登別温泉に湯澤神社という神社があり、お参りしようかと思ったら、旅行者の方が神社に至る石段の前で写真を撮っておられる。ところが、スマホの先には誰も立っておられないから、いったい何を撮ろうとされているのかとその先を見たら、なんと立派な角を生やした鹿がいた。



どう見ても野生の牡鹿で、山から降りて来たのだろう。空腹なのか、脇目もふらず葉っぱを食べている。これが熊なら、写真を撮るどころではなかったろうが、翌日、洞爺湖温泉に向かう山中でも車の前に鹿が飛び出して来たから、私たちと野生の動物たちの距離は縮まっているのだろう。


そんな話をしながら洞爺湖で中島に向かうフェリーに乗船したら、乗客が食べものをくれると知っているのか、カモメが団体で近寄ってきた。乗客がかっぱえびせんを指に挟んで掲げると、器用に速度と高度を落としたカモメが接近し、くちばしでかっぱえびせんをついばむと、そのまま飛び去って行った。その決定的瞬間を偶然にも撮れた。


野生動物との共生には難しい課題があるのだろうが、多分、我々人間は地球に住む生きものの中では最も新参者なのだから、我がもの顔で暮らし、好き放題に環境を変えたりしてはいけないのだと思った。

YPSO、Young People's Symphony Orchestra は1936年、カリフォルニア州バークレー市に創立されたオーケストラで、オーディションに合格した11才から20才までの約100人の若い音楽家で構成されているとのこと。民族的にも経済的にも多岐にわたる若者たちだが、オーケストラという環境の下、模範的な音楽家、模範的な人間になることをミッションにしているとのこと。日本公演は初の試みのようだ。



このコンサートにオペラ歌手の田村麻子さんが出演されるとのことで、お母さまのR子さんからご案内を頂き、池袋の東京芸術劇場コンサートホールへと急いだ。全席指定とのことだったが、私の席はなんと最前列の中央で、目の前に指揮者の方や田村麻子さんやコンサートマスターが見えるという席だったので、きちんと腰掛け、良い子で開演を待った(笑)


第一部はF. プーランク作曲「グローリア FP177」という初めて聴く曲で、100名のYPSOオーケストラに100名の合唱団(ヒルズ・ロード・コーラス、ICUグリークラブ)による層の厚い演奏に心を揺さぶられたが、第3、第5楽章で麻子さんが歌い出されると、その豊かで伸びやな歌声に背筋が伸びて頭が上に引き上げられるような感じがした。素晴らしかった。

YPSOのひたむきな演奏から「アメリカにもこんなに素敵な若者がいるんだ」と感心していたところ、第二部には東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校の弦楽器専攻の高校生が出てこられ、モーツァルト作曲「ディヴェルティメントニ長調 K.136」と芥川也寸志作曲「弦楽のための三楽章」を演奏された。これには思わず隣の方と大きく見開いた目を合わすほど、予想を大きく上回る演奏で、ため息が出るほど感動した。「日本にもこんなに素敵な若者がいるんだ」と嬉しく思った。

第三部には再びYPSOが出てこられ、チャイコフスキー作曲「交響曲第4番ヘ短調 Op.36」を演奏されたが、音楽に真摯に向き合う姿勢が伝わってくる素晴らしい演奏だった。日米の若い音楽家たちの姿に明るい未来を感じることのできる夜になった。

北海道小旅行の初日は登別温泉に宿泊した。夕方、H谷さんから「先ずは地獄谷に行きましょう」と言われ、ホテルを出て歩き始めたら、早速、硫黄の匂いが鼻を突いた。見れば、あちらこちらから噴煙が出ている。



更に近付くと、地表に吹き出した硫黄の小川と、湯気を立てて流れる温泉が見えてきた。こんな光景は初めだ。それにしても、硫黄の匂いが強烈だ。


夜は観光客のためにお地獄谷の鬼たちが花火を打ち上げてくれるというので、夕食後、再び地獄谷へと向かった。

(赤鬼と青鬼の登場)

(鬼たちが舞を披露)

(胸に抱えた大筒から花火が上がる)

(赤鬼たちの花火)

(青鬼たちが加わる)

キリスト教にもイスラム教にも仏教にも地獄は出てくるが、地獄谷のむき出しの山肌や吹き出る噴煙を見ていると、「もし地獄があるなら、絶対に行きたくない」と素直に思えるようになった。清く正しく、人に親切に生きます!