体調を崩し、昨日、会社を早退した。帰宅すると、ともかく早く横になりたくて、パジャマに着替るとそのまま布団にもぐり込んだ。それから何度か目を覚ましたが、直ぐに再び寝入ってしまったようで、今朝の7時まで約17時間眠り続けた。未だ眠れそうだったが、背中が痛くて起きざるを得なかった。

目覚めたときの気分は爽快で、いつもなら出てしまうアクビが一つも出なかった。流石に食欲はなくて、毎朝食べるトーストも大好きなコーヒーも全く欲しいと思わなかったのだが、妻が言ってくれた「お粥、食べる?」には反応した。お粥なんて何年振りだろう。

お粥

お粥は弱った身体に優しくて、口に含むとそのまま身体の一部になるような安心感があった。本当に美味しくて、これこそご馳走だと思った。贅沢をしているつもりはなくとも、普段はいろんなものを食べ過ぎているんだろう。同じように、多くの情報や知識を頭に詰め込みすぎて、睡眠が浅くなっているのかも知れない。17時間の睡眠、爽快な目覚め、そしてお粥の美味しさを思うとそんな気がする。
アン・ハサウェイがファッションサイトを運営する会社のCEOを、ロバート・デ・ニーロがその会社に採用されたシニア・インターンを演じる。二人は年齢の差や生きた時代の違いを超えて交流を深め、やがて深い信頼と友情で結ばれるようになる。そんな映画「マイインターン」を飛行機の中で観たのだが、いくつかの選択肢からこの映画を選んだのはロバート・デ・ニーロが出演していたからだ。

私が初めてロバート・デ・ニーロという俳優を知ったのは映画「ゴッドファーザー パート2」で若き日のドン・コルレオーネを演じているのを見たときだ。寡黙だが人情に厚く、弱い者を虐める輩を許さない。又、家族と彼を信頼する者たちのためには命を懸けて戦う。そういうロバート・デ・ニーロの姿にしびれてしまった。

ゴッドファーザー

そのロバート・デ・ニーロも歳を重ね、調べてみたら72歳になっている。「マイインターン」では等身大とも言える70歳を迎えた初老の紳士を演じ、その豊かな経験や回りの人達への細やかな愛情から信頼を勝ち得ていく「大人の男性」を自然に演じていた。それを見ると「こういう大人にならないと」という気持ちにさせられるのだが・・・。

マイインターン

どうも私の心境は複雑で、ゴッドファーザーで見せたあの凄味を全く感じさせない好々爺のロバート・デ・ニーロに何だか裏切られたような気持ちになってしまう。たとえ今は温厚な紳士でも、場面や相手が変われば若い頃のヤンチャな凄味が顔を覗かせる・・・そういう役柄にして軟弱な若者達に喝を入れて欲しかったように思うのだ。

そこまで私が望むのは、多分、そういう大人をカッコいいと思い、自分自身もそうありたいと思っているからだろうが、こちらは若い頃から凄味など全くなかったから話にならない。凄味などより身体に丸味が出過ぎないよう注意しよう(笑)
お義母さんが亡くなった日から8日目に、同じく衰弱の激しかったお義父さんが亡くなられた。感情を表に出さない人で、怖がられたり取っつきにくいと思われることの多かったお義父さんだが、親しくなると茶目っ気やヤンチャ振りを見せる面白いお義父さんだった。

しかし、お義父さんの最大の特徴は「酒好き」だろう。金沢の出身で、お正月には故郷に住む姉弟や甥っ子を訪ね、とにかく朝から晩まで酒を酌み交わしておられたとのこと。下戸の私には考えただけで辛くなる状況だが、上戸のお義父さんにとっては至福のひとときだったのだろう。

老人ホームに入られてからも、お酒にまつわるエピソードは事欠かない。職員の方からこんな話を聞いた。

【空のボトル事件】
「今朝は良く寝て居られるなと思ったのですが、ちょっと顔が赤いし、何となくお酒臭い。どうしたんだろうと思ってふと足元を見たら、ゴミ箱に空になった日本酒のボトルが捨ててありました。差し入れて頂いたばかりの4合ビンでした。この事件があってから、お酒は我々の方で管理するようにしました。」

【逆ギレ事件】
「お酒には熱心なんですが、お食事には不熱心なんで、『ちゃんと食事されないなら、お酒の量を半分に減らします』と言ってみたんです。そうしましたらね、お父さんから『お酒を半分にするなら一切食べないようにする。それで良いんなら好きにしろ」と逆に脅されましてね。いやー、迫力がありました。」

棺に入ったお義父さんとの最後のお別れで、日本酒に浸したバラの蕾でお義父さんの唇を順に湿らせた。お義父さんが嬉しそうに見えたのは気のせいだけではないように思う。お義父さん、天国で思う存分、呑んで下さい。合掌。

お酒