献食菜集 -150ページ目

観られたもの

観たヒトのこころに 残るものは
観られたモノのいったい 何だ


生まれては消えていく 感情や衝動や思考
それらがこめられてかたちとなり 残されているモノ


それらに 出会って
それらは
その場限り 脳をかすめて
消えてなくなる


そして
観たもののこころに
濾されて 何かが残るのではなく


自分の中に 始めから在りながら
何も はたらくことをしない ところ
が 動き出したり

自分の中に 始めから在りながら
つながって いないもの
が つながったり


そういう 刺激や手助けの つぶて
を あびせてくれる のか 
くれないのか
そんなものを 持ち合わせているのか
いないのか

すてきな作品とか 

すてきな演奏とか

になる わかれめ 
だろ


それは 作品を作ったり 演奏をしたり

それを通して あらわれる 

作者 演奏者そのもの が つぶてのもと

だろ





































































































































奈良にて

抱き上げられて 連絡橋のまどから見た
新幹線の列車


バターのにおい メープルシロップ
目の前で ナイフがうごく
ホットケーキ


赤いスポーツカーの 助手席に
乗せる約束は はたせぬまま


45歳になって 初めて自分が稼いだとの
自覚をもった 給料から
毎月 振り込んだ お金は


何の足しにもならぬ 小額にもかかわらず
とても 喜んでおられたことを
聞きました


わたしが贈った 絵について
やさしい気持ちが 色にそのまま かわっている


その感想を 私は 

あなたの生涯で 二度 ききました


お菓子が 大好きだったとは 

初耳です
きつい ヒト だったとは 

初耳です


あなたについての 初耳を
棺の 横で 聞きました


どうも ありがとう
どうも ありがとう



























































やや はれ

しんぱいが すこしへり うれしい

きりさめが  あがり はれた


ちがう きがかりが ひとつ

これは まださき


さきの みえぬ じんせいを
いきるもの どうしの さきだ
























































本堂屋根に上がる

五月晴れに 禅寺の屋根にあがる
梢が 顔に近づき 鮮やかな 緑が
目の前いっぱい に広がる


瓦を はがせば
巣立ち損なった ひなの 死骸
身動きできなくなった スズメの 死骸
見事に全員 巣立った
巣の 残骸


初夏に 禅寺の屋根にあがる
本堂の 滑らかな曲線 のつづき
太陽の 照り返しを うけながら
ペンキを 塗る


誰も居ない屋根の上は
誰も居ない 琵琶湖の入り江

暑いひざしと
鳥の声と
自分だけ






























































ガチャガチャの壁

死んだはずの親父が
生きていることに なっていた
夢の なかで


久々に会ってなんだか 嬉しかった


ビー玉が いっぱい詰まったカプセル
ガチャガチャ が 手の届かぬ高さまで
積み上げられて
上の方に行くにしたがって きれいなビー玉


このアイデアは 親父らしいと
考えていたら
ガチャガチャ の沢山ならんだ 壁のむこうに
親父が いる

どう、元気?


親父は顔の上半分だけ いい色で
下半分は あまり良くない

まあまあや


ああ それにしても ひさしぶり