昨年5月19日、山手通りに出る緩やかな階段を駆け昇ろうとして階段を踏み外し、額から落ちて階段の角にぶつけ、13針縫う怪我を負った。あれから一年経った。


(ちょうど一年前、手術直後の写真)

心配された後遺症もなく、仕事もこなせるし、趣味のバイオリンや合唱も続けられた。この間の木曜日には、合唱仲間二人に誘われ、皇居の回りを走ることもできた。


皇居を走ったのは、丸紅に入社した春以来のことで、45年振りになる。100人の新入社員で走り、私は3位でゴールインしたが、そのときの1.5倍ほど時間が掛かってしまった。


それを思うと、失ったものに気付いて淋しくなるが、当時は「女性ランナーに見とれたりしてたら、又、転びますよ」と言ってくれる合唱仲間はいなかったから、まぁ、得たものもあったと考えよう(笑)

第12回国際シニア合唱祭が横浜みなとみらいホールで開催され、約90の合唱団が参加した。参加条件は、①平均年齢60才以上、②参加できる人は50才以上、③団員15名以上の合唱団、というもので、これにDSKクワイア(男性讃美歌研究会)も参加した。


①②の条件は余裕でクリアしていたが(平均年齢80才、最年少63才)、③は15名ぎりぎりという状況だったから、当日朝の集合で全員揃ったときにはホッとした。

 

 

私たちが歌ったのは、讃美歌の「牧主(かいぬし)我が主よ」と松下 耕さん作曲の「主は私の羊飼い」で、題材は同じでも曲調が大いに異なるので、聴く人には面白い組合せだったのではないかと思う。


出番を待つステージの裏では、メンバーのお一人、クリスチャンのKさんが「私たちの思いが聞いてくださる方々の心に届きますように」と祈られた。私はクリスチャンではないが、最後に「アーメン」と唱和することで落ち着き、みんなの気持ちが一つになったように思う。


合唱祭は3日間の日程で催され、日ごとに講評者の先生方に選ばれた団体が表彰されることになっていたが、最終日は私たちDSKクワイア(男声讃美歌研究会)が県知事賞を頂いた。いくつになっても誉められると嬉しいことを実感。これで又、抜けられなくなった(笑)

北大合唱団東京OB会「クラーククラブ」の第12回コンサートが一昨日、アプリコ大ホールで開催された。3年半振りの開催で、メンバーの平均年齢は74才に、又、ご出演の53名中、80才以上の方が14名おられるとのご挨拶に「おぉ!」という声が上がり拍手が湧いたが、年齢を感じさせない立ち姿と張りのある歌声に今回も感動を頂いた。

 

第一ステージは21世紀に作編曲されたアカペラ作品5曲から成る「こころの歌」、第二ステージは男声合唱とピアノのための「初診の歌」(木島 始作詞、信長貴富作曲)、第三ステージは「シューベルト男声合唱曲」から4曲、そして第四ステージが男声合唱組曲「水のいのち」という構成だったが、一番、興味があったのは、6月3日に同志社混声合唱団〈東京〉で歌う「水のいのち」だ。男声合唱と混声合唱では趣きも異なるのだろうが、高嶋先生がどのように指揮をされるのか興味があった。




その「水のいのち」は5曲から成るが、最初の「雨」は黙々と空中の塵を洗い流しながら降り続ける雨の模様が目に浮かび、映像にするならフルカラーより白黒の方が似合うように思った。第2曲の「水たまり」では、泥水に寄り添って見守る心が伝わって来て、最後は優しい気持ちになれた。第3曲の「川」は打って変わり、「なぜ低い方にしか水は行くことができないのか」という悔しさや空に焦がれる激しい思いがひしひしと伝わってきて、これまで何気なく見てきた川の流れが頭に浮かんだ。確かに、低い方にしか流れることのできない運命を背負っていた。

 

第4曲の「海」は、浜に打ち寄せては返す波を思わせる優しい旋律から始まるが、雨が洗い流した塵や川が運んできた泥水など全てを受け容れる大きな度量を感じさせ、最後に再び浜に打ち寄せる波を示す旋律が出てくるが、そういう大きくて、しかし、浜には静かな波を寄せて来る優しい海を思い描いた。第5曲の「海よ」にはフォルティシモで歌う「お、おぉ、海よ~」と歌う箇所があり、混声合唱でも迫力のある箇所だが、そこがどのように歌われるのかに関心があった。結果は「大迫力」で、男声合唱ならではの力強さを感じさせてもらった。


水にも性別があるなら「男性の水のいのち」だったと思うが、男の強くありたいと願う気持ちや、優しくありたいと思う気持ちがステージから伝わってきて、私もその気持ちを共有させてもらった。素晴らしい演奏だった。