奈良にて
抱き上げられて 連絡橋のまどから見た
新幹線の列車
バターのにおい メープルシロップ
目の前で ナイフがうごく
ホットケーキ
赤いスポーツカーの 助手席に
乗せる約束は はたせぬまま
45歳になって 初めて自分が稼いだとの
自覚をもった 給料から
毎月 振り込んだ お金は
何の足しにもならぬ 小額にもかかわらず
とても 喜んでおられたことを
聞きました
わたしが贈った 絵について
やさしい気持ちが 色にそのまま かわっている
と
その感想を 私は
あなたの生涯で 二度 ききました
お菓子が 大好きだったとは
初耳です
きつい ヒト だったとは
初耳です
あなたについての 初耳を
棺の 横で 聞きました
どうも ありがとう
どうも ありがとう
