献食菜集 -152ページ目

3月隧道

3月の トンネルを 明日抜ける
さくらの トンネルは 先日 ぬけて
今日 雨が降る

花冷え で ストーブ 点ける


自分の 趣味にかたまった者が
一向に  譲らず
自分の世界は 決まっていると
思っているのだろうか


私は 御免である
コンクリートのように かたまって
コア が 奥のほうで眠ってしまうのは


3月のトンネルぬけて
新芽 ふくらめ





















































雲見のセミ鯨

雲見の湾に 
まだ 子供のセミ鯨が
迷い込み


浅瀬にのりあげ
自分の体重で 胸を押し付けてしまい
死んでしまった


雲見の優しい人たちは
死んだ セミ鯨を
湾から引き上げ

 

和歌山の 捕鯨の歴史をもつ 人たちと
セミ鯨を 解体し


骨を 資料館 に展示し

石碑を建てて 弔った 


建物一杯 に広がる
大きな 子供の セミ鯨 の 骨格標本


彼の親は ある日 突然いなくなった
自分の子が 
おだやかな雲見の湾に眠るのを
知るだろうか


冥福を 祈る


安らかに 眠れ
雲見 の セミ鯨

























































おめでとう

第11回誕生日を 無事 迎え
心から お祝い 申し上げます


レースが まったく似合わず
まるで 静かな きのこ のようで


そばに行くと
その日 保育園で
何を食べたか
容易に 判別できました


眼科の 先生から
娘に 欲しいと いわれました


小さくて 軽い 時代は
もう 終わり


自分の 時間と 空間とを
持つに 至りました


少し早いですが


さっさと 兄とともに
親元から 独立してもらいたい


と  このように


私は思っています






























あごひげ

久々の 不精 あごひげ
白い ひげ 混じるのに
改めて 気づく


髪の 白いは 慣れっこで
白い ひげに 驚くのは
傍目から見れば おかしかろうが


過ぎ去りし日


白いあごひげ 四角に はやした
おっさんが 飲み屋の 二階で
暴れていた


しらふでは おとなしい
そういう よくある ことで


指輪はずした 奥様達や
伸び悩んだ 美大志望や
美術趣味 高じた おじさんたちと


汗 にじみ出る
冷房のない 飲み屋の二階で


暴れた 白い あごひげ
抑える 皆の衆

困り顔の 講師


時を経


若者達と カラオケの
おおとりに
「人生が2度あれば」を
私に うたわせた
若者


過ぎ去りし日


自分の なじみの店で
「おら東京さ行くだ」を
私に うたわせた
同郷 の先生


そうやって
そうやって


あごひげ ながめて
思い出した


かなり前と ちょっと前


良かろう

 
私は
あと 三倍 生きるから







































































































































































初蛾

ほうれん草を

熱湯に入れ


すぐ横の 窓を見ると
蛾が 台所の明かりに誘われて
じっとしている


寒い冬がおわり
蛾が 羽化し始めたのだ


それにしても 動かない


触角 目 はら 翅
顔を近づけ まじまじとみる

もう何万年も このかたち


蛾は 蛾を 繁殖し
ヒトは ヒトを繁殖する


何の ために 同じところに いて
何のために 生を 繰り返すのだろうか


あと数ヶ月すれば 暑い夏が
やってきて
君は もう死んで いないだろうが
私も 何をしているか わからない


この光は 贋物です


朝になったら 

太陽にむかって
飛んでいくように


本当の 

光に むかって
飛んでいくように