同志社混声合唱団(東京)でお世話になったS橋さんから第52回新美展のご案内を頂いた。新美展は全国公募の美術展のようだが、S橋さんの作品3点が入選を果たし、内1点が「奨励賞」を受賞したとのこと。これは見に行かねば、と上野の東京美術館へと急いだ。



パンフレットを見ると、S橋さんの作品は「マチュ・ピチュ」、「京女 実光院庭園にて」、「鞍馬の火祭り」とある。なんとなく、受賞されたのは「鞍馬の火祭り」のような気がしたのだが、この予想が当たった。


燃え盛るたいまつの炎と、その下にうごめくふんどし姿の男たち・・その炎の熱や男たちの息遣いが伝わって来るように感じる勇壮な作品だった。しばらく絵の向かい側にあった椅子に座って眺めていたが、何人かの方が足を止め、この絵に見入っておられた。


「京女 実光院庭園にて」は打って変わり、夏の夕暮れだろうか、団扇で風を送りながら親しく話す二人の女性の後ろ姿を描かれている。深みの異なる緑に真っ赤な敷物が鮮やかだったが、左の女性のピンクの浴衣が絵をとても柔らかで温かな作品にしていたように思う。


「マチュ・ピチュ」は何としても訪れたい場所なので、しばらくじっと眺めていたが、ここに住んでいた人々は既に亡くなって建物だけが残り、その建物もいずれは風化するのだろうが、背景にある山々と雲はこれからもずっと存在することに気付いた。S橋さんもそう思われたのだろうか。今度、聞いてみよう。