※前回、前々回の記事
「ガールズオンザラン2nd 仮想9話その1」
「ガールズオンザラン2nd 仮想9話その2」
の続きですので先にそちらをどうぞ。
ミラクルガールズの初ライブから一ヵ月後。
そしてガルラン2の初ライブの日がやってきた
「僕が、ガルラン2のファン第一号の、りくちゃんです!ふふーっ」
いつものポーズでりくちゃんは新たなしもべを従えて会場近くに現れた。
ガルラン解散後、しばらく失意のどん底に落ち、一週間何も食べず、自室からも出ず、そのまま餓死するのではと両親をヒヤヒヤさせたりくちゃんは、8日目にして扉の鍵を開け、そのまま倒れて病院に担ぎ込まれた。幸いにも命に別状はなかったが、目を覚ました最初の一言が
「ガルラン2!」
だった。
引きこもり中にカオルがガルラン2のオーディションを受けるという本人のツイートを見つけ、居ても立ってもいられなくなった時には自分が自力で立てる状態じゃなかった。
りくちゃんは栄養失調で5日間入院し、退院後に情報を集め、解散してしまったガルランの元ファンに声をかけて公開オーディションに参加し、そこにカオルだけではなく、なんと仁美がいるとわかった時にはその場で絶叫したという。
二人がそろって合格した時点で、りくちゃんはもう前のりくちゃんに戻っていた。
「僕にはやっぱりガルランが必要でした。そしてまた応援できるんです!こんな幸せなことはありません」
りくちゃんの力強い言葉に頷くあたらしいしもべ達はりくちゃんにどこまでもついて行くと忠誠を誓い会場へと向かって行った
同じ頃、会場近くのカフェ。
「もー、遅い!」
またもや早苗は、約束の時間を10分過ぎても誰も来ない状況に相当いらいらしていた。
「早苗ごめーん」
そこへイツキが飛び込んできた。
「イツキー、遅いよ!何してたの?!」
イツキは早苗と反対側にどっこいしょと座り、
「今そこでりくちゃんとバッタリ会って、ちょっと話してた」
「ほんと?やっぱり来てるんだ」
りくちゃんがまたガルランのファンになった事はイツキも早苗も知っていた。
解散ライブ当日、2200名もの署名を集めてもらったにもかかわらず、お礼を言えず終いだったので、早苗もイツキも気にかけていた。体調不良で入院してたという話も聞いていた。
「いつもの元気なりくちゃんだったよ。くまモン背負ってた」
「あー、あれかわいいよねー」
りくちゃんの話題で盛り上がっていたら更に遅れて
「遅れてごめんなさい」
望がやってきた。
「ねぇねぇ、いまそこで誰に会ったと思います?」
望が目をキラキラさせて早苗に問いかけるが、
「りくちゃんでしょ?」
「えー、知ってたんですかぁ?」
「今イツキがそう言ってたから」
「なぁんだぁ、びっくりさせようと思ったのに」
「それ、私が先にしちゃって・・ごめんね」
イツキが申し訳なさそうに望に言った
「いえ、全然です」
「それにしてもルミはどうしたの?」
「まだ来てないんですか?」
驚いたようすで望が聞き返す。
「来てないわよ。もう始まるから行こう、現地合流って言っておいて」
と、早苗が立ち上がってリュックを持とうとしたときに、ルミがやって来た。
「ルミ、遅・・・」
「ねぇねぇ聞いて!今誰に会ったと思う?!」
スクープでもとったかのような顔しているルミに3人は顔を見合わせて笑った。
ガルラン2の初ライブはワンマンではなかったが、1000人キャパの大型ライブハウスでのかなり大きな合同イベントだった。
出演するアイドルは、56組。全く無名のユニットからすでにメジャーで出ている有名グループまで幅広い。そんな中「プレデビュー」として、メジャーデビュー前にお披露目するために今日の出演となった。
有名どころをバランスよく配置してあり会場は混雑していた。
早苗たちはロビーでタイムテーブルをチェックする。
ガルランの出番はあと3組後だった。
今回は楽屋に入ることはできないようなのでライブを見たら早々に引き上げるつもりだった。
一応数ヶ月前まで少しは名の売れていた元アイドルユニットである。
そこにいるヲタの何名かは気が付いているに違いない。
余計な騒ぎにならないよう、出来るだけ目立たないようにしていた。
「すっごいおっきいね、ここ」
イツキが見回す。
「カルチャーズよりぜんぜん大きい」
ルミも合わせる。
「すごいなー、カオル」
望も独り言のように呟く
「・・・」
早苗は何を思っているのか無言で辺りを見回して、俯いた。
ミラクルガールズの時にも感じていた悔しさが再び早苗の中に湧き上がってきていた。
自分達の力だけでここに立てるにはどれだけ時間がかかるのだろう。
ガルラン時代に大きな箱のライブに何度かオファーをかけてみたが、なかなか出演できなかった。やはりこの世界、人脈は武器であった。
ステージでは別のアイドルが立って踊っている。
それを見ているイツキ達を見ながら、早苗はまたもや後悔の念にとらわれていたが、軽く頭を振ってそれを払拭した。
今日はカオルと仁美のデビューライブを見に来たんだ。
ガルランで果たせなかった夢を、二人は背負って立とうとしている。
それを見届けるのが自分の役目だ。
早苗はそう思っていた。
「カオル達は後何組ですか?」
望が早苗に聞く。
「あと3組」
「じゃあ私ちょっとトイレに・・」
「あ、じゃあ私もいく」
と、ルミと一緒に行ってしまった
イツキと二人きりになり、早苗はステージを見ながら
「望は本当にアイドルの夢捨てたのかなー?」と言った
イツキもステージを見ながら言った。
「わからないけど、そうは見えないな」
それは早苗も同意見だった。
望は途中で自分に負けて脱退してしまったが、まだ捨てきれていない気がしていた
「留学から戻ってきたらまた始めるかもね」
早苗の言葉にイツキは頷く。
望は3日後にアメリカへ一年間留学に行く。
ステージでは次のグループが出てくるところだった。
「あ、来たよ」
イツキが早苗に合図する。
今日彼女たちはガルラン以外にも目当てのグループがいた。
丁度ルミと望が戻ってきたところだった。