5年ぶりに北海道を訪れ、札幌在住のH谷さん、京都からやって来たラグビー部後輩のK原、私の3人で登別温泉と洞爺湖温泉を回り、2泊3日の小旅行を満喫させてもらった。H谷さんには今回も大変お世話になった。ありがとうございました!


そのH谷さんが千歳空港まで迎えに来てくださり、5年ぶりの再会を祝いながら苫小牧港町へと向かった。ランチはH谷さんお薦めの海鮮丼と決めていたからだ。お店に着いたのは11時半だったが、満員で4人待ちの状態。待つこと30分で、やっと海鮮丼と対面できた。


(これで 1600円!)


贅沢に盛られた十種類のネタに目を奪われながらワサビ醤油を作り、白身の鯛、イカ、サーモンという順番で食べ始めたが、何もかもが美味しくて、思わずH谷さん、K原と目を合わせると、ため息をつきながら、きれいに食べ尽くした。店を出てからは「美味しかった!」と言い合って喜んだが、私は「1600円は安すぎるのでは」と思ってしまった。3月にNYで食べた13ドルのマクドナルドのハンバーガーセットを思い出したからだ。


(これで 13ドル!)

マクドナルドが13ドルなら、海鮮丼は30ドルでも通りそうだが、今の為替レートでは10ドルになる。だから、アメリカ人が海鮮丼10ドルを安いと驚くのは当然だとしても、円とドル、どちらが強いんだろうと気になった。しかし、大事なことは安いかどうかではなく、豊かに感じるかどうかだろう。13ドル払ったマクドナルドでの時間より、10ドル払った海鮮丼に豊かな気持ちにさせてもらったから、海外からお越し頂いた皆さんには「安い」だけではなく、「平和で豊かな国だ」と思って頂こう。

インターネットで本を購入すると、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」みたいな案内が出てくる。その案内に素直に従い、「70才の正解」から「老いては『好き』に従え」、そして「人生は70代で決まる」にたどり着いた。これは綾小路きみまろさんが書かれた本だ。



ステージではオジサン・オバサン相手に失礼なことを言いたい放題なのに、なぜ皆さん大喜びして笑い、きみまろさんに大きな拍手まで送るのか、それが不思議だったが、その理由が分かったように思う。きみまろさんは、そういうオジサンやオバサンが大好きで、頭が禿げようが、体型が変わろうが、はたまた夫婦間の恋愛感情が冷めようが、あなたはあなたのままで良い、堂々と生きてください、というエールを送っておられるのが分かるからだろう。

そのきみまろさんを感心させた老人ホームにいる88才の老人が出てくる。「長生きの秘訣は?」と尋ねられた老人は「そりゃ決まってる。息をするのを忘れないことだ」(笑)  更に「あの世はどんなところでしょう?」と尋ねられ、「そりゃ良いところに決まっている。あの世から戻ってきた人間はいないからな」(笑)

きみまろさんを唸らせるとは大したものだ。最後に、きみまろさんの漫談のネタを一つ。場所は病院だ。

「患者さま、どうぞ、お入りください。どうなさいました?」
「せ、先生、私、このシワ、隠したいの。どうにかなりません?」
「奥さん、シワを隠す前に、その顔を隠しなさい。そうすれば、シワも分からなくなるから」

私がこんなことを言おうものなら間違いなく病院送りだ(笑)

同志社混声合唱団(東京)でお世話になったS橋さんから第52回新美展のご案内を頂いた。新美展は全国公募の美術展のようだが、S橋さんの作品3点が入選を果たし、内1点が「奨励賞」を受賞したとのこと。これは見に行かねば、と上野の東京美術館へと急いだ。



パンフレットを見ると、S橋さんの作品は「マチュ・ピチュ」、「京女 実光院庭園にて」、「鞍馬の火祭り」とある。なんとなく、受賞されたのは「鞍馬の火祭り」のような気がしたのだが、この予想が当たった。


燃え盛るたいまつの炎と、その下にうごめくふんどし姿の男たち・・その炎の熱や男たちの息遣いが伝わって来るように感じる勇壮な作品だった。しばらく絵の向かい側にあった椅子に座って眺めていたが、何人かの方が足を止め、この絵に見入っておられた。


「京女 実光院庭園にて」は打って変わり、夏の夕暮れだろうか、団扇で風を送りながら親しく話す二人の女性の後ろ姿を描かれている。深みの異なる緑に真っ赤な敷物が鮮やかだったが、左の女性のピンクの浴衣が絵をとても柔らかで温かな作品にしていたように思う。


「マチュ・ピチュ」は何としても訪れたい場所なので、しばらくじっと眺めていたが、ここに住んでいた人々は既に亡くなって建物だけが残り、その建物もいずれは風化するのだろうが、背景にある山々と雲はこれからもずっと存在することに気付いた。S橋さんもそう思われたのだろうか。今度、聞いてみよう。