第二部の出演は成城大学合唱団の学生さん達だった。「爽やか」とはこういう歌声のためにある言葉かと思えるほど軽やかで爽やかな歌声だった。変な表現かも知れないが、贅肉が付いていない歌声とでも言おうか、聴いていて心洗われる思いがした。

特に素晴らしかったのは「未来へ」という曲で、タイトル通り、彼らには輝ける未来があるんだろうなと少し羨ましくなるほど明るい未来を感じさせる歌声だった。それから「天使にラブソングを」の「Hail Holy Queen」という曲も生き生きとした動きのある、とても楽しい曲だったように思う。

反面、偉そうに言って恐縮だが、「レ・ミゼラブル」の「民衆の歌 (Do you hear the people sing?)」は迫力に欠けた。ヒュー・ジャックマンやアン・ハサウェイが出演していた映画でしか聞いたことのない歌だが、世の中に対する怒りや明日のために戦おうという決意、そして同じ志を持つ人たちを得た喜びと興奮がこの歌には込められていたように思う。そういう熱さが少し足りなかったように思う。

だから是非、同じメンバーで10年後、20年後にもう一度歌ってみて欲しいと思った。日本は平和で開かれた社会だが、それでも社会に出て働けば、いろんな矛盾や不条理を感じることと思う。そういう感情を込めればもっと説得力のある歌になるように思う。男子学生の皆さん、それを実証するために全員コーロ・カステロに入り、10年後、20年後にもう一度この歌を歌ってみて下さい。
最初の歌は「埴生の宿」だ。元々はイングランド民謡で、太平洋戦争勃発後は敵性レコードとして廃棄処分の対象になるべきところ、日本語訳の歌詞が国民に深く根付いているとのことで廃棄処分を免れたとのこと。テノール長田さんの柔らかな歌声に心が和んだ。

「故郷の空」はNHK朝の連続テレビ小説「マッサン」にも登場したスコットランド民謡だが、ピアノ伴奏の宮下 節さんが終盤の「誰にも好かれる」から「麦畑」につながるところで「ねぇ!」という声の特別出演をされ、場内に笑いが起きていた。素敵なサプライズだったと思う。

コーロ・カステロには楽器の名手もおられるようで、アメリカ民謡の「シェナンドー」では正村さんがギターを、「コンドルが飛んでいく」では植村さんがフルートを演奏されている。「シェナンドー」では正村さんのギターにもテノール牧野さんの歌声にも哀愁が漂うのに力強さがあり、聴いていてゆったりした気持ちになった。「コンドルは飛んでいく」の植村さんのフルートは軽やかで耳に優しく、大空で風に乗るコンドルが目に浮かぶようだった。

「ブンガワン・ソロ」は初めて聴いた曲だが、インドネシアの民謡とのこと。テノール杉本さんの伸びやかな歌声が印象的で、私には自然との共生を説く歌のように聞こえた。先程の「シェナンドー」同様、ゆったりした気持ちになった。

その次の「アメージング・グレース」だが、バリトンやバスがメロディーを歌われると静かな信仰の決意に聞こえ、テノールがメロディーを歌われると心弾む信仰の喜びに聞こえるようで、それが面白かった。正村さんのハーモニカも渋かった。

「アヴィニヨンの橋の上で」は長調~短調~長調と転調し、テンポも次第に速くなる。その変化が小気味良い歌だった。そして、第一部最後の曲はフィンランドでは第2の国歌として歌い親しまれている「フィンランディア讃歌」だったが、荘厳な響きと重厚なハーモニーが見事で、ものすごく安定感があった。第一部を締めくくるに相応しい演奏だったと思う。

さて、演奏の途中で指揮者の高嶋邦幸さん、ピアノ伴奏の宮下 節さんのご紹介があったが、同時に「専属フメクリスト(譜めくリスト)」宮下眞太郎さんの紹介があった。こういうユーモアのあるコーロ・カステロはお洒落で素敵だが、それに温かく応えるファンの人達も本当に素敵だと思う。

2部も楽しみだ。



昨年11月15日(日)に催されたコンサートで、前売りのチケットも入手して楽しみにしていたのだが、急な用事が出来てしまい、どうしても行けなくなってしまった。それを残念に思っていたのだが、指揮者のT先生が当日の演奏を全て収録されたDVDを送ってきて下さった。なんたる幸運! T先生、ありがとうございます。早速、聴かせて頂きます。

コーロ・カステロ