Book Review’S ~本は成長の糧~ -16ページ目

へんないきもの

へんないきもの へんないきもの
早川 いくを

バジリコ 2004-07
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★★★★★★★★☆☆



この本の続編である「またまたへんないきもの」が発売されたことで、前作のこの本もAmazonでまた人気が出てきていました。一度は読んでみようと思ったこともあったのですが、読んでもいないのに内容が幼稚な気がしたのでその時は敬遠してしまいました。今回の人気再燃を機に読んでみることに。

爆笑する面白さではないんだけれど、ひとつひとつのいきものの説明がシュールでブラックジョークも交えていて、笑えます。本当は、とても内容の深い話ができる人が、素人にもわかりやすく、面白く書いてくれたような印象を受けます。

まだ書評は書いていませんが、「はだかの起源」という本の中で紹介されていた「ハダカデバネズミ」が載っているのを見つけたときは嬉しかったです。しかも、その解説が「はだかの起源」と同じ内容で、さらにわかりやすく書かれていたので理解が深まりました。

へんないきもの」といっても、グロテスクなものばかりではなく、作者の説明文のようなツッコミ所満載のいきものもたくさん掲載されています。また、いきもののイラストもリアルになりすぎない程度に描かれていて気持ちよく見ることができます。これが、写真とかだったら人気でなかったろうなぁ。。。

やはり、「へんないきもの」と位置づけられるいきものは深海に多く住んでいるようで、この本でも半分以上は海洋生物となっています。中でも印象的だったのが、作者のコメントです。

地球の無意識ともいえる、自然界の深奥、深海。そこは外宇宙ほどの道の世界である。大金をかけて火星に宇宙船を送るより、深海に探査艇を送った方がよほど面白そうだ。深海には道の生物がゴマンといるだろうが、火星にはタコがいるだけだ。

後半部分はギャグですが、地球にはまだまだ未知の生物がたくさんいることを考えると、地球の外(=宇宙)と同じかそれ以上の魅力が潜んでいるんだな、と意味もなくワクワクしました。と、同時にやっぱり一番へんないきものって「人間」以外考えられないんじゃないかな、とも思いました。

コラムのような扱いで、タマちゃんとツチノコが取り上げられているのですが、それも非常にユニークに書かれていて面白いです。タイトルがひらがなで書かれていることは何を意図しているのかは、わかりませんが、ひとつには生き物離れが進んでいる現代の子供たちにこの本を通して生き物へ関心を持ってほしいという狙いもあるのかな、なんて勝手に考えていました。

続編の「またまたへんないきもの」と「へんなせっくすのいきもの」も読んでみたいです。「またまたへんないきもの」の方は、環境保護などにもつながるような内容になっているということなので、それも含めて楽しみです。

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◆トラックバックさせていただいたブログ◆

日子のさらさら日記: へんないきもの
まろまろ記: 『へんないきもの』 早川いくを著 バジリコ 2004
日々良い事、良い物探してブログ:「へんないきもの」 読んでみると、相当へん・・・

光の帝国―常野物語

光の帝国―常野物語 光の帝国常野物語
恩田 陸

集英社 2000-09
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★★★★★★★★☆☆


恩田陸さんの作品ではじめて読んだのが「夜のピクニック」、そして次に読んだのが「蒲公英草紙」でした。そのため、はじめは「蒲公英草紙」に出てくる常野一族について全く知識がなく、頭の中で「??」がありましたが、この作品を読んで理解が進みました。本作品は、常野シリーズの第一弾で、この作品を読まなくても「蒲公英草紙」を楽しめましたが、この作品を読んだ後に読んでも違った楽しみ方ができただろうな、と思います。

すでに、何度も出ていますし、サブタイトルにも「常野物語」と書いてあるように、常野一族と呼ばれる人々の話です。短編集となっていますが、いくつかは物語のつながりもあります。常野一族とはそれぞれが特殊な能力を持つ一族です。その特殊な能力を一般の人々は時に妬み、時に憎み、迫害します。結果として、一族は固まって生活をせず、各地を放浪しながら生きています。

ただ、この放浪しながら生活するということが「迫害されているから」だけではなく、常野の名前の由来である「常に在野の存在であれ」という考え方が根っこにあります。常野一族ひとりひとりの、心の温かさや優しさに触れ、心が安らぐとともに、一族を襲う悲劇に悲しみを覚えました。

どの話も一工夫されていて、あとがきで恩田陸さん自身が「手持ちのカードを使いまくる総力戦になってしまった」というのも、すごくよくわかりました。現実で考えればありえないような能力もあれば、テレビで特集されているような能力もあり、読んでいると実際に世界に存在しているのではないか、なんて思わされてしまいました。

もし、自分に特殊な能力が備わっていたらどのように思うでしょうか。どのようにその能力を使おうとするでしょうか。そういうことを考えてみながら読んでみるのも楽しさが倍増する作品です。

特殊な能力を身につけるということに対する反動、ひとつの現象には相反する現象があるという理論のもとに、「裏返す」存在が常野一族を脅かします。「裏返す」ことがテーマとなっている「オセロ・ゲーム」は最新作の「エンド・ゲーム」へと続くプロローグとなっているので、この作品を読むと早く「エンド・ゲーム」を読みたくなります。

本のタイトルになっている「光の帝国」は本当に悲しくなりました。人間の持つ負の部分を自分自身も持っていることを自覚していて、否定することのできないことを認めたくないような、それでいて認めないといけないような苦しさがありました。結末も、恩田さん自身が気持ちの悪さを覚えて、救いを求めるかのように付け加えられた印象を受けました。

この作品は過去にNHKでドラマ化されたみたいです。どうにかして見てみたいなぁと思うのですが、やはり難しいですかね。。。

ドラマDモード光の帝国

常野シリーズにすっかりハマりそうです。多くの事象を「しまい」続ける常野一族。それが、優しさや強さにつながっているのだろうと思います。常野一族のように「しまう」ことはできませんが、ひとつひとつの経験を大切にすることで少しでも「しまう」ことと同じことができるのではないか、と思います。

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空中庭園

空中庭園 空中庭園
角田 光代

文藝春秋 2005-07-08
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★★★★★★☆☆☆☆



二日続けて角田光代さんの作品です。この調子で残りの作品も読み終えたい。好きな作家は増えてきているのですが、増えるスピードが早すぎてどの作家も全ての作品を読むことのできていない中途半端な状態です。

角田光代さんの作品にしては珍しい(といってもまだ4作目でした)少しダークな内容の作品です。京橋家に関わる六人それぞれの視点で六つのストーリーが展開していきます。母と子の確執や夫の浮気、娘の出生の秘密、その他もろもろの家族が抱える問題について書かれています。

この家族の問題のキーワードは「秘密」です。母・絵里子は子供時代の苦い思い出を払拭するために、自分の家庭では秘密=隠すことなど全くない明るい家庭を目指していきます。しかし、光あるところには影があるわけで、秘密など何もないという約束事を隠れ蓑にして、絵里子自身も隠し事をしています。

この光と影の関係は、最後の章で触れられています。影ではなく「闇」という言葉になっていますが。六人の視点からそれぞれ書くという手法を使っているために、一貫したメッセージというものは伝わりにくくなっていると思いました。しかし、個々の登場人物の属性から家族について考えた時に、それぞれの立場から理解できること、作者が伝えたいことがおぼろげながら見えてきます。

なぜ子は親の愛に気付かない、もしくは気付きにくいのでしょうか?なぜ父親は家庭をよく見ないでのほほんと日常を過ごすことができるのでしょうか?そして、問題を抱える家庭では子供の方が大人の振る舞いができるのはなぜでしょうか?

少しズレているものもあるかもしれませんが、このような問い掛けが次々と湧いてきます。あと、作品で僕が好きな人物は長男のコウです。中学三年生という難しい年頃で大人へと精神的・肉体的の両方において成長していく過程が読んでいるだけで楽しいです。

映画化されて、現在公開中ですね。どのようにアレンジされたのか非常に気になります。

空中庭園

タイトルになっている空中庭園の意味が読み終えた後も、しっくりとくる解答を見つけることができませんでした。空中=不安定な庭園=家庭や理想といったところなのでしょうか。評価は低めにしましたが、解説で石田衣良さんが書いているように暗い角田光代を知る作品としては、良いのでは?と思いました。

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叶恭子・トリオリズム

叶恭子・トリオリズム 叶恭子トリオリズム
叶 恭子

小学館 2006-01-12
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★★★★★★☆☆☆☆


なぜこの本を読んだのかというと、単純に古本屋さんで安い値段で売っていたからです。それぐらい、普段はタレント本を読むことはありません。しかも、著者の叶恭子さんのことは、テレビをあんまり見ないせいもあって、ほとんど知りません。

帯に書かれている、

タブーなき「LOVE&SEX」読本
「愛とセックスとお金」の純粋なお話


という言葉どおりの内容が書かれています。ただ、凡人というか一般人の僕からすると、全てが浮世離れしていて、ひとつのエンターテイメントとしてしか見ることができません。それぐらいに、すごい世界が書かれています。そして、これは男だからかもしれませんが、読んでいる最中も読み終わった後も、全く叶恭子さんの生活がうらやましいと感じませんでしたし、してみたいとも思いませんでした。

本書では、愛はお金で測ることができるとか、買うことができるといったようなことが書かれていて、普通だと反対したくなるのですが、確かに10億単位のお金が目の前に出されるという経験をしていない者がどうこう言えるようなレベルではないのだろうな、と思いました。ただ、一般人の感性から言わせてもらうと、たとえ多額の現金であっても、それを愛と同等に見ることはしたくないなって思います。

この箇所なんて顕著に現れていますね。

わたくしに投入される財力とは、愛情のバロメーター。当然のことながら、愛情が大きければ、財力も大きくなります。資金の大きさとは、その人の人間の大きさそのもの。

冒頭でも書きましたように、ほとんど叶恭子さんのキャラクターについて理解していないので、そのぶっ飛んだ生活(性生活も含む)に、ある種の衝撃と尊敬を覚えました。叶恭子さんの「愛」や「美」、「お金」に対する価値観や貪欲な欲求、向上心はただただすごいと思います。

本人が書いたのか、ゴーストライターなのかはともかく、本書の文体は好きにはなれませんでした。あまりにも横文字を使い過ぎてて。。。グッドルッキング・ガイとかピュアピースフルヘヴンリーラブとかは読んでいて痛々しいです。

それでも、世界のトップレベルの人たちを相手にしているだけはあるな、と思える箇所がいくつかありました。ということで、備忘録を兼ねていくつか掲載。

あたくしのイメージするセクシーは、インテリジェンスの表現。精神的な策略のもとに、女性としての魅力を最大限アピールすることです。

よいものを見抜く目を養うには経験と知性が必要なのです。

女の人が読むともしかすると違った感想を持たれるかもしれませんね。それにしても、タイトルのトリオリズムに秘められた叶恭子さんの「男」や「愛」に対する考え方はすごいというか、真似できないなって思いました。

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対岸の彼女

対岸の彼女 対岸の彼女
角田 光代

文藝春秋 2004-11-09
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★★★★★★★★☆☆



角田光代さんの作品もだいぶ読めてきました。まだ、家には未読の作品が数冊ストックされているので読むのが楽しみです♪この作品は、直木賞受賞作ということでずーっと読みたかったのですが、やっと読むことができました。

この作品全体を通して感じたことは、

「人と人は本当にわかりあうことはできない」

ということです。と、いきなり書いてしまっても読んでいない人にとってはちんぷんかんぷんですよね。話は、3歳の子供(あかね)を持つ主婦の小夜子と小さな旅行代理店の女社長の葵の出会いからはじまります。二人は偶然、同じ歳で同じ大学出身でした。これが、現在の話で章番号の奇数(1、3、5・・・)で進んでいきます。そして、偶数章では葵の高校時代に遡り、高校時代の友人ナナコとの話が展開されます。二つの話が少しずつリンクしていきます。

これだけでは、物語の1割も理解できないとは思いますが、あらすじを書かない主義(しつこい)ですので、許してください。現在の葵からは考えられないような、高校時代の葵の姿。そして、ナナコの不思議な性格、言動、魅力の正体。小夜子の家庭と仕事の板挟みに悩む姿。それぞれの心の動きが書きすぎず、不足するわけでもなく、適度に表現されていて素敵です。

人は人生の中で多くの人と出会います。しかし、出会いがあるということは別れもあるということ。別れを恐れず、変化を恐れず生きていくことは勇気のいることです。でも、何のために生きていくのか?と考えた時に、人と出会うためと心から思える人生を歩むことはそれだけで楽しいものじゃないかと思いました。

人との付き合いはわずらわしいものです。僕は人付き合いが苦手です。人付き合いが苦手な僕ですが、ひとつ心がけていることがあります。冒頭にも書きましたが、「人と人は完全にわかりあうことができない」という前提で「相手のことをわかろうとする」ことを意識し、実践するようにしています。この物語の最後の小夜子の取った行動はそういうことなんじゃないのかな、と思いました。

WOWWOWでドラマ化されたようです。WOWWOWなので、連続ドラマかどうかなどもわからなかったのですが、なんと今日の20時から放送ということです。

ドラマW 対岸の彼女|WOWOW ONLINE

この本の主題からは逸れるかもしれませんが、人の悪口を言わない人間になろうと思いました。ついつい、人のことを皮肉ったり、中傷することで笑いを取ろうとしてしまうので。なぜ、こういうことを書いたかと言うと、物語の中で女性の噂話のひどさに辟易したからです。でも、こういった心の闇というものは誰もが多かれ少なかれ持っているものなのかもしれませんね。

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インサイト

インサイト インサイト
桶谷 功

ダイヤモンド社 2005-02-17
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★★★★★★★☆☆☆


この本を読んだのは1週間以上前なのですが、ブログの再開のネタがあまり多くないために書かせてもらいます。

インサイトという言葉自体、聞きなれたものではありません。本書の説明によれば、インサイトとはマーケティングとは対極の位置にある販売促進の手法となります。どういうことかというと、マーケティングでは理論的に数値を用いながら、売れる商品や商品を売るための回答を導き出すのに対し、インサイトでは消費者視点からの思考によって、消費者の心に「グッ」とくるものを作り出すにはどうすればよいのか感性で考えていきます。

また、著者はインサイトのことを「心のホットボタン」を押すことだと言い換えています。この一言の方が、理解しやすいかもしれません。

マーケティングでは消費者層をいくつにも分けるため、平均的な人間をターゲットにした平均的な製品の開発になってしまうことが多々あります。インサイトの手法では、消費者層を細かくわけることをせずに、大まかなカテゴリに対してのアプローチを考えていきます。結果として、当たれば多くの人からの支持を得ることができるわけです。

インサイトをしていくにあたって必要なことは、

・アタマと気持ちをほぐす
・客観的だとか理屈を排除する
・ゲーム感覚で楽しむ
・消費者視点に立つ


などが挙げられています。

また、インサイトまでの流れとしては、

ポジショニング:消費者にどう思って欲しいのか
プロポジション:消費者への提案、どうしたいのか
インサイト   :消費者の気持ちを活用できるか


の三つの要素をそれぞれ行き来しながら考えていきます。

本書で説明されている「インサイト」の手法については非常に面白く、手法を知ると、利用しているんじゃないかと思えるCMもあることに気付かされます。ただ、本書で残念だったことは、説明の後にこのインサイトの実際の効果ややり方について書かれている部分で「マーケティング」と明確に差別化できた説明ができたいないことでした。

インサイトの事例としては、ハーゲンダッツとシックが取り上げられています。その説明は非常に丁寧で、どこでインサイトが使われ、どのように消費者の心を捉えたのかがよくわかります。

本書で書かれているように、「インサイト」という言葉も「マーケティング」や「コンセプト」、「ビジョン」などといった言葉と同様に、普通に使われるようになる日がくるのは近いでしょう。インサイトとはどういうものなのか、を知るための本としては適してると思います。

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その日のまえに

その日のまえに その日のまえに
重松 清

文藝春秋 2005-08-05
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★★★★★★★★☆☆

2006年本屋大賞にノミネートされた重松清さんの作品です。「流星ワゴン」を読んで以来、重松清さんのファンになったのですが、読めた作品はまだまだ少ないです。

本書は、重松清さんの得意分野?である、「死」をテーマにした短編集です。また主人公も得意の40代前後の男性になっています。「その日のまえに」を読むまでは、重松さんにしては物足りないと感じていたのですが、「その日のまえに」を読み始めてから評価がうなぎ上りしました(笑)ここでやっと気付いたのですが、本書は連作短編集となっています。


「死」を扱った作品を読むと、感動し涙することも多いのですが、いつも表現できない「違和感」が残っていました。その違和感が何なのかずっとわからないままでいたのですが、この本を読んで少しわかりました。それは、「死」が自分にとってまだ遠い存在であるという事実です。どれだけ、ニュースや小説、人の話で「死」について学んだとしても、実体験として自分の中で消化しきることが、できずいつも一歩距離をあけた、余所余所しさで存在しているのです。

身近な人の死がなかったわけではありません。中学生の時には友達が病気で亡くなり、高校生の時にも交通事故で一人亡くなりました。それでも、まだ「死」を近くに感じられない理由は何なのか、と考えてみると「死」と向き合うことを恐れている自分がいることに気付きました。向き合ってはじめて受け入れることもできる(と信じているのですが)のに、やはり恐がって逃げ腰になってしまう。悪いことだとは思っていませんが、年を重ね成長していく中で、少しずつ自分の中に受け入れていきたいと思います。

脱線してしまいましたので、作品について戻ります。本のタイトルになっているように本作品はやはり、「その日のまえに」がメインディッシュで、それまでは「その日のまえに」を読むまでの心の準備をするためにあると思いました。といっても、手を抜いた作品というわけではありません。それぞれが違った「死」のかたちを表現していて、考えさせられることはたくさんあります。

中でも印象に残っているのが、

長く生きすぎてしまったひとの流す涙はおとなになるまで生きられなかったひとの流した涙と同じだと思った。

という箇所です。人は生まれた時からいつか死ぬことは決まっています。それが早いのか遅いのかの違いあるだけです。しかし、死んで去っていくことと死ぬ人を見送り続けることは同等の哀しさが存在すると考えた時に、「死」に一歩近づけたような気がしました。

「その日のまえに」も連作となっており、「その日」「その日のあとで」と続きます。誰にでも訪れる死を「その日」と表現することの感情の複雑さ、意味の大きさを考えました。

と言いながらも、最後の方まで泣くことができませんでした。このまま泣くことなく読み終えるのかな、と思っていた時に、「その日」に亡くなった和美が夫である主人公に送った手紙の一言に、表現できないほどの衝撃を受け、号泣してしまいました。その一言は敢えて書かないようにしますが、本当に人が「死ぬ」とはこういうことなのだろうな、と納得してしまいました。

普段以上にまとまりのない、そして脱線の多い感想ですみません。重松さんの作品としては、少し物足りなく感じてしまいましたが、それでも良い作品であることには変わりありません。

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博士の愛した数式

博士の愛した数式 博士の愛した数式
小川 洋子

新潮社 2003-08-28
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★★★★★★☆☆☆☆

2005年の本屋大賞受賞作である「夜のピクニック」が非常に面白かったので、その前年に受賞しているこの作品をすごく読みたくなっていました。やっと、友人から借りることができたので、借りてすぐに読んでしまいました。今は、映画化されて上映されていますね。一冊の本でこれだけ長期間、話題を集めるということはすごいことだと思います。

映画「博士の愛した数式」公式サイト

読んだ友人の話では、この本をどのように映像化したのかすごく気になる=映像化が難しい作品ということだったのですが、僕も読み終えて同じ印象を持ちました。まだ、映画は観ていないのですがどのように映像化されたのかは、非常に気になります。

映画化されたことによって、あらすじは皆さんご存知だと思いますが、簡単に書いておきます。

交通事故によって、80分間だけしか記憶をとどめておくことができない元・数学教授の博士とその博士の身の回りの世話をすることになった家政婦、そしてその息子のルートによる心温まる物語です。

評価が低いのは、僕の感性にひっかからなかったという単純な理由です。数学、数式の神秘や面白さ、奥深さについては感慨深いものがあったのですが、そこから広がりを自分の中で生み出すことができませんでした。とは言っても、この作品の本当に大切なことは「数式」にあるのではない、と感じましたが。。。

たった80分しか記憶が持たないという哀しさ、悲しさが伝わってきます。毎日、その苦しみと向かい合い、乗り越え日々を過ごしていく博士。記憶の障害という欠けたところを補うように、博士は優しさと深い愛情を持っています。そして、何よりも数学への人並みはずれた愛情・執着心が彼の人生を占めています。

情愛とはまた違った愛、絆と呼べるものが博士と家政婦、ルートの間に築かれていきます。博士のような人が先生として、親として社会に多く存在していれば、子供は素直で優しく育ち、学問にも強い好奇心を持ち続けられる大人へとなれる気がしました。

少しずれた感想となりましたが、作品の中から要素を拾い出す感性がまだまだ低いことを自覚させられる一冊でした。

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「愚直」論 私はこうして社長になった

4478733066 「愚直」論 私はこうして社長になった
樋口 泰行

ダイヤモンド社 2005-03-04
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20代から考える生涯現役のハローワーク

4776790971 20代から考える生涯現役のハローワーク
生涯現役応援委員会

宙出版 2005-02
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★★★☆☆☆☆☆☆☆

ハローワークとか言う以前に、何度も書いていますが、まだ学生です。しかも、内定ももらっているので必要のない書籍です。BOOK OFFで100円で売っていたから購入しただけ、という本に対してとても失礼な買い方をしてしまいました。。。(汗)

そもそも、20代のうちに「他の天職が自分にはあるかもしれない」という考え方を持つことはあまりしたくないと思っています。多くの成功者の書籍を読んだ影響ですが、何でも自分で自分を認められるぐらいに、一つの仕事に対して打ち込んでみて初めてわかることもあるだろうし、その先に新しい道が開けてくるものであると思うからです。

この考え方を持ちながら読んだせいかもしれませんが、本書は退屈な内容でした。このブログを始めてから初めて3/10という低評価をつけました。あまりにも内容が薄いために薦めることもできません。

これだけでは、書評にはならないので簡単に本書の内容について触れておきます。

手に職を持つ=生涯現役という、いわゆる専門職について書かれています。具体的な職業としては、画家・キャリアカウンセラー・パン職人・僧侶などです。全部で20の職業について書かれています。各職業で成功している人たちを一人ずつピックアップし、その職業に転職した過程や、その仕事に就いてからの苦労話について書いています。

しかし、どれもその仕事を実際にやるまでの具体的な方法については不十分で、この本を読んだだけでは、何かしらの行動を取ることはできないのではないか、と思いました。そもそも、このようなタイプの本を手にするような人には不適切であると感じました。コンセプトは良いとは思うのですが、もう少し書き方を変えるべきであると思います。

あまり参考になるような書評でなくて申し訳ありません。しかし、このような読まなくてもよい本についても積極的に書いていこうと思います。僕の基本的なスタンスは、どの本でも学ぶべきことはある、なのでこういったケースは非常に少ないとは思いますが。。。

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