「上司代行」ってご存知ですか?「上司代行」とは、その名の通り第三者が上司の役割を担うことを指します。自社の上長ではなく、外部から来たプロフェッショナルが上司となり、社員の育成を行うサービスだそうです。
今の世の中、色々なサービスがありますが、こんなサービスがあるのかと驚きました。もちろん実際に利用したことはありませんが、いきなり外部から来た人が果たして上司になれるのでしょうか。どれくらいの期間でどれほどの内容を務めてくれるのでしょうか。そもそも上司って、部下と一緒に仕事をして、部下の人となりを見て、時間をかけて部下を育てることが必要だと思います。それを社外に頼らなければならないって、日本はどこまでおかしくなってきてしまったのでしょうか。
しかし、なぜこのようなサービスが生まれたのかを考えなければなりません。前提として、上司代行が広がる最大の理由は、深刻な人材不足にあるとのことです。少子高齢化による生産年齢人口の減少で、労働力は減り続けており、ありとあらゆる業種で採用難に陥っています。中でも顕著なのは企業のミドルマネジメント層の不足で、日本能率協会マネジメントセンターの調査によると、若手社員の77%が「管理職になりたくない」と回答しているそうです。
本来、出世や年収アップの象徴であるはずの管理職ですが、なぜ今避けられる存在となってしまったのか。原因として管理職の業務負担の増加だと言われています。管理職の多くは、部下の育成と自身の業務を並行して行う「プレイングマネージャー」として働かざるを得ません。その結果、管理職は「忙しい」「辛い」というイメージが定着してしまった。近年はそれに加え、「パワハラ」や「セクハラ」にも注意しなければなりません。いくら給料が上がっても割に合わないと思うのだろうと思います。
でも、そもそも仕事って何でしょう。目の前にある作業をこなすことが仕事でしょうか。もちろんそれも大切なことですが、仕事って本来は何かを生み出す、つくり出すことだと思います。そして、それが世の中、人のために役立ち、そしてそのことが感謝され対価を頂戴するのだと。それは継続的でなければなりません。なので、一人よりもチームや組織で、そして若い人たちへつないでいくことが大切なのだと。それができることは本来仕事の大きなやりがいや喜びなはずなのですが…。
上司はそのことを理解しなければなりません。部下もなぜ自分が育てられているかを考えなければなりません。しかし、このような上司と部下のコミュニケーションが希薄になっているのでしょうか。
新しいサービスが出てくるのは素晴らしいことだと思います。しかしその裏側を覗いて見ると、考えさせられてしまうことが多いと感じました。