来日中のハーバードビジネススクール・ラグビー部OBチームから同志社ラグビー部OBチームに対戦の申し入れがあった。私は昨年痛めた腰が治ったばかりだから、出場するつもりはなかったのだが、OB会の副会長・東京支部長だし、応援観戦には行かねばなるまい。そこで準備を始めたのだが、何故かジャージ、短パン、ストッキング、スパイクがバッグに入っていた(笑)

(エンブレム付きのブレザーで正装)

7時の新幹線で京都に向かい、10時には宝ヶ池球技場に着いたが、雨の天気予報だったにも拘わらず、夏が戻って来たかのような好天だった。これは観客席に座っているにはもったいない天気やなと思っていたら、何故かジャージ、短パン、ストッキングを身に付け、スパイクまで履いてグランドに立っていた(笑)

(試合前に「若草萌えて」を歌いながら行進)

ゲームは25対20で同志社の勝利。年齢順の出場だったので、3番目の年長者だった私は先発メンバー。熱くならず冷静に、と思って試合に臨んだが、二度ほど敵と接触したところでスイッチが入り、タックルに入ろうと踏ん張ったところで右脚のふくらはぎがプチッと切れた。残念ながら5分で交代、しかし、本当に楽しくて充実感があった。

(ハーバードから貰った記念の盾)

試合の後は下鴨神社にハーバードの人たちを案内し、ラグビーの神様が祭られた雑太社を一緒にお詣りし、その後、木屋町で懇親会が催されたが、直ぐに談笑の輪があちらこちらに出来て、ラグビーならではの濃くて熱い交流が延々と続いた。面白かったのは部歌の交換で、互いに部歌を披露し合い、これでお開きかと思っていたら、ハーバードにはアイルランド、イングランド、ウェールズの出身者がおられ、それぞれの国の歌を歌い始められた。あぁ、みんなラグビーが大好きで、しかも、それぞれの国に誇りを持っておられるんだと思い、胸が熱くなった。ラグビーをして良かった。それが同志社で更に良かった。
同志社混声合唱団でアルヴォ・ペルトの作品を歌うことになった。初めて聞いた名前だから興味が湧き、どんな人かとWikipediaで調べてみたら、「エストニア生まれの作曲家でミニマリズム学派に属する」と書いてあった。が、不勉強な私にはこのミニマリズム学派が何のことやら分からない。そこで更に調べたら 音の動きを最小限に抑え、パターン化された音型を反復させる音楽」とあったから思わず膝を叩いた。11月2日(土)に予定されている同志社混声合唱団のコンサートで歌う彼の作品、「Which Was the Son of ...」がまさにそうだからだ。

英語の歌詞で「イエスが宣教を始められたときはおよそ三十歳であった」から始まり、その後、「イエスはヨセフの子、そのヨセフはイーライの子、イーライはマタトの子、マタトはリーバイの子・・・」と反復されるメロディに乗って先祖(父親)が辿られていく。


因みに、イエスから遡ってアダムに到達するまでが65代、神様に到達するまでが66代だから、実に壮大な家系図になる。又、父親こそ65人しか出てこないが、父親には父親と母親がいた筈だし、その父親と母親にもそれぞれ父親と母親がいた筈だから、それらを計算すると、5代遡るだけで2の5乗で32人のご先祖様が、10代遡ると1,024人のご先祖がいることになる。

アルヴォ・ペルトさんの話題から逸れてしまったが、私にも10代遡れば1,024人のご先祖様がいらっしゃることになり、その中の一人が欠けていても私は生まれて来なかったのだから、私が今、こうして生きているのは奇跡と言っても大袈裟ではない。そう考えると、愚痴など恥ずかしくて言えないし、居眠りなど勿体なくてできない。ハイッ、ご先祖様、しっかり生きます!
第3ステージは「Sea Shanties」と題し、男声合唱ならではの海の男の労働歌を5曲、披露された。一緒に演奏を聞いていた同級生のAさんは「Lowland」にしびれた、と言っていたが、私はその次に歌われた「Spanish Ladies」に心躍る思いがした。又、最後の曲「Shenandoah」には井上仁一郎さんのギター伴奏が付いたが、哀愁の漂う素敵な演奏で、目をつむってじっくり聴かせて頂いた。

第4ステージは北海道出身のシンガー・ソングライターの作品から「地上の星」(中島みゆき)、「青春時代」(森田公一)、「あの頃へ」(玉置浩二)、「季節の中で」(松山千春)、「麦の唄」(中島みゆき)の5曲が歌われた。いずれも素晴らしい演奏で、大人の自信や誇り、大人だからこそ分かる喜びや苦しさ、そういったものが見事に歌い上げられ、静かで深い感動に包まれた。特に「あの頃へ」はしみじみ語り掛けて来るような演奏で、閉ざされていた心や記憶の扉が開いて行くような感覚を覚えた。

一緒にいた同級生は「麦の唄」(中島みゆき)に感動し、「毎回、歌って欲しい」と言っていたが、曲の作り手と歌い手には北海道出身という共通のルーツがあり、それが自然に一体感を醸し出し、力強くも優しい演奏が実現したのかなと思う。もう一度聴いてみたいステージだった。

最後にアンコールで歌われた「この道」にもいろんな思いが込められているようで、聴いていて泣きそうになった。これも、大人にしか歌えない歌だと思う。会場が満員であったことが頷ける、素晴らしいコンサートだった。