7年前に亡くなった同級生のお父さんが亡くなられた。87歳だった。一緒にラグビーをしていた同級生が倒れてからはずっと一緒に暮らして看病し、同級生が亡くなった後は私たちを息子のように思い、ときどき激励の手紙や電話を下さった。

お通夜

最後に会ったのは、去年の11月、同級生の七回忌が営まれたときで、「息子も私も賑やかなんが好きやから、皆さん大いに飲んで食べて帰って下さい」と元気なところを見せられたが、実際には病気がちで、「次は13回忌ですね」と言うと「そこまでは・・・」と言葉を濁された。

そんな記憶があるから、その後ご無沙汰したことを後悔しながらお通夜にお邪魔したのだが、同級生の息子と話をすると、「お棺に入れるときは同志社ラグビーのジャージを着せて、その上にオールブラックスのジャージを着せてくれ。でな、首にはアスコットタイを巻いてくれるか」と言われ、アスコットタイを買いに行かされ、あちらこちら走り回らされたらしい。

次に同級生の妹さんと話したら、「お医者さんにもうアカンと言われてたのに、グレープフルーツジュースが飲みたい言うてな、搾りたてのジュースを出したらキレイに飲んだんや。そしたら元気になって、次はメロンが食べたい、その次はミックスサンドで、その後はお寿司を買うて来いと言われて・・」とやっぱりあちらこちら走り回らされたらしい。

棺の中のおやじさんはお洒落なアスコットタイを首に巻き、すました顔をされていたが、人生の最後に思い切りワガママを言い、それを受け容れてくれるご家族がいる幸せを満喫されたのだろう。一方では、弔問客に出す茶菓子や軽食まで具体的に細かく指示をされたようで、その点はお見事と言うしかない。今頃は、久し振りに同級生と会って話し込んでおられるのだろうか。

合掌
ラグビー部OB会の東京支部総会に出席した。最高齢が90歳、最年少はこの3月に大学を卒業したばかりの22歳だから、まさに親子三代の年齢層が集う。

OB会

参加者一人ひとりにスピーチの機会があり、私は次のような話をした。

「大学を卒業して丸紅に就職しましたが、当時のO監督から、お前が丸紅に入れたのはO島(丸紅に入社しておられた4年先輩)がいたからや。あいつの信用があってお前は入れたんやから、勘違いしたらあかんぞ、と言われました。確かにその通りで、O島先輩や同志社ラグビー部の信用があって私は恵まれた環境で社会人としてのスタートを切れました。」

私より成績の良かった同級生が振り落とされる中、私だけが入社している。理由は明らかだろう。

「更に私がツイていたのは、最初に担当した取引先の社長が京大ラグビー部のOBだったことで、私がラグビーをしていたと知るや、とにかく可愛がって下さいました。その後も、困ったときや苦しいときに一番親身になって話を聞いてくれたのはラグビー仲間です。ラグビーをしていたお陰で寄せられる信頼があります。その信頼を大事にして下さい。」

多くの先輩やファンクラブの方も居られたから、ついついええ格好してしまったが、本音を言えばこうだろう。

「ラグビー部存続のため、OB会はお金を集め、大学からは支援を引き出し、学生が4年間ラグビーできる環境を整えてきました。言ってみれば、学生はそういう環境や支援をOB会から前借りした訳です。だから卒業後に、その前借り分を返済するのは当たり前のことなんです。それがOB会費です。借りたものはちゃんと返しましょう。」

ついでに言えば、金利が付いて膨らむ前に返しましょう(笑)
両親の葬儀で2月はバタバタしたが、その合間に「みんなの音楽会」でバイオリンを弾いた。音楽喫茶が会場で、8名の出演者を含め30名しか入れない小さな音楽会だが、これに出るとなると嫌でも練習に身が入る。更には、私がバイオリンを弾くとは信じ難いというラグビー部の後輩、元同僚、そして取引先の女性二人から「この目で確認に行きます」と言われてしまったので、ますます練習に身が入った。

みんなの音楽会

演奏曲目は「タイスの瞑想曲」と「無窮動」で、本番の一ヶ月前になると出勤前の5分、10分でも練習に充て、ほぼ暗譜で弾けるまでになったが、弾くたびにどこか間違うし、毎回出来が違う。その繰り返しに嫌気が差し始めた頃、遅まきながら、練習の初めに肩慣らしのつもりで弾くときに一番ミスが少ないことに気付いた。楽譜に書いた「力を抜く」は多分、いろんなことに通じる心構えなんだと思う。今は止めたゴルフでも、ティーショット前の素振りはキレイだと言われていた(笑)

ハンカチ

それでも本番は肩に力が入ったが、努力の甲斐あって、皆さんからは「予想していたより上手かったですよ」と言ってもらえた。ただ、答が怖いから「どんな予想をされていたんですか?」とは聞けなかった(笑) お取引先の女性二人からはお花のブーケを頂いた、と思ったら、これがハンカチを花に仕立てたブーケだった。素晴らしい発想とセンス!

ハンカチ2

大失敗したら、「タイスの迷走曲にしてしまいました」と言ってお詫びするつもりだったが、何とかそれは免れた。これに味をしめ、次回5月の音楽会も申し込んでみようかと思っている。そういう出番がないと練習しないし、演奏前のドキドキはラグビーのキックオフを待つときの高揚感に似て、ちょっと懐かしい。