Book Review’S ~本は成長の糧~ -14ページ目

エンド・ゲーム―常野物語

エンド・ゲーム―常野物語 エンド・ゲーム常野物語
恩田 陸

集英社 2005-12
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★★★★★★☆☆☆☆


またまた恩田陸さんの作品です。エンド・ゲームは副題に「常野物語」とあるように、光の帝国」「蒲公英草紙 の常野シリーズの一作品となります。また、この作品は「光の帝国」に入っていた「オセロ・ゲーム」の続編となります。

オセロ・ゲーム」が「光の帝国」の中でも面白い作品であったので、その作品の続編と聞いていて読むまですごく楽しみにしていたのですが、少し拍子抜けした、というのが正直な感想です。

拝島暎子と時子の親子は夫であり父である男がいなくなってから、二人で「あれ」と戦い、不安や恐怖を抱えながら生活していました。「あれ」との戦いは裏返す裏返されるかの、正にオセロゲーム。いなくなってしまった夫は「裏返されてしまった」のか?答えの出ない問い掛けを持ち続けながら、生活していた暎子は「洗濯屋」との出会いによって転機を迎えることになります。

裏返す」行為の繰り返しによって、同一化していくという現象は月の裏側 に少し通じるところがあるように感じました。といっても、過程がまったく違ったものなので、結果として現れている面だけ捉えて見れば、という意味でですが。

オセロ・ゲーム」の時の拝島親子に比べると今回は、弱々しく、絶望を身に纏い、ネガティブで読んでいて好感を持てませんでした。その点、「洗濯屋」の火浦は作品の中では異色を放っていましたが、物語のスパイスにもなっていて少し好きなキャラクターでした。

拝島暎子の真実は意外性があって面白かったのですが、前半の謎に対する解答がそれぞれあっさりとしすぎていて、そこが少し残念でした。個人的に恩田さんの作品で好きな人の心理描写も負の面が際立ちすぎていて、今作品は消化不良という感じでした。

今作品で考えさせられたことは、人の記憶とは曖昧で、何が真実かなんて誰にもわからないのかもしれない、ということです。ある事象を経験したとしても、それは経験した者によって手に入る「真実」、収納される「記憶」は少しずつズレが生じてくる。拝島一家のような大きな記憶の捏造といったものは日常生活ではなかなか生じないでしょうか、本当に些細な「記憶の書き換え」は頻繁に行われているのだと思います。

エンド・ゲーム」ということですが、最後も「ネクスト」を感じさせる終わり方であったこともありますし、「光の帝国」に登場していた他の常野一族も「蒲公英草紙」も非常に好きなので、他の常野一族にスポットライトを当てた作品を出して欲しいな、と思います。

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IN MY BOOK by ゆうき | ■ エンド・ゲーム 恩田陸  
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本読み日記 エンド・ゲーム―常野物語
空COLOR 恩田陸「エンド・ゲーム 常野物語」

団塊・シニアビジネス「7つの発想転換」

団塊・シニアビジネス「7つの発想転換」 団塊シニアビジネス「7つの発想転換」
村田 裕之

ダイヤモンド社 2006-01-20
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★★★★★★★☆☆☆

昨日の書評で、高齢化社会に関心があると言っていましたが、冗談抜きで関心あります。なぜ、自分がそこまで関心を持っているのか明確に示すことができないのですが、やっぱりこれから増えていく高齢者の人たちが活き活きと生活できる社会にすることが、日本全体を元気にするひとつの方法だと思うから、というのが大きいです。

さて、今日読んだ本はそんな高齢化社会にぴったりのテーマの本です。作者はこの本の前にシニアビジネス―「多様性市場」で成功する10の鉄則 という本も出されています。前作も一年前に読み終えているのですが、感想を書かずじまいです。今作は前作を読んでから読む方が理解が深まる一冊になっていると思います。

多くの企業では、団塊の世代高齢化社会に対して新しいビジネスに取り組んでいます。しかし、その多くは失敗していると言われています。その原因は何か?という問いに対して、7つの壁を取り上げて解説してくれています。

その中でも一番大きなことは、団塊の世代が均一の消費者(傾向)ではないということではないでしょうか。しかも、そのことはシニアにだけ限ったことではありません。顧客は「個」客であるという認識が生まれ、かなりビジネスでも浸透してきています。つまり、この本は決してシニアビジネスに関心があり、取り組んでいこうとしている人や企業が読むための本ではなく、広い範囲の読者にウケる本であると思います。

7つの壁とは、

1.市場調査の壁
2.顧客開拓の壁
3.商品営業の壁
4.商品開発の壁
5.顧客維持の壁
6.収益向上の壁
7.新規事業の壁


となっています。本の中ではひとつひとつシニアに絡めて解説されていますが、この項目だけを見ると全てのビジネス・事業に当てはまると思わないでしょうか。市場調査の信頼性の問題、営業ツールの選択の問題、開発アイデアの悩み、リピーター客の確保などなど、ビジネスに疎い新社会人の僕が言うのもなんですが、関係性が非常に高いと思います。

特に面白かったのが、あるサービスとあるサービスが結びついて新しい事業を生み出すコンバージェンス型と、それに対しひとつのサービスがより細かく、より質の高いものとなるダイバージェンス型という方法論でした。

コンバージェンスダイバージェンスも聞きなれない言葉ですが、コンバージェンスに関しては、アイデアの生み出し方としてある「既存のモノ同士を組み合わせ、掛け合わせる」という考え方です。ダイバージェンスはまさに個客という変化と、消費者の質の向上が導き出した結果ではないかと思います。

前作を読んでからの方が理解が深まると言ったことと矛盾するようですが、今作は前作ほどの斬新さはありません。しかし、それぞれが感じている市場の変化のもやもやとした箇所を明確な文章で示してくれる良書であると思います。

まだまだシニアビジネスに関してインプットをしている段階ですが、社会人として早く一人前となり、ひとつでも多くアイデアを出していって、その中から事業として確立できるものを生み出していきたいと思います。

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編集室の片隅で!: ダ・ヴィンチ・コード
成功者への道 powered by jugem | 団塊・シニアビジネス「7つの発想転換」
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10年後の日本

10年後の日本 10年後の日本
『日本の論点』編集部

文藝春秋 2005-11
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★★★★☆☆☆☆☆☆


新書ばかり紹介になってしまってすみません(汗)電車に乗っている時に読みやすいんです。文庫だと小説しか持っていないので。この本はタイトルだけ本屋で目に入ってすごく気になっていた本です。というのも、関心があるのも、会社の事業内容とも関連してくるからです。これだとわかりにくいですので、高齢化社会に関係しているので興味がありました。

読んでみての感想を一言で表すなら、「読まなくてよかった本」でした。新書としては内容が非常に薄い。しかもスタンスが日本の将来をネガティブに捉えるところに終始していて、あまり良い気分ではありません。終始しているというよりは、固執していると言った方が正しいのかも。

「日本の論点」は読んだことがないのですが、本屋で見かける限りかなりの知識と頭の良さを持った人たちが書いているんだと予想しているのですが、この本を読んだことで拍子抜けしてしまいました。

書かれているカテゴリとしては、団塊の世代、若者、高齢者、環境、経済、国際社会など多岐にわたっています。データに基づいて書いているように思われますが、グラフや図も使って誤魔化しているだけ。データをつらつらと書くだけ書いておいて、結論はあっさりと、そして悲観的に。項目によっては、あきらかに論理が飛躍しすぎて笑えてくるものもあります。

「あとがき」どころか「はじめに」さえもないために、この本をどんな目的で、どんな思いで発行したのかも見えてこなくて個人的にはすごくイライラしました。

要は、日本の揚げ足取りをして喜んでいる感じです。少し言い過ぎかもしれませんが、これぐらい言いたくなるほどがっかりさせられた本でした。現在の日本の状況についてデータで知れることから、読む価値はないわけではありません。

結局のところ、どこまでデータを集めて予測したとしても10年後なんて正確に予測できないわけです。しかも、この本は欲張りにも大量のテーマを扱っています。軽くなってしまいますが、要は自分たちが日本の未来を良くしてやろう!!って思いでがんばっちゃえばいいんだと思います。

本当に、この本を読む人にどういう風な影響を与えたかったのでしょうか?不安を煽って、より一層希望をなくした人々を増やしたかったのでしょうか。。。ここまで悪い感想を書くと、不快に思われてしまう方もいらっしゃるかもしれません。あくまでも個人的な僕の感想だということで見逃してもらえれば、と思います。

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10年後の日本 ジョカの仮想の国からこんにちは
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10年後の日本 『日本の論点』編集部編|越後屋ぺんさんの勝手書評

アイデアのつくり方

アイデアのつくり方 アイデアのつくり方
ジェームス W.ヤング 今井 茂雄

ティビーエス・ブリタニカ 1988-03
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★★★★★★★★☆☆


感想を書かないままアップしてしまいました。研修以外にもやることで時間に追われていて、昨日は書く時間を作れなかったので><本も早く読める本を探してしまいました。実家から読んでいない本を200冊ぐらい持ってきているので(苦笑)

この本の存在を知ったのは、昔に紹介した「アイデアのヒント」を読んだときでした。「アイデアのヒント」は本当に名著で、手元に置いておく本のリストに入ったほどなのですが、その本と似ていて、かつ何十年もの間人気を保っている本がある、ということで知ったわけです。

多くの方が感想で書いているように、本当に少ない分量で大切なことがスパッと書かれています。「アイデアのヒント」では既存のもの同士をつなぎあわせ、かけあわせることで新しいものが生まれることを学び、衝撃を受けたのですが、また新しい「アイデア」に関する考え方を知ることができました。

本書で書かれているアイデアを生み出す秘訣は非常にシンプルです。そして本質です。

1.資料集め 自身の課題のための資料と一般的知識を豊富にすることから生まれる資料を。
2.自分なりに資料に手を加えること。考えて、もうダメだ!というところまで考え抜く。
3.意識の外に一度、追いやってみる。2がしっかりできていることが前提。
4.インスピレーション(ユーレカ!わかった!)が訪れる。
5.出てきたアイデアを具体化し、多くの人に見てもらう。


もっと端的に書くなら、竹内均さんの解説があります。

1.データ(資料)集め
2.データの咀嚼
3.データの組み合わせ
4.ユーレカ(発見した!)の瞬間
5.アイデアのチェック


プロ論などを読むと思うことですが、アイデアを生み出すことができるのは一部の天才だけではなく、夢中になることのできる凡人でも可能だということです。多くの人はどうしても2の途中で諦めてしまう。ここで諦めなかった人が、結果的に素晴らしいアイデアを生み出して、天才と呼ばれるのだと思います。つまり、天才だからアイデアを生み出せたのではなく、アイデアを生み出せたから天才だと評価されているのではないでしょうか。

僕自身、考え抜くことが苦手なのでよくわかります。自分の好きなことで1~5までの過程を一度やり遂げる経験をすることから目標にして、少しずつステップアップしてきたいです。

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たしょうの思考あそび:ブックレビュー 「アイデアのつくり方」
本は友達: アイデアのつくり方/ジェームス W.ヤング (著)
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ベイエリアで困った!! ~~カリフォルニア活動記:アイデアのつくり方

戦略「脳」を鍛える

戦略「脳」を鍛える 戦略「脳」を鍛える
御立 尚資

東洋経済新報社 2003-11-14
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★★★★★★★★☆☆

真面目にストックがなくなってきました。社会人になった時に、このブログも無理して一日一冊の感想を書かないって決めているので、無理しなくていいのですが、研修中に継続できないようならその後も続かないだろうということで、もう少し悪あがきしてみます。でもやっぱり、ストックからの感想は内容がイマイチなせいもあるのか、反応が悪いです(苦笑)

この本は、就職活動中から興味があって(コンサルに関心があったので)、読みたかったのですが値段が値段でなかなか買う決心ができないままでした。やっと、3ヶ月ほど前に買えたのですが、その頃はビジネス書に飽き飽きしていた頃で、今になりました。

ボストン・コンサルティング・グループからは多くの書籍が出されていますが、作者の御立さんの書籍は初めてです。ボリュームは200ページなのですが、ひとつひとつの内容が濃いので、それ以上の充実感を味わえること間違いなしです。しかし、この本の一番の特徴は「実践ながら読む本」だと言うことで、ばーっと読んだだけの僕にはまだまだ消化不良のようです。

前に「インサイト」という本を紹介しましたが、この本の方が前に「インサイト」について触れていました。しかも、「インサイト」の定義付けが少し違ったものになっています。言葉自体が新しいために、どちらが正しいか正しくないかを議論するよりも、作者の考える「インサイト」というものを受け入れた上で読む方が良いと思います。

インサイト」とはどういうものなのか?作者の言葉をそのまま引用すると、

勝てる戦略に必要な「頭の使い方」、ならびにその結果として得られる「ユニークな視座」

ということになります。本書はこの「インサイト」を分解、説明するために順を追って書かれています。つまり、まずはじめに「頭の使い方」について書かれ、その後、ユニークな視座を持つための工夫について触れられています。

まず、パターン化された定石・定跡を覚え込み、自然とある戦略や新聞の記事を見ながらパターンに落とし込んで考えられるレベルまで持っていきます。そして、自分ならどうするかを考えていき、覚え込んだものを自分の中で発展・進化させていきます。

基本はこの形で地力をつけながら、三つのレンズを使い分けて様々な視点から物事を捉え、考えていきます。三つのレンズは「拡散」「フォーカス」「ヒネリ」となります。レンズの詳しい内容は本書を読んでもらうのが一番ですが、大体はそのまま言葉通りの意味となります。

多くの事例を取り上げられながら進められていくので、理解することはそこまで難しくないはずです。また、事例のなかでも、一番興味深かったのはNASAの火星探索機パスファインダーの話です。目から鱗の発想で低コストで成功させたチームワークは読むだけで心がワクワクするものでした。

また、PNIルールも即実用が可能で効果の高いものだと感じました。アイデアを出す時は、P(ポジティブ)に進めていき、出し切ったあとでN(ネガティブ)に不安要素を取り除き、その上でI(インタレスティング)な姿勢でアイデアをより面白くしていく。普段から心がけていこうと思います。

最近、少し不安になることが、こんなに知識ばかりつけていては頭でっかちの人間にならないか、ということです。実際の仕事もまだまだ研修続きで実感することができていません。仕事とはもっと泥臭いものだとは頭でわかってはいても自分の体で経験してみないことにはなかなか難しいですね。

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恋愛も戦略脳で戦う!姉を持つオトウトがもてる理由
すまいりダイアリ - 戦略「脳」を鍛える 御立 尚資(東洋経済新報社)
FLY HIGH!:書籍紹介:戦略「脳」を鍛える
40代サラリーマンの読書日記: 戦略「脳」を鍛える
[本ナビ]投資・金融・会社経営: 御立 尚資
Notes&Books:冬休みの書評3
buzz-style: 最近読んだ本

月の裏側

月の裏側 月の裏側
恩田 陸

幻冬舎 2002-08
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★★★★★★★★☆☆

さすがに平日になるとなかなか読書が進まないです。。。ということで、またまたストックから紹介。これを紹介しようとしていた日付が3月5日でしたので、1ヶ月以上も経っていることになります。しかも、今は手元に本がないから思い出しながら感想を書くというぐだぐだな状態。こんなんでも更新することに意味があるのか??なんて思いながらも、やっぱ継続が大事だよね♪と開き直って更新します(笑)

九州の柳川(やなかわ)をモデルとした水郷都市、箭納倉を舞台にした。SF風ホラー風小説。SF「風」でありながらホラー「風」でもあるところに恩田陸さんの作風が表れているように思います。SFやホラーといったジャンルにスパッと入れにくい感じなんですよね。

箭納倉で連続で老女が行方不明になり、数日後に行方不明だった時の記憶がないままで戻ってくるという事件が発生。元大学教授の協一郎は自身の経験がきっかけで、この事件の真相を追うようになる。そこで助っ人として主人公が箭納倉に呼ばれる、というところから始まっていきます。

中盤以降の役者が揃ってからは、なんとも言えない雰囲気が作り出されていて、ふと読むのを止めて想像を巡らすと恐ろしく、背筋が寒くなるような展開へとなっていきます。ただ、この作品の受け止め方はひとりひとりの価値観や感受性によって大きく変わってくるかもしれません。最後は恐くもなんともない内容となってしまいましたが、それも主人公のキャラクターの設定をそういうものにしたことからも、作者の狙い通りの結末なのかもしれない、と思いました。

ネタバレにならないような書き方をするので、毎回わかりにくい感想ですみません。僕がこの本で考えさせられたのは、自分が他の人間とは違うということを認めること、しかも自分ひとりだけが他の人間と違うことを認めないといけないことは本当に恐ろしいことだと思いました。オンリーワンだなんて言いますが、やっぱり人は少なからず、ある程度は他人と共通点や組織への帰属を求める生き物なんですね。そうでないと、社会性のある動物ではないことになりますから。

なかでも一番恐ろしかったのは、コンビニで協一郎の娘、藍子が体験した出来事です。これは想像するだけで身の毛もよだつ思いでした。

自分が自分でなくなるかもしれない。自分の知らないこと、認識していないことは月の裏側のように普段は存在すらしていないように思うものなかもしれません。それが幸せなのかどうかは人それぞれですが、僕は知らないことも幸せだな、と思ったりします。

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マリカのソファー 月の裏側/恩田 陸
『月の裏側』 恩田陸|ひらひら
くすり+ブログ:月の裏側
恩田 陸 『月の裏側』|DKの処本箋
か え れ ろ ☆ ら え れ 月の裏側
瑣末事: 月の裏側   恩田陸
趣味のお時間 『月の裏側』恩田陸
慶應大学MBA Stay hungry, stay foolish.: 「月の裏側」  恩田陸
ほんとぼの 2nd 月の裏側 恩田 陸
日だまりで読書 月の裏側

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる
梅田 望夫

筑摩書房 2006-02-07
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★★★★★★★★★★

今日もまた新書の紹介です。個人的には、久しぶりに「新書!」と呼べる本だったので大満足です。しかし、あまりにも内容が素晴らしいので、この本を僕が紹介することによって逆に関心度を低めてしまったり、本に対する評価(先入観)を与えてしまわないか不安です。というのはあまりにも自意識過剰ですね(苦笑)それぐらい僕にとっては素晴らしい本でした。

ここで「僕にとっては」という前置詞を添えたのには理由があります。本書は、ウェブについて全く知識のない、もしくは全く関心のない人にとっては、内容を理解するのが難しいと思われる箇所や、作者の意見に首をかしげたくなるようなものなのかもしれない、と感じたからです。


[間歇日記]世界Aの始末書: 『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる』 で僕の感じたことをわかりやすく簡潔な言葉で説明されていらっしゃったので、引用させていただきます。

痛快なアジテーション本。この本が理解できて面白い人はじつはこの本を読む必要がない人であり、最もこの本を読むべきである人は、たぶん書いてある文字は追えても、じつのところなんのことやらさっぱりピンと来ないにちがいないという類の本である。著者もそのことはよくわかっているのだ。

作者があとがきでも述べていますが、本書はこれからのネット社会について「オプティミズム(楽天主義)」を前提として書かれています。つまり、今のネット社会やネットサービスの拡大に異論を持つ人にとっては受け入れ難い内容も時には含まれているかもしれません。しかし、確実に言えることは、作者の素晴らしい論理力によって説得力のある文章が書かれ、作者のポジションも「オプティミズム」でありながら、できる限り中立な意見を述べようとする姿勢が本書に表れているということです。

インターネットは私たちの生活に浸透し、多くの人がいつでも使える社会となりました。特に、mixiの流行によって、若い世代でありながらパソコンとは縁のなかった人たちも次々と積極的に使用するようになってきました。インターネット黎明期の勢いはなくなり、その代わりパラダイムシフトという大きな形で、インターネット産業が変わろうとしています。

この変化については、作者の表現する「こちら側」と「あちら側」が非常にわかりやすいです。「こちら側」とはインターネットを使用している側、つまりパソコンのことを示しています。今までは、マイクロソフトを始めとして、企業で使用されるシステムなども「こちら側」だけで活用されていました。

では、「あちら側」とはどこを示しているのか。それは簡潔に説明するならインターネット上ということになります。この「あちら側」の世界はまだ認知されたばかりで、「あちら側」に着目した企業にグーグルがあります。グーグルは検索エンジンの情報の収集・整理による価値の創出というインパクトを与えるだけでなく、次々とサービスを展開し、インターネット産業を牽引していきます。

それは、アドセンスであったり、Gメールであったり、グーグルマップであったりします。何もかもがインターネット上で完結することの脅威は計り知れません。ITはゼロコストで、整理や収集も自動化され、迅速な対応を可能とします。このグーグルの脅威に対応が遅れている「こちら側」の代表格のマイクロソフトは必死に食らい付こうとしていますが、追いつくことはまだできていません。

グーグルのビジネスモデルの説明や、ロングテールや「Web2.0という理論を踏まえたアマゾンのビジネスモデルの説明は非常に勉強になります。特にロングテールは興味深い内容でした。

前述した本書を肯定するか否定するかを分ける要因で、不特定多数無限大の信頼性」を是とするか否とするか、が大きく関係してくると思います。この不特定多数無限大の考えについてはwikipediaの事例を取り上げ、わかりやすく説明されています。

感想を書き始めた時は、できるだけ詳しく内容に触れようと思いましたが、上手く説明できないため途中で方向性を変えてしまいました(汗)ウェブに関わる会社で働いている(社会人一年目)ので、この本は何度も読み直して自分の知識としてしっかり身につける必要があるな、と強く思いました。グーグルのすごさについても本書でかなり理解することができたので、買ったままの「ザ・サーチ」を読んで理解を深めようと思います。

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[間歇日記]世界Aの始末書: 『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる』
日進日誌:ウェブ進化論
今日のひとこと:ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる
風が強い日 ~至極私的嗜好録
Sachi Kono_Private_Blog | 《books》ウェブ進化論/梅田望夫
読了 梅田望夫著「ウェブ進化論」 武士道でいこう
IT技術者向けハイパフォーマーへの道: ウェブ進化論
東京日記:ウェブ進化論
ウェブ進化論|飽きずにまいにち買い物ブログ
梅田望夫『ウェブ進化論』本当の大変化はこれから始まる

チャンス―成功者がくれた運命の鍵

チャンス―成功者がくれた運命の鍵 チャンス―成功者がくれた運命の鍵
犬飼 ターボ

飛鳥新社 2005-07
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★★★★★★★★☆☆



久しぶりに啓発書を読みました。といっても、この本も読んでから三週間ぐらい経っています。ストックばかり消費していて申し訳ないです。感想という形でアウトプットすることで、今まで読んだ本を頭に残しておくことができるので、やっぱり読んだ本は感想を書いておきたいな、と思います。

成功するための秘訣を物語を通して読者に伝えてくれる、めずらしい形式での啓発書となっています。作者自身も書かれていましたが、まだまだこのような形式の啓発書は日本ではあまり書かれていません。

物語の主人公である泉卓也は、若くに起業をしていたが、なかなか上手くいかずに自分の生活費を稼ぐ程度の毎日を送っていた。そこで、赤いフェラーリに乗った弓池に偶然出会い、成功の秘訣の教えを請いながら成功していく。

このストーリーの展開は本田健さんの「ユダヤ人大富豪の教え」に似ているところが少しありますが、より日本に合わせた内容で、かつ主人公も学生ではなく、社会人として実際に成功を目指して取り組んでいくことが「ユダヤ人大富豪の教え」とはまた違った良さになっていると思います。

ストーリーを詳しく紹介するよりも、啓発書らしい心に残った、印象深い言葉の引用紹介をしていきます。

素直になるということは、格好つけるのをやめることでもある。格好いい自分ばかりを見せようとすると知らないことが恥ずかしいことだと感じ、教えてくださいと言えなくなる。そうすると素晴らしい学びのチャンスを逃してしまうことになる。

僕が一番気をつけないといけない点です。自分が知らないことを隠そうとしがちなのは、知らないことが格好悪いことだという価値観が染み付いてしまっているからです。ありきたりかもしれませんが、「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」だということをしっかりと頭に叩き込んでおきます。

成功とは成長の過程だ。失敗したらなぜ失敗したかを学ぶんだ。もし成功してもそこからどうして成功したかを学ぶんだ。

難しいのは失敗したことから学ぶよりも、成功したことから学ぶことです。どうしても、成功すると人は浮かれてしまいます。成功も失敗と同様に「何故そうなったのか?」を自分自身が理解することが重要ですね。

「思う」や「したい」はやると決めたことには使わないこと。未来のことを断定して言うようにするんだ。断定するとその通りになる。

これもその通りだと思います。「思う」や「したい」を使うときは、その決意自体を達成する自信がないか、本気でそう思っていないことが僕の場合多いです。そして、大半が事実達成されないまま終わってしまいます。

大切なのは自分を許してあげるということ。間違いに気がついた自分を責めるのではなく、褒めてあげるんだ。

ダメなところに気付くと、ダメなところに目がいってしまい、自分を責め、沈んでしまいます。何がダメなのか気付いた自分を褒めてやるという発想を持つことは「楽天的」な性格を作り出し、また堅実に成長していく道を開くことになると思います。

ありきたりかもしれない、もしくはそんなに上手くいかないよ、と思う人はたくさんいると思います。僕自身、まだまだ心から100%信じきって読むことも、実践していくこともできません。でも、少しずつでいいから自分の中で考え方を価値観を変化させていくことが大切だと思います。人は誰でも変われるものです。また変わることは成長です。そして、変わることは一朝一夕でできることではないと思います。

とまぁ、少し偉そうなことを書いてしまいましたが、口ばかり達者の未熟者(口も未熟者。。。)ですので、日々精進あるのみだと気を引き締めます(笑)

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ビジネスセレブのためのビジネス書:犬飼 ターボ
読書日記:チャンス―成功者がくれた運命の鍵  犬飼 ターボ (著)
起業日記 ~松下やめてアホだと言われ、やめてみたらアホだった。 『成幸のカニミソ』
メンターな読書録:CHANCE
「幸せな小金持ち」になろう: チャンス―成功者がくれた運命の鍵


人の印象は7秒で変えられる

人の印象は7秒で変えられる 人の印象は7秒で変えられる
樺 旦純

青春出版社 2006-03-02
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★★★★★★★☆☆☆

新書ブームに乗っかって?今日もまた新書の紹介です。この本を手に取ったのは、今売れている「人の見た目は9割」とタイトルが似ていたからです。「人の見た目は9割」は読んでいません。その理由は、amazonでの書評があまりにも低評価だったためです。「頭がいい人、悪い人の話し方」の例があるので、世間で売れていても手を出す気がおきませんでした。しかし、この「人の印象は7秒で変えられる」を読んだので、どのように内容の良し悪しに差があるのか比較検討するために読もうと思いました。

途中までは、タイトルどおりの印象についてどのようにすれば良い印象を与えられるのかが書かれているのですが、後半ではネタ切れなのか少し論点がズレた内容になってしまっているのが残念でした。書かれている内容自体もそこまで新鮮なものではありません。

あくまで個人的意見ですが、タイトルもよくよく考えてみるとおかしい感じです。人の第一印象を決定する時間は一般的な平均として言われているのは3~5秒です。そして、その第一印象を変えるのは数秒では難しいと思います。本の内容自体も初対面での印象付けの方法ばかりが書かれているので、印象を変えるための方法論という点では欠如している感じがしました。

そもそも、人と人が接するということは仕事の上だけでなく、生まれてきた時から行っていることであり、その上、誰でもしていることです。そのため、そのノウハウというものは莫大な年月と経験量によって蓄積されていて、なかなか新しい考え方や方法を見出すことが難しいのかもしれません。

そして、もう一つ。こういった良い印象の与え方というものは、一捻り工夫を凝らしたから良くなるというものでもなく、基本をしっかりすることが一番大切なんだとも思えます。

これだけでは書評としては不十分ですので、もう少し踏み込んでいきます。まず、基本的なところとして、「声」と「見た目」について書かれています。次に豆知識として、色の持つイメージやしぐさから読み取る心理、ケースによる心理クイズでのタイプ別診断へと移り変わっていきます。

色に関しては、「色の秘密」がありますし、しぐさもコーチングや質問力のたぐいの本の方が詳しく書かれています。ケースの内容は本のタイトルにはふさわしくないのかもしれませんが、個人的には面白かったのでこの部分をもう少し掘り下げて書いてもらえると嬉しかったです。

全体的に広く浅くという印象を受けましたが、こういった知識に自信がない、もしくは忘れた時に思い出したい備忘録代わりとして手元に置いておくという使い方も良いと思いました。

自分の魅力に気がついていない人は多いものである。そんな相手の魅力を掘り起こすことができる人こそ、きっと誰よりも魅力的であろう。

本の中で特に印象深かった箇所です。自分を自分の持つものさしで測ろうとしても難しいので、他人と見比べたり、他人に評価してもらうことは大切だと思います。同時に、自分も相手を見て、相手の良いところや悪いところに気付いてあげることも、それ以上に大切なことだと思います。日頃から心がけていたい点です。

「人は見た目が9割」を読んだのちに、どちらの方が良いか(という判断は難しいですが)を自分で決めてみたいな、と思います。

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あーゆー歯っぴー?:人の印象は7秒で変えられる

チームバチスタの栄光

チーム・バチスタの栄光 チーム・バチスタの栄光
海堂 尊

宝島社 2006-01
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★★★★★★★★★★

昨日は感想を書く本のストックが減ってきたと書きましたが、まだまだ感想を書いていない本がたくさんあることに気付きました。悩みどころは本の数ではなく、読み終わってから時間の経った本の感想を上手く書けるかどうか、ということになりそうです(汗)そんな弱気な発言をしつつ、今日も二週間ほど前に読み終わった本の紹介です。

第4回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作にふさわしいすばらしい作品です。過去の大賞受賞作にもはずれはなかったんですが、これはそれをはるかに上回る面白さとなっています。読書家として、少しはランクアップした僕も(自分で言うな)、この本はとても満足でした。

大学病院が誇る「チームバチスタ」が連続で術中死を起こす。一部の人間が事件の可能性を疑い調査をすすめる。調査を依頼された不定愁訴外来の名物医師であり主人公でもある「田グチ先生」、チームバチスタの伝説請負人のカリスマ医師、そしてチームバチスタの精鋭スタッフ、ひとくせもふたくせもある高階院長、その高階院長を困らせる厚生労働省から来た名探偵であり、人から歓迎されることのない性格の持ち主の白鳥。どのキャラクターも素晴らしく個性的でそれぞれが作品の中で活き活きと動き回っています。

医学については全く知識がありませんが、大学病院の内部事情や手術や医療の知識、ひとつひとつが詳細に書かれています。そのくせ、娯楽性も非常に高く読み物としては最高の出来です。

前半は少し退屈になってしまう箇所もあるかもしれませんが、「名探偵」白鳥圭輔が登場してからは強すぎるスパイスを料理に振りかけてしまったかのように刺激的な読み物へと変貌していきます。この本を読んだ方の大半は白鳥圭輔を主人公にした作品をぜひ出して欲しいと思われるのではないでしょうか。

ミステリとしても非常によく出来た作品だと思います。僕は最後まで気付けなかったのですが、伏線も見事に張ってあり、犯人の動機も個人的には強引なところは感じませんでした。

この作品は「このミステリーがすごい!」を受賞していますが、まだまだ知名度は低い方だと思います。こういった隠れた名作を本屋でドンドン紹介してもらって、多くの方に読んでもらえるようになればいいな、と強く願います。

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