまでの卒業生で出来る限り運営を続けて行こうと言う結論になりました。
さて、世の中から一つの歴史ある学科が消えようとしています。そうすると、これまでの歴史もなくなってしまうと言うことに直面しました。今まで学部、大学院修士、大学院博士の各課程を修了してきた卒業生の論文が段ボール箱何十箱もあるのですが、それを保管する場所もなくなると言うのです。そして、それらを電子データ化して保存しようと言う動きも(お金も)大学には無いため、来年の3月までに逐次処分されてしまうとのことでした。
自分たちの歴史と故郷がなくなってしまうようで、何だかすごく寂しい気持ちになりました。いつかはそうなってしまうことかも知れませんが、それを目の当たりにするとは思っていなかったのです。来年の3月は本当の意味で卒業と言うことになるでしょう。これまで何度も学園祭の時期に母校を訪れ、自分の学生時代を懐かしみ、今の学生たちからエネルギーをもらってきていましたが、恐らく来年からは違った景色になってしまうのかな。
