義理のお母さんはお寺さんの娘で、子供の頃、厳しく躾けられたとか。そのせいか、いつも姿勢が良く、長く正座されても平気な顔をされていたし、周りの人には礼儀正しく親切で、家の近くにある養護学校のお手伝いも長年しておられた。

そのお義母さんが亡くなられ、遺品を整理していたら、小学生時代に貰われた成績優秀の賞状や級長の任命書、お花やお茶の免状やお習字の作品がたくさん出て来た。子供の頃から責任感が強く、又、負けず嫌いでもあったのだろう。

ちょっと感心したのは、75歳でお習字を始め、76歳で初段、78歳で二段の免状を取っておられることだ。又、73歳のときに「ちぎり絵」も始めておられ、あちらこちらに額に入れた作品をプレゼントしておられた。お義母さんは新しいことへのチャレンジ精神も旺盛だったのだ。

お義母さん賞状

何も知らなかった私は「還暦を迎えても未だ新しいことに挑戦しています」などと偉そうに言ってきたが、こんな身近なところに強力なライバルがおられたとは・・・。お義母さんはラグビーをしていた私のことをドラ息子ならぬ「ドロ(泥)息子」と呼んでおられたが、ラグビー以外にもたくさん趣味があることをいずれお見せしたいと思う。合掌。
ロシア編は「赤いサラファン」から始まった。アコーディオンの山下さんがいきなり哀愁たっぷりの音を出され、それだけで私の胸はキュンとしてしまったのだが、テノールの朝倉さん、工藤さんの歌声にも哀愁が漂い、又、リズムや間の取り方が絶妙で、一曲目から深い溜め息を付いてしまった。

二曲目の「黒い瞳」では、前奏だけで心が揺さぶられ、その後の高嶋さんの伸びやかで艶のある歌声に思わず目を閉じた。素晴らしい演奏だった。三曲目の「カリンカ」は舞台の熱い思いが観客席に伝わってきて、自然に手拍子が起こっていた。テノール鈴木さんの張りのある歌声と少しずつ早くなっていくリズムに最後は皆んなノリノリだったように思う。

「ステンカ・ラージン」はコーロ・カステロの定番だと思うが、今回の演奏ではテノール鈴木さん、アコーディオン山下さんの円熟の味が炸裂という感じだった。個人的な好みだろうが、ステンカ・ラージンは男声合唱団で歌って欲しい曲だし、キレイに歌うのではなく、男の歓びや哀しみや体温が感じられる方が良い。だから、コーロ・カステロが歌うステンカ・ラージンが好きだ。

最後の曲、「麦の歌」は成城大学の学生さん達とコーロ・カステロが一緒に歌われたが、美しい女声の高音を男声が下でしっかり支え、素晴らしいハーモニーだった。又、青い麦の学生さん達と黄金の麦のコーロ・カステロが入り交じって歌われる舞台は和やかで年齢を超えた一体感があり、成城学園が素晴らしい学校であることを強く感じさせられた。

DVDでの鑑賞だと拍手ができない。やはり、コーロ・カステロのコンサートはナマで聴きたいと思う。
第三部はコーロ・カステロのステージだったが、大学生の皆さんの後だったこともあり、最初に歌われた「僧侶の合唱」など正に「オトナの歌声」とでも言おうか、強い意志や自信を感じさせるベテランの味だったと思う。

次の「野ばら」も、シューベルト、シューマン、ヴェルナー作曲の「野ばら」を続けて歌うという面白い企画で、強弱や緩急の差を付けてそれぞれの「野ばら」を演出されていたが、こういう試みはベテランじゃないと難しいように思う。要するにここ一番の集中力やサビの理解、感情移入という面でベテランには良く言えば上手さ、悪く言えばズルさがある。これはラグビーにも通じるところがあり、ベテランにはピンチやチャンスのときにだけ起動するターボエンジンがあり、それ以外の局面では上手く手抜きして体力を温存している(笑)

その後もドイツの歌が続くが、「春の歌」は少しずつ少しずつ気持ちが昂ぶってくる歌で、聴いている内に本当に春が待ち遠しくなって来た(笑) 歌の最後は「春の喜び」という歌詞だったように思うが、私は寒がりで冬が苦手なので、早くその喜びを味わいたい(笑)

植村さんがフルートで演奏された「シシリアーノ」は優しくて透明感のある音色でうっとりした。次の「白鳥」は普段チェロで聴くことの多い曲なので、どんな演奏になるんだろうと思っていたのだが、軽やかで優雅で上品な音色に再びうっとりした。そして最後に演奏された「わらべうた」は親しみのある音色と良く知っているメロディーに気持ちが和み、安らかな気持ちになった。

そして、いよいよ第三部後半のロシアの歌が始まった。

(続く)