今回のコンサートは府中の森芸術劇場のウィーンホールで催され、パイプオルガンが登場するとのこと、どんな演奏になるのか楽しみにして出掛けた。


第一部の「おおスザンナ」などフォスター作曲の4曲はピアノ伴奏で、第二部の小林秀雄作曲混声合唱曲集「落葉松」の4曲も同じくピアノ伴奏で歌われ、第三部のバッハのカンタータを始めとする宗教曲はピアノとパイプオルガン、第四部の木下牧子作曲、混声合唱とパイプオルガンのための「光はここに」はパイプオルガンの伴奏で歌われた。

パイプオルガンの音色はさまざまで、神様の力強い足音のように聞こえることもあれば、神様が厳しく私を叱責されているように聞こえたり、反面、優しく包み込んで下さっているように聞こえることもあり、私にとっては正に神様からのメッセージそのもののように聞こえた。厳かで透明感があり、素晴らしい音色だったように思う。

第四部の「光はここに」は作曲家の木下牧子さんが親戚の一人を亡くされた際にレクイエムとして作曲された6つの曲から成る作品で、美しいハーモニーが印象的だった。レクイエムではあるが、途中から明るい雰囲気を感じさせるメロディーも出てきて、とても優しい気持ちになれた。又、アカペラで歌われた曲が一つあり、伊藤忠コーラス部の熟練を感じさせるハーモニーに心洗われる思いがした。

伊藤忠コーラス部は創部53年を迎えられた歴史のある合唱団だが、今回のパイプオルガンとの共演は大きなチャレンジだったように思う。パイプオルガンは持ち運びできないし、どこにでもある楽器でもないので、どのように、又、何度くらい一緒に練習できたのだろうかと気になった。しかし、そういうチャレンジ精神があるから53年も続いたのだろう。

次回のコンサートも楽しみにしています!
もう一つ、印象に残る記述があった。

「戦後の占領下でマッカーサーに押し付けられた憲法だから改正すべきでは?」という質問があったのだが、そう感じている人は案外多いように思う。戦争放棄や軍隊不所持を謳う憲法だけに、これは当時日本を占領していた連合国側から押し付けられたものだと言われれば説得力があるし、事実、私もそう思っていたからだ。

しかし、これを提案したのは幣原喜重郎首相(当時)で、同首相とマッカーサーとの生々しいやり取りがマッカーサー回顧録に出てくるというのだ。その抜粋を興味深く読ませてもらった。

「1946年1月24日、幣原喜重郎首相が私の事務所を訪れ、新憲法を書き上げる際にいわゆる『戦争放棄』条項を含め、その条項では同時に日本は軍事機構は一切もたないことをきめたい、と提案した。そうすれば、旧軍部がいつの日か再び権力を握るような手段を未然に打ち消すことになり、(中略)二重の目的が達せられる、というのが幣原首相の説明だった。更に、日本は貧しい国で軍備にお金を注ぎ込むような余裕は元々ないのだから、日本に残されている資源は何によらずあげて経済再建に当たるべきだ、と付け加えた。私は腰が抜けるほど驚いた。」


終戦から73年、戦争を知る人たちが少なくなったが、今もご健在の方が出てくると、「戦争だけはいけません」とおっしゃる。私の伯父は戦地で亡くなったし、父も終戦がもう少し遅ければ生きては帰れなかったと言っていた。その戦争と深く結び付く憲法なのだから、一人ひとりがきちんと考えて答えを出さないといけないのだと思う。
ある勉強会でご一緒している加藤保弥さんの著書だ。勉強会でも何度か憲法改正に関するお考えを伺っているが、今回は多くの人が聞きたいであろう22の質問に対し、加藤さんが分かりやすく答えるという形で編集されている。


例えば、「日本の防衛は米軍が主役で、自衛隊はその補完的存在に過ぎない。憲法第9条を改正して堂々と軍隊を持つべきでは?」という質問が出て来るが、これに対する加藤さんの回答は明快だ。

「国を守るのは自国民自身であり、他国にその主役を任せるのは間違っている。現実に万一他国の侵略を受けた場合、自衛隊は自衛隊法に基づき直ちに応戦する。米軍には日米安保条約に基づく義務があるが、その時の国際政治の状況によってはどうなるか、こればかりはその時になってみないと分からない」・・・なるほど、国際政治の歴史を見れば条約の無視や一方的な破棄は数多くあったし、自衛隊こそが必ずや我が国を守ってくれる武力組織だ、というのが加藤さんの基本的な考えなのだ。

ただ、ここからが大事なポイントだが、日本は憲法第9条で国際紛争の武力による解決を行わず、そのための軍隊も交戦権も持たないと謳っているのだから、「自国を侵略していない他国に対し、自衛目的の武力組織である自衛隊が武力侵攻したり、他国間の戦争に参戦することは憲法違反である」と説いておられる。その通りだ。よって、改憲の目的が自衛隊の他国への派遣や他国間の戦争への参戦にあるなら、この平和憲法の大前提が変わることになる。

だから、国民投票前にきちんと理解し、考えようと呼び掛けているのがこの本だ。頭を整理するには最適かと思う。