Book Review’S ~本は成長の糧~ -18ページ目

人生は数式で考えるとうまくいく

人生は数式で考えるとうまくいく 人生は数式で考えるとうまくいく
大村 あつし

サンマーク出版 2005-10-18
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★★★★★★★★☆☆


著者の大村あつしさんは、IT関連の書籍でベストセラーを出す、売れっ子作家です。IT関連の書籍で100万部を売る人はいないそうで、トータルとはいえ100万部以上売っている大村さんは成功者と言えます。

しかし、この成功についてですが、100万部以上売れていることが直接成功に結びつくのではなく、本人がミリオンセラーになることを目標として達成できたことが成功というわけです。つまり、成功は他人によって評価されるものではないということです。

本書の中で紹介されている数式はごくわずかで、ほとんどは著者の人生を振り返りながら、成功について人生について書かれている啓発書になっています。しかし、どの箇所もすんなりと受け入れることができます。それは、著者が等身大で自らの言葉で読者に向けて語りかけるように書かれているところが大きいように思います。

帯にある数式はとてもシンプルですが、的を射ています。

目標 - 現在 = 課題

知識 × 経験 = 知恵

となります。多くの人も、自分の経験と照らし合わせてみてみると納得できる数式ではないかと思います。また、面白い数式だったのが、

三日坊主 × 百回 = 三百日

というものです。三日坊主も何度も繰り返すことによって意味が生まれてくる。やらないことよりも、長続きしなくてもいいからやることの方が前進していることを的確に表現した数式だと思います。

印象的な言葉がたくさんあった中から3つ紹介します。

人生にとって最大のリスクとは、チャレンジしないこと、そして、失敗を恐れることではないでしょうか。

お金は増やすことができますが、時間は増えません。時間は減る一方なのです。

この世に雑用などありません。雑にやるから雑用なのです。

特に三つ目の雑用に関しては心を打たれました。これを常に心に留めておけば、毎日が何倍にも素晴らしいものになると思います。

タイトルに期待して、数式をたくさん知れると思って読むと期待を裏切られるかもしれません。僕自身もそうでした。しかし、わかりやすい言葉で書かれた成功哲学はとても良いものであります。エピローグも考えさせられる内容です。ただ、やはり何度もこういった本を読んで思うことは、その先に進むことが大切だということです。そろそろ自分の目標を明確にしていかないと・・・。

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福助再生! 靴下からはじめよう

福助再生! 靴下からはじめよう 福助再生! 靴下からはじめよう
藤巻 幸夫 川島 隆明

ダイヤモンド社 2005-03-11
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★★★★★★★☆☆☆


ファッションに疎いこともあり、福助という企業があることもこの本を知るまでは、知りませんでした。「リーダーの教科書」がわかりやすく、内容のとても良い本だったので、藤巻幸夫さんに関心を持ったため、この本も読んでみることにしました。

福助は、120年も続いている伝統ある企業です。しかし、伝統ある企業ゆえに時代の変化についていけずに、破産申請、民事再生をすることとなりました。この企業の持つ、財産や可能性を見出した川島隆明さんが再生に向けて取り組んでいく中で、藤巻さんと出会います。

藤巻さんは過去に伊勢丹で解放区を成功させ、バーニーズを日本に持ち込み、キタムラで活躍している最中でした。常に、センスのあるものを探し続け、自分のセンスを磨いていた藤巻さんに、川島さんは福助再生のキーパーソンであるという評価を下しました。

本書では、具体的な売上げやコストなどの数値についてはあまり触れられていません。しかし、企業再生にとって必要なノウハウはしっかりと詰め込まれています。また、このノウハウは決して、企業再生だけに使えるようなものではなく、これからのビジネスシーンで勝ち残っていくために必要不可欠な要素がふんだんに盛り込まれています。

藤巻さんと川島さんがそれぞれ執筆されていますが、藤巻さんからはセンスが川島さんからはインテリジェンスが、そして二人共からは熱い気持ちが伝わってきます。知性はセンスとも言えますが、お二人の持つ良さを相乗効果で活かしているところが見受けられて素晴らしいと感じました。

「進化する老舗、福助。」

として、短期間の間に、市場に対してイメージアップのために新ブランドを作り出す。その一方で、既存のブランドも可能な範囲で変えていき、「ダサい」というイメージを一新していく。そのスピードと行動力があってこそ、企業再生を成功させることができました。

藤巻さんの熱いところは、このような言葉にも表れています。

社員と社長という関係の手前で、人間同士の話をしたかった。

そして、良い商品を作るためには、

「商品力」をベースに、その商品力を輝かせるための「表現力」を加えて「良い商品」を作ること、これがブランディング

と書いています。良い商品を作るだけではなく、その商品をどのようにして見せ、魅せるのか。また、良い商品とはどのような商品のことを指すのか。ひとりひとりの社員がそれぞれセンスを磨くことの大切さを藤巻さんは主張しています。

トップが変わることによって、組織は変わる。しかし、組織が変わるのは組織を構成するメンバーひとりひとりが変わることである。ということを再確認させられます。

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失礼ながら、その売り方ではモノは売れません

失礼ながら、その売り方ではモノは売れません 失礼ながら、その売り方ではモノは売れません
林 文子

亜紀書房 2005-07-01
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★★★★★★★★☆☆



著者の林文子さんは、ホンダ、BMWで自動車販売のトップセールスとして活躍した後に、BMW東京の社長として、米『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙が選ぶ「注目の世界の女性経営者50人」に日本人で唯一選ばれました。そして、現在は、ダイエーの代表取締役会長兼CEOとして注目されています。

この本を見たときにまず、タイトルの厳しい言葉と帯の林さんの温和な表情のギャップに興味を持ちました。失礼ながらと前置きしていながらも、その売り方ではモノは売れないと断言する。そもそも、このその売り方をしている人は誰なのか。普通に考えるなら、多くの営業職に対してということになります。特に、モノを売る人ですね。こういったタイトルによって対象を絞り込んでいる本は好きです。それは、本の内容もしっかりとコンセプトが決まっているから分かりやすく書かれている、というケースが多いからです。

まず、30歳という年齢+女性で車の販売という世界に身を乗り出したチャレンジがとても素晴らしいと思いました。本でさらりと書いている以上に、苦労はあったと思いますし、男性からの妨害も非常に多かったのではないかと思います。しかし、そのような部分をさらりと流してしまえるのは、林さんの器の大きさと人が本当に好きだと言うことだと伝わります。

1日に100軒訪問することを素直に受け入れ、実践していく。モノを売るのではなく、人として自分が相手にできることを考えていく。営業とは製品ではなく、人で売るのだということを真っ直ぐに理解・実践していったからこそ成功があったのだということを実例としてわかりやすく書いてくれています。

人として接することはご用聞きに徹することに通じます。決して、卑屈になるのではなく、一個人としてまずは相手と出会えたことを感謝し、相手にできることは何かないか考える。口で言うのは簡単ですが、常に成績を求められる営業職にとって、実践していくことは並大抵の精神力ではなかなか難しいことだと思います。

業績の悪い時ほど、社員のいい面に目をつける
本気で褒めることができれば、本気で叱ることができる


こういうところが女性的なセンスや思考で、男性がなかなか持つことのできない女性の優れた点であると思います。もちろん、男性にとっても必要とされることだと思います。

営業に欠かせない3つのポイント


1.人が好き 2.勇気を持つ 3.積極性

とてもシンプルですが、この3つを意識し、実践できれば十分だということをこの本全体を通して学びました。顧客は個客であると、最近はよく言われていますが、まさにその通りなんだと実感しました。

簡単な言葉でわかりやすく書かれている本書を読み、ダイエーがこれからどのように再建されていくのかとても楽しみになりました。すでに、業績は上向きになってきているようですね。

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Presents

Presents Presents
角田 光代 松尾 たいこ

双葉社 2005-12
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★★★★★★★★☆☆



「この本が、世界に存在することに」の一冊に出会って、角田光代さんに興味を持っていたので、素敵なカバーのこの本を見つけて思わず手に取ってしまいました。

Presentsというタイトルの通り、プレゼントをテーマにした12の短編集になっています。

この本を読んで、改めて自分自身が多くの人から多くのものをプレゼントされて生きていることを実感しました。中でも、一番心に残ったのは「名前」です。人が生まれてきて初めてプレゼントされるものは「名前」です。名前には両親の想いが詰まっていて、それだけで素敵なプレゼントだということを当たり前のようでいて普段は忘れていることだと感じました。

それぞれのストーリーがとてもシンプルで、シンプルだからこそ、とても素直に共感することのできる作品に仕上がっています。自分自身の経験と照らし合わせながら、プレゼントすること、されることの期待と不安、喜びと悲しみ、嬉しさなどなどの感情を呼び起こされます。

角田さんは本当に文章をキレイに書くのが上手だと思います。女性であることをしっかりと意識し、その繊細な感性を巧みに文章にしています。感性を武器として、尖った物にするのではなく、表現の方法を広げるためのツールとして使用している印象です。あくまで僕の印象ですが。そういうところが非常に好みです。

「ランドセル」から

失ってばかりのような気がするけれど、それでも、私の手にしているものはランドセルに詰めこめないくらいたくさんなのだ。

人生ってそうだよなーって思わせれた箇所です。

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国家の品格

国家の品格 国家の品格
藤原 正彦

新潮社 2005-11
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★★★★★★★★☆☆

帯のコメントに思わず惹き付けられて、Amazonで衝動買い。この本、巷でも非常に売れているみたいですね。梅田のBook1stでも1位に置いてありました。

作者の伝えたいことを簡単にまとめると、

「論理的思考には限界があり、補完できるものは日本独特の伝統や情緒である。
 だからこそ、欧米化している日本を見直し、日本の伝統に立ち返るべきだ。」

というところでしょうか。読んだ方で少しずれているよ、という意見の方がいらっしゃいましたら、指摘していただけると嬉しいです。あくまで、個人的に僕が感じたことです。

グローバリズムの恐怖は、多くの書籍や論文で意見されてきています。しかし、それが読者にどれだけ伝わっているのか。僕自身も大きな危機感を持つこともなく過ごしてきました。合理的に、効率的に物事進めていくことの重要性を教育されてきた人々にとっては、なかなか受け入れにくいことかもしれません。

しかし、アメリカに倣えの精神で進んでいった結果が今の日本の姿です。高度成長に伴い、物質的な豊かさの基準は高まりました。しかし、精神的な豊かさは衰えていくばかり。同じ、小国であるイギリスとの対比は非常にインパクトがあります。イギリスがなぜ世界的に注目を集めるのか、そこには尊厳があるからだと。この意見は同感です。

ジャパンクールとして、海外からは日本の文化が評価されています。これは今にはじまったことではなく、日本が海外と文化交流が始まったころから続いてきています。しかし、肝心の日本人が日本の文化をないがしろにしてきている。教育が一番の問題ですが、もう一つ核家族化も原因としては大きいのではないでしょうか。子供が高齢者との関わる機会が減ったことによって、文化の継承がスムーズに行われない。最近では、総合学習として見直されてきていますが、もっともっと注目されるべきだと思います。

本書の感想から逸脱してしまいましたが、本書の内容の大半は賛成です。もちろん、極端な意見、例えば日本(の文化)が世界的に最も優れていて、世界を救うことができるのは日本民族である。といったところは言い過ぎではないかと思います。要は、グローバリズムに対抗するために、各国が各国の文化をしっかりと守った状態で経済成長していくことが大切なわけです。それが「祖国愛」という言葉に表れています。

知識や技術は蓄積していくことができるが、情緒は蓄積することができない

この言葉を胸に留めて、自らの情緒を高める努力を怠らないようにしたいです。日本には四季と恵まれた自然という、世界的に見ても優れた財産があるのですから。そして、何より英語を話すことばかりに気をとられうことのない、自国の文化を誇ることのできる「国際人」になりたいです。英語が苦手なせいもありますが・・・。

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日本の進路を考える:国家の品格
ミチの雑記帳:「国家の品格」藤原正彦
お玉おばさんでもわかる政治のお話:国家の品格が世界を救うらしい
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もそもそ-MOSOMOSO-: 「国家の品格」の偉大な功績-藤原正彦の真の狙い-
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忍耐道blog: 国家の品格
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ココニイルコト - 国家の品格/藤原 正彦

ベルカ、吠えないのか?

ベルカ、吠えないのか? ベルカ、吠えないのか?
古川 日出男

文藝春秋 2005-04-22
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★★★★★★☆☆☆☆

多くの書評で好評価をもらっているこの作品。表紙の写真がインパクト強すぎて敬遠していたのですが、このミステリーがすごい!2006年にランクインしたことから、読んでみることを決めました。

古川日出男さんの作品は初めて(初めての作家の方が多いですが)で、これまた今までにないタイプの書き方で新鮮でした。まさにニヒルという言葉が似合うのではないでしょうか。あとはハードボイルドとも言えるかも。

ストーリーは戦後になる少し前の日本軍が飼っていた軍用犬から始まります。この軍用犬の歴史を人間の歴史と上手くシンクロさせながら、フィクションとして仕上げています。人間とは違う点、犬の繁殖能力や血統の重要性、人生(寿命)の短さなどを巧みに表現しています。

それぞれの犬に人格(犬格?)を持たせ、思考させ、言葉を紡ぎ、行動させる描写はそれだけでゾクゾクさせる躍動観を生み出しています。多くの方が、感想で書いていますが、この犬の歴史を系統樹(家計図)としてしっかりと記録していきながら読んでいくと、この本の魅力は何倍にもなるのかもしれません。

しかし、僕自身がこの作品をあまり高く評価できなかったことは、犬の系譜がとても複雑であったから、というわけではありません。問題点は、犬の歴史と人間の話(現在)との文体のギャップと、最後のあっけなさにあります。犬のパートでは、本当に詩的で、感性をどこまで磨けばこのような文章を書くことができるのかと、感嘆してしまうほどの表現の上手さなのですが、これと普通のストーリーの平坦な書かれ方に違和感を覚えてしまいました。

また、軍用犬の歴史はとても興味深く、犬の名前との関連性や多種多様な人生(犬生?)は面白いのですが、あまりにも量が膨大で途中から食傷気味となってしまいました。

人類の歴史と共に歩んできた犬の歴史をフィクションとは言え、触れることのできるこの作品は教養を磨くには持って来いの作品です。

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ほぼ日手帳の秘密

ほぼ日手帳の秘密―10万人が使って、10万人がつくる手帳。 ほぼ日手帳の秘密―10万人が使って、10万人がつくる手帳。
山田 浩子 ほぼ日刊イトイ新聞

幻冬舎 2005-11
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★★★★★★☆☆☆☆


今年からほぼ日手帳を使い始めました。しかし、今まで有効に手帳を使ってこなかった僕にとっては、まだまだほぼ日手帳の魅力を引き出せていない状態。手帳に関する書籍を読むもののどうもしっくりこない。このままでは、せっかくほぼ日手帳を購入したのに、宝の持ち腐れで終わってしまう・・・。そんな危機感を持っていた時に、この本のことを知り参考にしようと購入しました。

本書で書かれている内容には、ほとんど手帳の使い方について触れられていません。では、どんなことが書かれているのか。ほぼ日手帳の誕生秘話やほぼ日手帳のヘビーユーザーの皆さんの使い方、糸井重里さんの手帳に関するコラムなどです。

糸井さんのコラムは非常に考えさせられる内容でした。手帳に対する考え方を大きく変えてくれるような衝撃がありました。手帳って夢を叶えるため、とか目標を達成するために有効だ、といった考え方が最近広がっていて、それに関連した書籍もたくさんあります。でも、それだけじゃなくて、ただただ単純に自分の好きなように自分の思いついたことや気に入ったものなどをメモしていくだけでそれだけで自分の財産になるんだという考え方は手帳というツールへの敷居をグッと低くしてくれました。

また、写真付きのヘビーユーザーの使い方紹介は、どれも個性的で魅力的でした。こんな使い方があるんだ、とかここはこうすればよかったんだ、といった発見があると共に、この人たちに負けないぐらいのほぼ日手帳ユーザーになって、個性的な使い方をしてやろうなんて刺激も受けました。

特に面白いと思った使い方は、新婚夫婦の方の交換手帳です。奥さんが1週間の献立を手帳に記入すると、ご主人が昼ご飯をそれを見ながら考える。たとえば、夜が肉なら昼は魚にしてみたり、といった風に。また、何気ないひとことが夫婦の仲をさらに良くすることにもつながってきます。

手帳の使い方に関する書籍は多々でていますが、一般の人も含めてひとつの手帳に関する使い方がたくさん載った本は本書ぐらいではないでしょうか。それは、やはりこの手帳がインターネットを利用して、多くの読者とともに作り上げてきたみんなの手帳だからこそできることなのだと思います。

今年も始まったばかり。少しずつ手帳を使い、工夫しながら、自分なりの使い方を見つけていきたいと思います。

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希望のニート 現場からのメッセージ

希望のニート 現場からのメッセージ 希望のニート 現場からのメッセージ
二神 能基

東洋経済新報社 2005-05-13
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★★★★★★★☆☆☆



就職活動をしている時からなんとなくですが、ニートという言葉に関心を持っていました。これは就職活動という社会への関わり方を選択する大きな時期だったからこそ、ニートと呼ばれる人たちはどのような生活をし、社会ではどのような位置づけにあるのか知りたかったからかもしれません。この本を読む前にまず、有名な玄田有史さんのニート―フリーターでもなく失業者でもなく を読む方がよかったのかもしれませんが、我慢できずに読んでしまいました。

著者の二神能基さんはNPO法人「ニュースタート事務局」の代表を務めていらっしゃいます。この「ニュースタート事務局」ではニートと呼ばれる人とその家族に対し、独自の手法によってニートから脱することをサポートしています。

ニートの定義

まずニートとは日本ではどのような定義をされているのでしょうか。日本では、
「15歳から34歳までで、学校卒業後に職探しも通学もしない未婚の若者」という定義がなされています。つまり、勉強もしないし働きもしない若者のことを指し、英語では「Not in Education,Employment or Training」となり、この頭文字を取って「NEET(ニート)」と呼ばれています。ここまでなら多くの方が知っていると思います。

◆教育の失敗から生まれていく

ニートと呼ばれる人たちは働く意欲がないから「働かない」のではなく、さまざまな理由によって「働けない」ケースが非常に多いのです。働けない最も大きな理由は、人間関係構築能力の欠如です。この人間関係構築能力が足りない原因は、突き詰めれば全て親の教育に問題があるからだ、となります。

◆テストで高得点=◎という画一的な価値観

高度経済成長を続けた過去の日本で人生を歩んできた両親の価値観は「高学歴、高収入が幸せな人生につながる」となってしまっている人が大半です。だから、意識的もしくは無意識に子供に対し、受験をすること学校のテストで好成績を取ることを求めます。子供はそれに応えるために勉強し続けます。結果、どうなるのか。毎日、友達と遊ぶことをせずに机に向かって一人で勉強し続けた結果、人と接することができなくなります。

ニートを生み出してしまう家庭はニートになった本人も、その両親も非常に生真面目なケースが多い。両親の子供に対する愛情は、子供への期待に変換され、それに上手く応えることのできない子供は自己評価を下げ、自己嫌悪に陥り、それでも応えようと努力し、失敗する、という悪循環に囚われてしまいます。そして、その悪循環さえも拒否してしまった子供は、何も行動をしなくなったり、親とのコミュニケーションもはかろうとしない引きこもりへとなっていくわけです。

◆変わりゆく価値観

ニートは現代社会の問題が背景として大きく関係しています。今までは、特に現在50歳以上の世代は物欲が行動の原動力となっていました。多少は苦しい思いをしても、マイホームやマイカーなどを自分のものにすることを夢見て働いてこれたわけです。しかし、物が余ってきた現代で育った若者達は、物に昔の人たちほどの価値を見出せなくなってきました。物ではなく働くことによって社会にどれだけ貢献できるのか、自分がやりがいを感じられるのかといった精神面が重視されるようになってきました。

しかし、まだまだこの若者の価値観の変化に社会は対応しきれていません。その結果、働き始めたもののやりがいを見つけることができずに辞めていくケースが後を絶たない。ニートという存在が、今の社会に対して問題提起をしているとも言えます。効率性重視の社会からもう一歩進んだ社会へと脱皮する時期が来ているのかもしれません。

◆感想

ニートに対して、如何に厳しい評価を自分がしていたのかよくわかりました。それは、すべてマスコミによる報道や、大人や社会のニートに対する対応を見てきたからです。本書を読むことによって、今までニートに対して持っていた固まった考えが少しほぐれました。しかし、やはりニートになってしまうということ自体は非常に問題であり、厳しい言い方をすれば本人の問題です。そして、一番大きな問題は教育にあると言えるのではないかと感じました。教育は学校教育、家庭内教育のどちらも指します。つまり、机上での勉強以外の学びをする機会を増やし、人間同士が触れ合うことの大切さを気付かせる機会を徹底的に増やすことで、この問題は少しずつ改善していくように思いました。

希望のニートというタイトルどおりの内容とは少し違うかな、という印象を受けましたが非常に面白い一冊でした。やはり、現場で活躍している方が書くとそれだけ説得力も強いものとなります。本書で「あらゆる子育ての結果は偶然にすぎません」という言葉がありますが、もしかすると僕自身がニートになっていたのかもしれません。それは、あくまでも仮定の話ですが、それぐらいどの家庭でも起こりうる、そんな社会が形作られているとも言えます。

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ユージニア

ユージニア ユージニア
恩田 陸

角川書店 2005-02-03
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★★★★★★★★☆☆

ついに恩田陸さんの作品も3作目となりました。まだまだ順番待ちの購入済みの本があるので、少しずつ読んでいこうと思います。さて、このユージニアですが、感想を文章にして書けるかどうか不安です。読み終えてすぐなのですが、まだまだ消化しきれていなくて、頭の中でぐるぐるといろいろなことが駆け巡っています。

構成は、僕の非常に好きなタイプでした。奥田英朗さんのララピポもそうだったのですが、章ごとに出てくる人物が違うのは、刺激が継続されてついつい読み進めていってしまいます。また、インタビュー形式の内容と物語のキーのひとつである「忘れられた祝祭」の内容が交互に出てくることも、少しずつパズルのピースが集まって作り上げられていく感じがして、引き込まれました。

地元の名士である医者の屋敷で、3代とも誕生日が同じで3代そろって誕生日をを祝う日に事件は起こった。毒入り飲料によって17人もの命が奪われた。生存者はたったの2人。事件は遺書を残して死んでいった青年が犯人ということで解決したかのようにみえたが・・・というはじまり。

事件には被害者と加害者ばかりが注目されますが、その事件に関係した人々がその背後にたくさんいるということを気付かせてくれます。真実を追い求める人たち。しかし、真実を知っているのは限られた人だけ。その真実もおぼろげではかない。

目の見えないこと、見えない人間、見る側、見られる側、見る人によって変わる真実など「見る」が重要な要素となっています。目の見えない少女は何を感じ、何を考えたのか。見えることで見えない青年は何を見出したのか。見られる立場の人間になりたくて、その姿を追い求めた彼女は答えを掴み取れたのか。

ミステリを読む機会が少ないのですが、推理小説ではないこのような形のミステリは非常に好きです。ただ、何にでも答えを求めてしまう面倒くさがり屋の僕としては、結論のはっきりしない結末はむずがゆい気持ちにさせました。しかし、これはこれでOKなんだという思いもあります。

読んでいて少し暗い気持ちにさせ、不安を掻き立て、心の中に何か異物を置かれているような気分になります。それは作品のはしばしから、人の本質をずばりと突くセリフや描写が次々と出てきてドキッとさせるからかもしれません。哲学的で、抽象的で、具体性には欠けるようでいてズバッと切り込んでくる感じというのでしょうか。

その数多く心に引っかかった箇所からいくつか紹介です。

ノンフィクション?あたしはその言葉が嫌い。事実に即したつもりでいても、人間が書くからにはノンフィクションなんてものは存在しない。ただ、目に見えるフィクションがあるだけよ。目に見えるものだって嘘をつく。聞こえるものも、手に触れるものも、存在する虚構と存在しない虚構、その程度の差だと思う。

事実は、ある方向から見た主観に過ぎません。

誰でも最初は模倣から始まるんだぜ、きちんと模倣ができない奴には、オリジナルだって出来るはずがない、模倣しかできないなんていうのは自惚れもいいところだ、
(中略)違う、お兄ちゃんは誤解してる、あたしは技術を真似てるんじゃなくて、人を真似てるんだ

まだ頭の中でごちゃごちゃとうるさく、イライラさせるぐらいこの作品の内容が回っています。書くことによって少しは整理できるかと思ったのですが、甘かったようです。こんな感想を投稿してもよいのか迷うところですが、せっかく書いたので投稿します。もともとそのつもりでしたが・・・。でも、読後にこれだけ考えさせられるというのは、それだけ中身の濃いものだったんだと実感しています。

このもどかしい気持ちを少しでも整理してくれないだろうか、と他の方の感想を読んでいたところ、とても良い感想があったので紹介させていただきます。

しっくりと落ちてきた:『ユージニア』 -恩田陸

これぐらい整理のされた、まとまった文章を書けるようになりたいものだ、と思います。

3作とも違った系統の作品で、恩田陸さんの力量のすごさを感じます。伊坂幸太郎さんと同じくはまってしまいそうです。この作品も時間を空けてもう一度読み直してみたいな、と思います。そうするとまた違った発見がありそうです。

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蒼天百景: 「ユージニア」恩田陸
Little-RGB the・さーど!: 恩田陸『ユージニア』。
STEP BY STEP:恩田陸(著)『ユージニア』
ユージニア/恩田陸|ホトケの読了book  南無阿弥陀仏
ユージニア|個人的読書

質問力―論理的に「考える」ためのトレーニング

質問力―論理的に「考える」ためのトレーニング 質問力―論理的に「考える」ためのトレーニング
飯久保 広嗣

日本経済新聞社 2003-02
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久しぶりに啓発書の紹介です。このブログでも書いたことがあると思いますが、一時期「コーチング」や「リーダーシップ」について熱心に勉強し、このテーマで分科会を開いたこともあります。そのきっかとなったのが「質問力」についての本を読んだことでした。

◆二つの質問のタイプ

質問には大きく二つのタイプの質問があります。一つは学ぶ質問、もう一つは考える質問です。学ぶ質問とは、その質問をすることによって知識を得ようとする質問のことを指します。一方、考える質問とは、その質問をすることによって自分の中で答えを見つけ出す=考える作業をする質問のことを指します。今までの日本社会では、学ぶ質問に比重を置いてきました。置いてきたというよりも、置き過ぎていたと言い換えた方が正しいです。なぜなら、学ぶ質問自体は必要ないわけではないからです。要は、この学ぶ質問と考える質問のバランスが取れていることが大切となります。

◆情報化する社会

インターネットの普及によって、知識(情報)をすぐに手に入れられる時代となりました。つまり、学ぶ質問による答えは昔に比べると圧倒的に早いスピードで手に入るようになりました。そこで必要なスキルは、この手に入る情報をいかに活用していくのか考えることになるわけです。

◆知性と知識の違い

知識と知性の意味は違います。しかし、多くの日本人は知性とほぼ同じ意味を示す頭が良いとは知識の量が豊富という認識をしています。これは、日本の教育や受験の方式を見れば一目瞭然です。知性とは英語でインテリジェンスのことで、日本ではインテリと言われています。ここで、一度インテリについてイメージしてみてください。ネガティブなイメージが湧いてきませんでしたか?日本では、インテリとは高学歴、つまり受験戦争で好成績を納めた人たちのことを表現しています。本当の、というと御幣を招くかもしれませんが、本当のインテリとは考え、的確な答えを導き出すための質問ができる人のことを指します。

◆複数の思考の必要性

多くの問題、ほぼ100%の問題はひとつの要素だけで成り立っていません。多くの要因が複雑に絡まりあって、一つの問題を形成しています。また、たとえひとつの要素だけがその問題の原因であったとしても、その他の要素の可能性について吟味することは意味があるものです。リスクや利益について複数の選択肢を提示し、網羅的に検討することによって皆が納得し、かつ間違いの少ない選択ができるようになります。

本書は、質問力について直接触れるだけではなく、質問力を持つことについての背景から効果まで広く扱っています。具体例もいくつか挙げられていて理解しやすい内容となっています。ただ、どれも一朝一夕で身に付くものはありません。日々の生活の中で「なぜ?」や「なに?」を繰り返し、考える質問をすることを習慣付けることが最も大切になってきます。

本書で日本人が手に入れるべき質問力について明文化されて箇所を紹介します。

論理的な思考技術に基づいた「考える」ための質問力

これだけではピンとこないかもしれませんが、この言葉の意味を考えることが「質問力」を身につける第一歩かもしれません。

原稿用紙10枚を書く力に引き続き、似たような形式で書いてみました。上の文章は本書をそのまま引用したものではなく、あくまでも内容を自分の言葉で書いたものです。ビジネス書や啓発書に関してはこのような形式の方がやはり書きやすいです。ただ、この形式が読みやすいのかどうかとなると難しいのでそれはもう少し試行錯誤しながら答えを出していこうと思います。

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