夏の甲子園が中止になった。出場を目指して練習に励んでいた高校生、特に3年生のことを思うと心が痛む。そういう球児に向け、甲子園で優勝経験のある二人の監督さんが言葉を贈っておられる。毎日新聞の夕刊に紹介されていた。

 

 

智弁和歌山前監督の高嶋 仁さんは、「長い人生にはうまくいかない時期もある。(将来)振り返った時に、『あの苦しさがあったから今がある』と言える人生にして欲しい」という言葉。その通りだ。私は恵まれた人生を送ってきたが、それでも苦しいと思った時期があり、今、振り返ると、その時の決断があって今があることに気付く。

 

もう一人、横浜高校の元監督、渡辺元智さんは、「君たちは限界にトライしてここまでたどり着いた。必ずまた、立ち上がれる力を持っているはずだ。まだいくらでもできることがある。若さの特権だ」、そして「好きな野球を捨てるな」という言葉で締めくくっておられる。これも素晴らしいメッセージだ。

 

学生の頃は分からなかったが、この年齢になると、学生時代は準備の期間だったことが良く分かる。大学に進学すれば大学時代の目標が、社会人になれば社会人としての目標が出て来るし、それらに夢中で挑戦するようになる。同じように、結婚や育児も同じように課題や目標を与えてくれる。今、振り返ると大忙しの人生だった。甲子園出場の夢を失ったことは本当に気の毒だが、鍛え上げた頑強な身体や不屈の闘志、燃えるような情熱まで一緒に失わないようにして欲しいと切に願う。

レナウンが民事再生法の適用を申請した。このところ業績が良くなかったし、経営陣の交代もあって噂になっていたから、晴天の霹靂という驚きこそなかったが、私が学生の頃は花形企業の一つだったから、この結末を非常に寂しく思う。

アメリカにフランク・ボーマンという宇宙飛行士がいた。元々はアメリカ空軍の軍人だったが、宇宙飛行士の訓練を受け、アポロ8号の船長として月にも行き、引退後は実業家として会社経営に当たるという面白い経歴の持ち主だ。そのボーマンさんの言葉、

「倒産のない資本主義なんて、地獄のないキリスト教みたいなもんさ。」

倒産があるのが資本主義だ、それが資本主義の厳しさだ、倒産を避けたいから経営者も労働者も頑張れるんだ、そういう意味だろうか。

レナウンの負債総額は139億円だと聞いた。これだけの金額を取りっぱぐれるとなれば、仕入先の中には連鎖倒産するところも出てくるだろうし、多くの人が仕事を失う可能性がある。言葉もないが、さまざまな職業に挑戦してきたボーマンさんなら、変わればいいんだ、とおっしゃるのだろうか。
自分では気付いていないが、ひょっとするとコロナウィルスに感染しているかも知れない。皆がそう思えば、マスクもするし、人との距離も開けるようになる。その距離をソーシャル・ディスタンスというらしい。世の中にはユーモアのセンスに秀でた方がいて、毎日新聞朝刊の川柳欄にこういうのがあり、苦笑いさせて頂いた。

「オレなんざもともと距離を置かれてる」(行田 ひろちゃん)

私も多くの方から距離を置かれていることと思うが、その点、年賀状は優れもので、しばらく会っていない方に私のことを思い出させる効果がある。時々、年賀状がきっかけでお葉書や電話を頂くことがあるから、効果てきめんということだろう。


逆に、頂いた年賀状からは疎遠になってしまった方々の顔や思い出が甦り、それがお正月の楽しみになっているが、「年賀状は今年で最後にします」という方が今年は何人もおられたことを寂しく思った。しかし、これもそれぞれの方が求める快適なディスタンスだ。尊重しようと思う。