寺神戸 亮(てらかど りょう)さんは日本を代表するバロック・バイオリン奏者だ。
寺神戸さんのこともバロック・バイオリンという楽器のことも私は知らなかったが、お世話になっている外科医のT先生から寺神戸さんのコンサートがあると伺い、演奏を聴きに行った。
T先生は寺神戸さんと長い親交があり、素晴らしい演奏だから、とにかく一度聴いてみて下さいとおっしゃっていたのだが、その言葉通り、バロック・バイオリン独特の柔らかな音色が小さなチャペルのような近江楽堂に鳴り響き、とても気持ち良くて感動した。又、目の前で演奏されている寺神戸さんの左手と右手がハッキリ見え、良くぞこんなに細かく、しかし滑らかに動くものだと感心した。それにしても、寺神戸さんが身体全体でバイオリンを優しく包み込むように持っておられるように見え、このバイオリンは幸せだなと思ってしまった。
人馬一体ということばがあるが、寺神戸さんがバイオリンの機能や持ち味を引き出しておられるのか、バイオリンが寺神戸さんの感性と能力を引き出しているのか、それが分からなくなるほど寺神戸さんとバイオリンも一体になっておられたように見えた。寺神戸さんのような名手にはなれないが、私もせめて練習には真面目に取り組もうと思う。
