田村麻子さんのコンサートに出掛けた。



古今東西の名曲をたっぷり・・とのことで、第1部はグノー/バッハの「アヴェマリア」とカッチーニの「アヴェマリア」から始められ、その後、「七つの子」「赤とんぼ」「朧月夜」など日本の歌6曲を歌われた。ずっと目を閉じて聴いていたが、「赤とんぼ」では、亡くなった父が入浴中に気持ち良さそうに歌っていたことを思い出し、ちょっと胸が熱くなった。

「朧月夜」は、元駐日大使のキャロライン・ケネディさんを前に、あるイベントで歌われたことがあるらしい。感動されたキャロラインさんから声を掛けられたそうだが、確かに言葉を超えた情感が伝わってくる歌声だった。

初めて聴いた曲、「霧と話した」では不思議な感覚に包まれた。麻子さんは「失恋の歌か?」と思われ、ピアノ伴奏の小島さやかさんは「愛する人を亡くした歌では?」と思われたそうだが、私は「大事な人の失踪では?」と思う。行き先も理由も告げず、何かサインらしきものがあった筈だが、大事な人が突然いなくなる。今や生死も分からないから、その人のことは忘れ、前を向いて歩もうと思うが、やっぱり気になり、霧に尋ねてしまう。曲が途中で少しの間、長調に転調するのはそういう心の揺れを表しているのかなと思った。

(続く)

私が「バンドネオン」という楽器や「アストル・ピアソラ」というアルゼンチンの音楽家の存在を知ったのは11年前のことだ。その経緯はブログにアップしている。

 

マキシマ皇太子妃の涙 | ボルネオ7番のブログ (ameblo.jp)

 

その後、youtubeなどでバンドネオンの演奏を聴くことはあったが、ついに生の演奏を聴くチャンスがやって来た。



 ネストル・マルコーニさんは1942年のお生まれで、既に80才を超えておられるが、演奏は力強く滑らかで、音色に張りと艶があった。そのマルコーニさんに師事されている三浦一馬さんの演奏も見事で、ギューッと胸を締め付けられそうになる瞬間があった。

 

アンコール曲も加えると14曲の演奏があったが、いずれも豊かな感情が溢れ出るものばかりで、不安や心配、苦しみや挫折を感じさせるメロディもあれば、いつの間にか興奮や挑戦を感じさせるものに変わり、最後は安心や喜び、誇りを感じさせて静かに終わる・・・そういう変化を楽しませてもらった。

 

いちばん聴きたかった曲は、結婚式でマキシマ皇太子妃(当時)の涙を誘ったアストル・ピアソラの「アディオス・ノニーノ」だったが、期待通りの素晴らしい演奏だった。リズムが自在に変わり、快い和音が次の瞬間には不安を誘う和音になる・・・そういうバンドネオンの音色がどこか人生とダブるのかも知れない。

昨年に続き、子供たちにピアノや音楽を教えておられるS先生が企画された「子供たちのためのオペラ」に参加させて頂いた。昨年は「白雪姫と7人の小人たち」だったが、今回はモーツァルトの「魔笛」とのこと。聞いたことのある題名だが内容を全く知らない。慌てて Wikipedia で調べることとなったが、モーツァルトが生涯の最後に完成させたオペラで、大人気を博したものと分かった。

 

(当時のチラシ、Wikipediaより)

 

ただ、あらすじを読むと、重要な役割を演じる登場人物が少なくないし、物語も「白雪姫と七人の小人たち」より複雑だ。S先生はこれをどのように編集されるんだろう。そんな心配をしながら、前回同様、同級生のA山さんを今回も誘い込んで一緒にS先生の教室にお邪魔し、楽譜を頂き、早速コーラスのレッスンを受けた。楽譜は第1部と第2部に分かれており、厚みだけなら悠に昨年の倍はあったが、コーラスの出番はそんなに多くないから何とかなるかも。反面、主な登場人物が多い分、子供たちへの負担が大きそうだ。


(今回のチラシ。子供たちの手描き!)


タミーノ、パミーナ、パパゲーノ、パパゲーナ、夜の女王、三人の侍女、三人の童子、ザラストロ、モノスタトス、三人の神官・・・。歌も台詞も多い。これを覚えるのは大変だ。



それから約10回の全体練習があったが、なかなか全員が揃わない。揃わないから代役による各局面の練習になり、間合いや流れが掴みづらい。そんな練習が長引くと子供たちは飽き始め、大人たちは疲れ始める。うん、これは大変やな、形になるかな? 間に合うかな、うん? 去年もこんな心配をしていたな、と思う内に早や当日朝のリハーサルを迎えた。大人はバラバラの服装だが、子供たちは各々の舞台衣装を着て、明らかにテンションが上がっている。なるほど、舞台衣装が「スイッチ」か!



リハーサルの出来は、既に前日の最終練習に比べ、倍ほど上手だったように思うが、本番の直前、S先生から「みんな、私はこんなに上手く歌えるのよ、と自信を持って歌ってね」と言われた子供たちが全てを出し切るような熱演・熱唱を披露し、感動的なステージになった。素晴らしかった。夜の女王にはソプラノ歌手の宮澤那名子さん、モノスタトス役にはプロ顔負けの演技力を見せたH澤さんを配し、物語の難解な部分はナレーションで補うことを考案されたS先生の準備も光ったように思う。



子供たちの挑戦意欲と成長に今回も刺激を受け、感動した。ありがとうございました。