佐藤しのぶさんとは一度だけお目に掛かったことがある。謙虚な方だったが、日本を代表するプリマドンナだ。


第1部はオペラ「蝶々夫人」の名曲など海外の歌を、第2部は團伊玖磨さん作曲の「花のまち」など平和への祈りを込めた日本の歌を歌われた。

歌われる前に、第1部なら歌詞が意味するところを、第2部なら曲が生まれた背景を時にはユーモラスに、時には感情を込めてお話しになるので、それを伺い、佐藤しのぶさんの歌を聴くうちにどんどん佐藤しのぶさんの世界に引き込まれて行ったように思う。

第1部の圧巻は蝶々夫人が歌う「ある晴れた日に」と「かわいい坊や」だ。言葉は分からないが、ピンカートンへの愛情、再会への期待、裏切られた悲しみ、そして息子への思いがひしひしと伝わってきて、佐藤しのぶさんの表現力に舌を巻いた。

第2部は團伊玖磨さんが戦後の焼け野原を花いっぱいの町に復興させたいと願い作曲された「花のまち」に始まり、沖縄を歌った「さとうきび畑」、反戦を歌った「Remember」と「約束」、そして「花は咲く」が歌われたが、どの曲も佐藤しのぶさんの熱い思いが伝わってきて感動した。

歌唱力もさることながら、佐藤しのぶさんの目や表情には力があり、何かを主張されるときの毅然とした立ち姿や、喜びや悲しみを伝えるときの仕草も実に魅力的だった。昔からのファンと思われる方も大勢居られたように思うが、皆さん、佐藤しのぶさんのお人柄や生きざまもお好きなのに違いないと思った。
男声讚美歌研究会でご指導頂いている渡辺先生から「女声合唱かまくらの風」コンサートのチケットを頂いた。台風24号の接近で天気が悪いにも拘わらず、会場の鎌倉芸術館には大勢の人が詰めかけておられた。


11回目の定期演奏会とのことだが、今回のテーマはモーツァルトのようで、第1部では「レクイエム」が歌われた。歌詞の邦訳を見ると、死者のためのミサ曲とあり、神を称え敬い、永遠の安息や救いを求める人々の言葉が続く。女声だけの澄んだ合唱がとても合っていたように思う。

第2部は青山広志さんという方が翻案された「魔笛」の「童子の三重唱」から始まったが、メンバーの方々が音楽に合わせて見事なダンスやステップをステージ狭しと披露され、観客席から大きな拍手が湧いた。女声合唱ならではのサプライズ企画だったと思う。

次にピアニストとして招かれた白石光隆さんが「ああ、お母さん、あなたに申しましょう」を独奏された。これは「きらきら星」による12の変奏曲で、正に変幻自在の難曲だったように思うが、これを軽やかに滑らかに演奏される姿に感動した。

最後は鈴木輝昭さんという方が編曲された女声合唱とピアノのための「モーツァルトの百面相」が歌われたが、「フィガロの結婚」や「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、「ジュピター」などモーツァルトの作品から聴き慣れたフレーズが次々に出てきてモーツァルトの人生を語るという興味深い作品だった。次は何が出てくるのだろうという、聴いていて実に楽しい
曲だった。

合唱も企画も素晴らしいコンサートだったと思う。
米国の社会学者、チャールズ・クーリーという人の言葉。

「明日はなんとかなると思う馬鹿者。 今日でさえ遅すぎるのだ。 賢者はもう昨日済ましている。」

耳に痛い言葉だが、腰痛で思い通りに運動できなくなった今、一つだけ「良くぞやっておいた!」と自分を褒めたくなることがある。去年、慶應とのOB戦に出たことだ。


この写真を見ると、本当に出ておいて良かったと思えてくる。今は未だ立っているだけで腰が痛むが、しっかり治し、もう一度、ボールを持って走れるようになろうと思う。