同志社混声合唱団の打ち上げの会でスピーチする機会があった。初めてコンサートに出た人たちを紹介する時間があり、昨年はバイオリンの発表会と重なって出演を断念した私も最後に紹介された。

「ラグビー部OBのボルです。今日(11月2日)はラグビーワールドカップ決勝の日ですから、お前はこんなところにいて良いのか、とラグビー関係者から言われました。何を言ってるんですか!私は同志社混声合唱団のボルですよ!」(大きな拍手を頂く)

「大きな拍手を頂いた後で恐縮ですが、先週の土曜日(10月26日)、私は大事な練習を、ゲネプロというんですか? 本番前の最後の練習を休みましたよね。すみません! 仕事が入ったと嘘をついて、実は横浜にいました。横浜でイングランド対ニュージーランドの準決勝戦を観ていました。」(なに~っ、コラ~ッ、ひどいやんか~、の声)

「いやいや、嘘をついたままにしておこうと思ったんです。せやけど、今日、皆さんとあんなに美しい歌ばかり歌って、すっかり心が洗われました。嘘をついていては神さまに申し訳ないと思い、正直にお話しました。来年は嘘はつかず、練習に出ますので、宜しくお願いします。」(笑いと拍手を頂きました)


皆さん、笑ったり拍手して下さったから、スピーチがウケたのだと思ってきたが、そうではなく、ラグビー部OBという合唱には素人の私を温かく迎えて下さっているという証しだろう。皆さん、ありがとうございます!
同志社混声合唱団のコンサートが紀尾井ホールで催された。何度も訪れている紀尾井ホールだが、ステージに立つのは初めてのことで、入口は楽屋口だし、集合は開演の5時間前だし、ステージの裏側を何度も往き来することになったし、実に刺激に満ちた一日になった。


第1部はジョン・ラター作曲のクリスマス・キャロルから4曲、第2部はエストニアの作曲家、アルヴォ・ペルトの作品から2曲、そして第3部は千原英喜さん作曲の組曲2つを交互に組み合わせ、合計10曲を歌った。ステージの上ではバスの反対側にいるソプラノの声が良く聞こえず、少し焦ることとなったが、だからこそ指揮者をちゃんと見ないといけないのだろう。


興奮冷めやらぬまま打ち上げの会へと向かったが、つくづく「現役はええなぁ」と実感することとなった。ワールドカップでは興奮と感動こそ味わったが、充足感や達成感は得られない。これはグランドに出た者しか味わえないご褒美のようなものだろう。ラグビーでそれを得ることは難しいのだから、これからは音楽で現役を楽しもうと思う。
ワールドカップでジャパンが躍進したことからラグビー人気が急上昇したようだ。普段はすれ違っても会釈しかしない勤務先の同僚が「ちょっといいですか?」とラグビーのルールや試合の感想を聞きに来られる。ラグビー経験者にとっては驚きの注目度だろう。


このラグビー人気を生かし、もっとメジャーなスポーツにしようという試みがいろいろ議論されているようだ。私が現役の頃は厳格にアマチュアリズムを守ろうという時代だったから、多少の違和感は残るが、これも時代の流れで、プロ化がこれから進んで行くのだろう。

ラグビーは前進しなくてはならないのに、ボールより前でプレーできないという不条理なスポーツだ。その上、選手のセンスや能力だけではなく、人柄や性格、生き様みたいなものまでプレーに出てしまう。そういうスポーツだから、正々堂々とプレーした相手なら、ノーサイドの瞬間に敬意を払うこともできるのだろう。

そういう特性から、プロ化はさておいても、ラグビーが普及することには大賛成だ。そのためには裾野を広げることが必要だし、「危険、きつい、汚い」の3Kを「簡単、カッコいい、気持ちいい」の3Kにし、サッカーや野球、バスケットボールに対抗したいところだ。