朴 令鈴さんのピアノでバリトン大沼 徹さんがシューベルトの「美しき水車小屋の娘」を歌われた。これはシューベルトが作曲した三大歌曲集の一つとのこと。
20曲から成るこの歌曲集は、一人の若い粉職人が修行の旅に出るところから始まる。彼は水車小屋の美しい娘に出会って恋に落ち、その恋が実ったかと思いきやライバルの狩人が現れ、彼女を奪ってしまう。嫉妬に苦しみながらも彼女を思い続けるが、やがて耐えきれなくなって小川に身を投げる、という物語のようだ。
大沼さんはその青年を演じ、見知らぬ世界への好奇心、美しい娘と出会ったときの興奮、恋に落ち、彼女を得たときの喜び、ライバルが現れたときの嫉妬と焦り、そして彼女を奪われたときの喪失感を一人で見事に歌い分けられた。
鉛筆に例えると、合唱団で歌っている私はHB一本。これに対し、大沼さんの筆箱には6Bから9Hまで入っており、その上、色鉛筆や場合によっては絵の具まで繰り出せるということか。プロは凄いと思うが、ともかく私はHBの芯を折らないよう大事に使おうと思う。
