お義母さんが亡くなった日から8日目に、同じく衰弱の激しかったお義父さんが亡くなられた。感情を表に出さない人で、怖がられたり取っつきにくいと思われることの多かったお義父さんだが、親しくなると茶目っ気やヤンチャ振りを見せる面白いお義父さんだった。

しかし、お義父さんの最大の特徴は「酒好き」だろう。金沢の出身で、お正月には故郷に住む姉弟や甥っ子を訪ね、とにかく朝から晩まで酒を酌み交わしておられたとのこと。下戸の私には考えただけで辛くなる状況だが、上戸のお義父さんにとっては至福のひとときだったのだろう。

老人ホームに入られてからも、お酒にまつわるエピソードは事欠かない。職員の方からこんな話を聞いた。

【空のボトル事件】
「今朝は良く寝て居られるなと思ったのですが、ちょっと顔が赤いし、何となくお酒臭い。どうしたんだろうと思ってふと足元を見たら、ゴミ箱に空になった日本酒のボトルが捨ててありました。差し入れて頂いたばかりの4合ビンでした。この事件があってから、お酒は我々の方で管理するようにしました。」

【逆ギレ事件】
「お酒には熱心なんですが、お食事には不熱心なんで、『ちゃんと食事されないなら、お酒の量を半分に減らします』と言ってみたんです。そうしましたらね、お父さんから『お酒を半分にするなら一切食べないようにする。それで良いんなら好きにしろ」と逆に脅されましてね。いやー、迫力がありました。」

棺に入ったお義父さんとの最後のお別れで、日本酒に浸したバラの蕾でお義父さんの唇を順に湿らせた。お義父さんが嬉しそうに見えたのは気のせいだけではないように思う。お義父さん、天国で思う存分、呑んで下さい。合掌。

お酒