寺神戸 亮(てらかど りょう)さんは日本を代表するバロック・バイオリン奏者だ。

 

 

寺神戸さんのこともバロック・バイオリンという楽器のことも私は知らなかったが、お世話になっている外科医のT先生から寺神戸さんのコンサートがあると伺い、演奏を聴きに行った。

 

T先生は寺神戸さんと長い親交があり、素晴らしい演奏だから、とにかく一度聴いてみて下さいとおっしゃっていたのだが、その言葉通り、バロック・バイオリン独特の柔らかな音色が小さなチャペルのような近江楽堂に鳴り響き、とても気持ち良くて感動した。又、目の前で演奏されている寺神戸さんの左手と右手がハッキリ見え、良くぞこんなに細かく、しかし滑らかに動くものだと感心した。それにしても、寺神戸さんが身体全体でバイオリンを優しく包み込むように持っておられるように見え、このバイオリンは幸せだなと思ってしまった。

 

人馬一体ということばがあるが、寺神戸さんがバイオリンの機能や持ち味を引き出しておられるのか、バイオリンが寺神戸さんの感性と能力を引き出しているのか、それが分からなくなるほど寺神戸さんとバイオリンも一体になっておられたように見えた。寺神戸さんのような名手にはなれないが、私もせめて練習には真面目に取り組もうと思う。

 

彼岸花が咲き始めた。

 

 

この花は目立つ。葉っぱがなく、すっきりと伸びた茎の上に鮮やかな赤い花が咲く。その形が攻撃的にも見えることから、英語では「Red spider lily」(赤い蜘蛛のユリ)、日本語では「剃刀花」(かみそりばな)や「地獄花」(じごくばな)と呼ばれることもあるらしい。

 

花言葉もさまざまだ。「情熱」、「思うはあなた一人」は赤い色から連想されたのだろうか。「独立」は真っ直ぐに伸びた茎のイメージか。「悲しい思い出」は多分、お彼岸と重なることから付いた花言葉だろう。

 

私に一番しっくり来る花言葉は「思うはあなた一人」だ。色にも形にも「私は私。それが何か?」という精神が宿っているように思える。又、鱗茎には毒を含むとも書いてあったが、これも「好まざるもの近寄るべからず」という強い意志のように見える。ここまで考えさせるとは、彼岸花もなかなか奥の深い花だ。

火曜日は素人合唱団「うたおうかい」の練習日だ。現在、私は2番目に若い会員だが、私より年長の皆さんがとにかくお元気で頭も冴えておられる。

 

 

今夜は山田耕筰作曲、北原白秋作詞の「待ちぼうけ」を練習したのだが、両隣に座っておられた元大学教授のY先生と元NHK解説委員のNさんがこの歌にまつわるエピソードを教えて下さった。

 

 

まず、歌に入る前の前奏「ドーレミソミレドレミミレレドー」は当時中国大連に住んでいた山田耕筰がチャルメラを売る屋台から聞こえてくるメロディを取り入れたのだとか。確かに似ている(笑)

 

 

次に、1番の歌詞に「あるひ せっせこ のらかせぎ」と出て来るが、「せっせこ」と「せっせと」のどちらが正しいのか、二つの説が真っ向から対立しているとのこと。私自身は「せっせと」と歌ってきたように思うが、北原白秋に確認したいところだ。


最後に、この待ちぼうけの歌詞は韓非子に出てくる「守株待兎」という逸話から生れたとのこと。


駆けて来た兎が畑にあった切り株に頭をぶつけて死んでしまう。それを農夫が持ち帰って食べるのだか、畑仕事より楽な収穫でしかも美味しい。味をしめた農夫は次の日も次の日も切り株で兎を待つ。しかし、そんな兎がいつもいるわけがなく、やがて畑が荒廃してしまう。


そんな教訓が込められていたとは露知らず、気楽に歌っていた自分が恥ずかしい。しかし、果たして私は後進の人たちにこういう話ができるようになるのだろうか。そちらの方がもっと恥ずかしい(-_-;)