YPSO、Young People's Symphony Orchestra は1936年、カリフォルニア州バークレー市に創立されたオーケストラで、オーディションに合格した11才から20才までの約100人の若い音楽家で構成されているとのこと。民族的にも経済的にも多岐にわたる若者たちだが、オーケストラという環境の下、模範的な音楽家、模範的な人間になることをミッションにしているとのこと。日本公演は初の試みのようだ。



このコンサートにオペラ歌手の田村麻子さんが出演されるとのことで、お母さまのR子さんからご案内を頂き、池袋の東京芸術劇場コンサートホールへと急いだ。全席指定とのことだったが、私の席はなんと最前列の中央で、目の前に指揮者の方や田村麻子さんやコンサートマスターが見えるという席だったので、きちんと腰掛け、良い子で開演を待った(笑)


第一部はF. プーランク作曲「グローリア FP177」という初めて聴く曲で、100名のYPSOオーケストラに100名の合唱団(ヒルズ・ロード・コーラス、ICUグリークラブ)による層の厚い演奏に心を揺さぶられたが、第3、第5楽章で麻子さんが歌い出されると、その豊かで伸びやな歌声に背筋が伸びて頭が上に引き上げられるような感じがした。素晴らしかった。

YPSOのひたむきな演奏から「アメリカにもこんなに素敵な若者がいるんだ」と感心していたところ、第二部には東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校の弦楽器専攻の高校生が出てこられ、モーツァルト作曲「ディヴェルティメントニ長調 K.136」と芥川也寸志作曲「弦楽のための三楽章」を演奏された。これには思わず隣の方と大きく見開いた目を合わすほど、予想を大きく上回る演奏で、ため息が出るほど感動した。「日本にもこんなに素敵な若者がいるんだ」と嬉しく思った。

第三部には再びYPSOが出てこられ、チャイコフスキー作曲「交響曲第4番ヘ短調 Op.36」を演奏されたが、音楽に真摯に向き合う姿勢が伝わってくる素晴らしい演奏だった。日米の若い音楽家たちの姿に明るい未来を感じることのできる夜になった。