私はコーチでも何でもないので、本来なら、ロッカールームへの立ち入りなど、してはならないのだと思う。ただ、BKコーチのM君に用事があって探していたところ、彼がロッカールームにいると聞いたため、申し訳ないと思いつつ、ゲーム後のロッカールームに足を踏み入れた。


言うまでもないが、ゲームに勝って浮かれている選手など一人もいない。思い思いの場所に腰掛け、黙々とスパイクやストッキングを脱いでいる。中にジャージを脱いだ上半身裸の選手がいたが、激戦を物語る赤い擦り傷が痛々しかった。


壁際にMコーチは立っていた。

真っ直ぐ立って、選手の方を向いていた。大きな目を見開いて、それがコーチの仕事であるかのように、戦いを終えた選手たちを見ていた。「あぁ、こういうのを見守る、というんや」・・・そう思った瞬間に、今年一番の涙もろい症が出ている私は再びウルウルしてしまった。


何とかMコーチに用事を伝え、ロッカールームを出ようとしたとき、最近、怪我から復帰した4年生の選手が座っているのが目に入った。未だスパイクを履いたまま、静かに座っていたのだが、その穏やかな表情がとても印象に残った。微笑みとまでは行かない穏やかな表情・・・。


ひょっとすると、Aリーグ残留を成し遂げた安堵感に、勝ったけど次がない寂しさがまじった表情だったのかなと思う。お疲れさんやったね!



地下鉄の駅で日本拳法部のY山先輩と一緒になった。

Y山先輩はファンクラブにも入会下さっているラグビー部の熱心な支援者だ。


先輩 「今日はどうするの?泊まりか?」

 私 「いえ、日帰りです」

先輩 「ほな、一緒に帰ろうよ。ビールとつまみは僕が買う」

 私 「ごっつぁんです。今日はええ日ですわ(笑)」


京都駅のみどりの窓口で指定席を2枚求め、売店で食料と飲み物をY山先輩に買ってもらうと新幹線に乗り込んだ。15列のB席とC席・・・おぉ、あった、あった。


 私 「先輩、私がB席に座りましょうか?」

先輩 「ええよ、ええよ、僕が座るよ、さぁ、乾杯しょうか」


座って直ぐに乾杯し、早速、ラグビー談義が始まった。「今日の入替戦やけど・・・」、「早慶戦はご覧になりました?」、「帝京はなんで3敗したんや?」、「もう一度、早明が対決した場合・・・」、「高校ラグビーも面白いで」、「東芝がトヨタに負けた・・・」と、話が弾み熱がこもる。熱心に大学ラグビーやトップリーグを観戦されているY山先輩は情報量が多く、しかも分析が鋭い。だから会話が途切れない。


途中、A席に座っている男性のことが気になったが、どう見てもラグビー業界の人ではなさそうやし、まぁ、ええか、と再びY山先輩との会話に熱中した。話題は再び同志社ラグビーに戻り、私が思う課題や対策につき話し始めた。Y山先輩は聞き上手な方なので、ついついこちらも本音を喋ってしまう。


そうこうする内に、早や新幹線は名古屋に到着した。

A席の男性が降りる様子だ。Y山先輩と私が席を立ち、A席の男性をお通しする。

と、通路に出た男性が話し掛けてくるではないか!


男性 「あの、同志社の方ですか?」

 私 「えっ?はい、卒業生ですが・・・」

男性 「実は私も同志社の卒業生です」

 私 「あれまー!」

男性 「思わぬところで、面白いお話を聞かせて頂きました」

 私 「あっちゃー、お恥ずかしいです」

男性 「昭和59年の卒業です。ラグビー部では大八木が同級生です」

 私 「こちら、日本拳法部のY山先輩、私は53年ラグビー部の卒業です」


停車するまでの短い時間に名刺交換し、又、機会があったら会いましょう、と約束して別れた。それにしても、まさか、3人掛けのシートに同志社が3人並ぶとは。


こうして、入替戦の日は朝から晩まで「同志社づくめ」で暮れていったのである。考えようによっては、大変、幸せな一日になったのだ。

話はゲーム終了後に飛んでしまうが、観客席が少し空いたところで、出口へと向かった。そのとき、記憶にある顔が目の前にあった。2週間前、江戸川区陸上競技場で大学日本一を日体大と争い、惜しくも準優勝となったラクロス部女子の選手だ。

http://ameblo.jp/borneo7ban/entry-10720826311.html


 私 「おっ、ラクロスやん!」

 ラ 「あっ、どうされたんですか?」

 私 「いやいや、心配で東京から出てきたんや」

 ラ 「そやったんですか、勝って良かったですね」

 私 「ありがとう、ありがとう」


もう、この時点で、最近涙もろい私はウルウルしてしまっていた。この際、ボルネオ7番をボルネオウルウルに改名しようかしらん(笑)


 ラ 「私たち、明日試合なんです」

 私 「知ってる。日本選手権やろ?」

 ラ 「そうです。応援に来て下さい」

 私 「すまん!今日は日帰りなんや。明日、頑張ってくれ」


私はそう言いながら、いつの間にか、ラクロス女子選手の手を握ってしまっていた。横にT道幹事長がいなくて良かった。あいつがいたら、「それセクハラとパワハラです。口止め料は生ビール2杯です」と強請られるところやった(笑)

 

しかし、嬉しいではないか。

ラグビー部の応援に硬式野球部やラクロス部が来てくれる。これぞ、私が理想とする情景だ。


私事ながら、現在、関東同志社スポーツユニオンという体育会全体のOB組織の役員をやらせてもらっている。その活動の中で私が理想とするのは、「卒業したら、運動部の壁は超えよう」、そして、運動部の壁を超えたら、「次は体育会の壁を超えよう」だ。


同志社は京都の学校なので、東京で戦う体育会の学生は「アウェイ」の気分を味わうことも多いだろう。それを私たちは運動部の壁を超え、応援に行きたいと思っている。又、校友の方々にも、是非ご参加頂きたいと願っている。